1. YouTube非営利プログラムとは
YouTube非営利プログラムは、非営利団体が世界中のYouTube視聴者(月間約30億人)に活動を伝え、支援者・ボランティア・寄付者とのつながりを広げるための無料プログラムです。動画による魅力的なストーリーテリングで、団体の理念や活動を視覚的に発信できます。
一番の魅力は、Google for Nonprofitsに登録するだけで、YouTubeの特別機能(外部リンクカード、バナー表示、コンテンツ最適化ツールなど)が完全無料で利用できること。通常のクリエイターが利用できない特典を活用し、動画から直接、寄付ページやイベント申込サイトへ視聴者を誘導できます。動画制作のコストをかけずに、世界規模の情報発信力を手に入れられます。
2. サービス基本情報
どんなツールか
YouTube非営利プログラムは、Google for Nonprofitsの一部として提供される、非営利団体専用のYouTube機能拡張パッケージです。
通常のYouTubeチャンネルよりも高度な機能が使え、視聴者を外部サイトに誘導する「どこにでもリンク可能なカード」、動画の最後に表示される終了画面、チャンネルアートのカスタマイズなど、非営利団体向けの特典が利用できます。
非営利団体は無料/割引で使えるか
はい、完全無料で利用できます。Google for Nonprofitsに登録・承認されると、YouTube非営利プログラムの全機能が追加費用なしで使えます。通常のYouTubeチャンネル作成も無料ですが、非営利プログラムではさらに特別な機能が追加されます。
重要な注意:YouTube ギビング(寄付機能)は日本では未対応
動画に寄付ボタンを追加できる「YouTube ギビング(YouTube Giving)」機能は、2025年12月現在、アメリカ・イギリス・カナダなど限定された国でのみ利用可能で、日本では利用できません。ただし、外部リンクカードで自団体の寄付ページに誘導することは可能です。
提供している会社
Google LLC(Google for Nonprofitsの一環として提供)
3. どんな団体におすすめ?
組織の規模
・小規模団体(1~10名):スマートフォン1台で撮影した活動動画を世界に発信可能
・中規模団体(11~50名):定期的な動画投稿で支援者とのエンゲージメントを強化
・大規模団体(51名以上):ブランド認知度向上、寄付者拡大、ボランティア募集を大規模展開
具体的な使用場面
・活動の様子を視覚的に伝えたい:文章や写真だけでは伝わりにくい現場の雰囲気を動画で発信
・支援者を増やしたい:感動的なストーリーで共感を呼び、寄付ページやボランティア募集サイトへ誘導
・イベント告知を拡散したい:講演会、チャリティイベント、オンラインセミナーの告知動画を配信
・教育コンテンツを提供したい:社会課題の啓発動画、ハウツー動画、専門知識の共有
・若年層にリーチしたい:YouTubeは10代~30代の利用率が高く、若い支援者層を獲得可能
4. できること(主要機能)
機能1:どこにでもリンク可能なカード
通常のYouTubeクリエイターは、YouTubeや承認されたサイトにしかリンクできませんが、非営利プログラムでは任意の外部URLにリンクできる特別なカードを動画内に表示できます。寄付ページ、イベント申込フォーム、ボランティア募集サイト、署名キャンペーンなど、視聴者を直接行動に導けます。
機能2:ブランディング機能
チャンネルのバナー画像、透かしロゴ、終了画面などをカスタマイズし、団体のブランドイメージを統一できます。動画再生中に常に表示される透かしロゴをクリックすると、チャンネル登録を促すことも可能です。
機能3:コンテンツ最適化ツール
YouTube Analytics(分析ツール)を活用し、視聴者の属性(年齢・性別・地域)、視聴時間、エンゲージメント率などを詳細に分析できます。どの動画が効果的か、どのタイミングで視聴者が離脱するかを把握し、次回の動画制作に活かせます。
機能4:コミュニティタブ
チャンネル登録者に対して、動画以外にも投稿(テキスト、画像、投票)を発信できます。「今週のボランティア募集」「緊急支援のお願い」など、タイムリーな情報を動画制作なしで発信可能です。
機能5:YouTube Shorts活用
最大60秒の縦型ショート動画で、活動のハイライトを手軽に発信できます。2025年現在、ショート動画の月間視聴者数は20億人以上で、新規支援者層へのリーチに最適です。スマートフォンで撮影・編集・投稿が完結します。
5. 非営利団体の特典
無料/割引の詳細
| 特典 | 内容 |
| YouTube非営利プログラム機能 | 完全無料 |
