企業の7割超が1年以内にAIを導入済みながら、成果は個人の効率化にとどまる。
組織レベルの変革を阻むデータ基盤の未整備という課題が浮き彫りに。
Sansan株式会社は2026年2月、生成AIの導入・活用推進に携わる企業担当者1,077名を対象とした「企業のAI活用に関する実態調査」の結果を公表した。
調査は2026年2月2日〜3日の2日間、オンライン形式で全国を対象に実施された。
導入は急ピッチ、しかし成果の天井は低い
回答者の72.5%が「直近1年以内に生成AIツールを導入した」と答え、2025年以降、企業へのAI普及が急速に進んだ実態が数字として裏付けられた。
導入の動機として最も多かったのは「経営・会社方針による導入」で44.6%を占め、現場の自発的な取り組みよりもトップダウンの意思決定が主流であることがわかる。
ただし、実感している効果を具体的にみると、情報収集や資料・メール作成など、個人単位の作業効率化に偏っている傾向が強い。
一方、受注率・売上の向上を実感している企業は18.9%、新規事業やビジネスモデルの変革につながったと答えた企業は16.6%、競合に対する優位性を確立できたと回答した企業に至っては11.1%にとどまった。
AI導入の恩恵が、組織全体の競争力強化にまでは届いていない現状が鮮明だ。
9割が「AIに裏切られた」経験を持つ
業務でAIを活用する中で、期待外れの結果を経験したことがあると答えた担当者は実に90.4%にのぼった。
「頻繁にある」が32.6%、「ときどきある」が57.8%という内訳で、AIへの失望感は広く共有されている。
その背景として挙げられた理由の上位は、回答内容を人間が別途ファクトチェックする必要があること(59.1%)、誤情報が混入すること(43.5%)、そしてインターネット上の公開情報の範囲を超えた回答が得られないこと(41.0%)などだった。
また、自社の取引先情報や契約・請求データなど、社内固有の情報に基づいた回答ができないという点を課題として挙げた担当者も27.5%いた。
「社内データとAIの連携」への期待は高いが、準備は追いついていない
「AIが社内の人脈・商談・契約情報を把握できれば、ビジネス成果が変わる」と考える担当者は90.7%に達し、社内固有データとAIを組み合わせることへの期待は非常に高い。
しかし現実には、社内のデータベースがAIですぐに分析・活用できる状態に「完璧に整っている」と回答した企業は22.2%に過ぎなかった。
期待値と整備状況の間には大きな乖離があり、多くの企業がAIの潜在能力を引き出すための土台づくりに課題を抱えている。
次のステージは「AI-Readyデータ」の構築へ
同社DI推進部の鳴海佑紀氏は、今後の方向性について、インターネット上に存在しない自社独自の接点情報・契約情報・請求情報などを構造化し、AIが即座に活用できる企業独自のデータ基盤として整備することが不可欠だと指摘する。
単なる業務効率化を超えた「AX(AIトランスフォーメーション)」の実現には、データ資産とAIの本格的な連携が鍵を握るという見方だ。
生成AIの導入競争は一段落しつつある。
今、企業が問われているのは、AIをいかに「個人の道具」から「組織の変革エンジン」へと昇華させられるか——その問いへの答えが、今後の企業間の競争優位を決定づけることになりそうだ。
参照元: PR TIMES「Sansan、『企業のAI活用に関する実態調査』を実施」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000911.000024241.html
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