| どこにでもリンク可能なカード | 完全無料(通常は利用不可) |
| ブランディング機能 | 完全無料 |
| YouTube Analytics | 完全無料(詳細データ閲覧可) |
| YouTubeチャンネル作成 | 完全無料(一般ユーザーと同じ) |
| 動画アップロード | 無制限・無料 |
| ライブ配信 | 無料(モバイルは登録者1,000人以上、PCは制限なし) |
| YouTube ギビング(寄付機能) | 日本では未対応(米・英・加のみ) |
年間コスト削減効果
通常、外部サイトへのリンク機能を持つ動画プラットフォームを利用する場合、月額数万円のコストがかかりますが、YouTubeなら完全無料。
さらに、Google for Nonprofitsの他のサービス(Google Ad Grants、Google Workspaceなど)と組み合わせることで、年間数十万円~数百万円のIT・広報コスト削減が可能です。
通常プランとの違い
一般のYouTubeクリエイターと比較した場合、非営利プログラムの最大の違いは「どこにでもリンク可能なカード」です。通常のクリエイターは、YouTubeパートナープログラムに参加(登録者1,000人以上、年間視聴時間4,000時間以上)しないと外部リンク機能が制限されますが、非営利団体はすぐに利用できます。
どんな法人が対象か
Google for Nonprofitsの参加資格を満たす団体が対象です:
・特定非営利活動法人(NPO法人)
・公益社団法人・公益財団法人
・一般社団法人・一般財団法人(非営利型)
・社会福祉法人
対象外となる団体:
・政府機関、自治体
・学校法人、大学(Google for Education向けプログラムあり)
・病院・医療法人
・政治団体、宗教団体、労働組合
・営利型の一般社団法人
・任意団体(法人格がない団体)
6. 始め方
申請のステップ
ステップ1:Google for Nonprofitsに登録(前提条件)
1.Google for Nonprofits公式サイト(https://www.google.com/intl/ja_JP/nonprofits/)にアクセス
2.使ってみる」をクリックし、団体情報を入力
3.Goodstack(審査機関)による審査を受ける(3~5営業日)
4.承認されたらGoogle for Nonprofitsアカウントが有効化される
ステップ2:YouTubeチャンネルを作成
1.YouTubeにアクセスし、団体用のGoogleアカウントでログイン
2.右上のアイコンから「チャンネルを作成」を選択
3.団体名をチャンネル名に設定
ステップ3:YouTube非営利プログラムを有効化
1.Google for Nonprofitsアカウントにログイン
2.「YouTube非営利プログラム」セクションで「使ってみる」をクリック
3.作成したYouTubeチャンネルのIDを入力
4.3営業日以内に審査完了(メールで通知)
5.承認されたら、YouTubeチャンネルに非営利団体向け特典が追加される
必要な書類
Google for Nonprofitsの登録時に以下が必要:
・登記簿謄本または登記事項証明書
・定款
・事業報告書
YouTube非営利プログラム自体の追加書類は不要です。
申請から使えるまでの期間
・Google for Nonprofits登録審査:3~5営業日
・YouTube非営利プログラム有効化審査:3営業日以内
・合計:約1~2週間
申請ページのURL
Google for Nonprofits:https://www.google.com/intl/ja_JP/nonprofits/
YouTube非営利プログラム:Google for Nonprofitsアカウント内から有効化
7. 料金比較
| 項目 | 一般向け(YouTubeチャンネル) | 非営利団体向け(YouTube非営利プログラム) |
| チャンネル作成 | 無料 | 無料 |
| 動画アップロード | 無制限・無料 | 無制限・無料 |
| ライブ配信 | 無料(一部条件あり) | 無料(同条件) |
| 外部リンクカード | YouTubeパートナープログラム参加者のみ(登録者1,000人以上、年間視聴時間4,000時間以上) | すぐに利用可能(完全無料) |
| ブランディング機能 | 一部制限あり | 完全利用可能(無料) |
| YouTube Analytics | 基本機能のみ | 詳細データ閲覧可能(無料) |
| YouTube ギビング(寄付機能) | 利用不可(一部クリエイターのみ) | 日本では未対応(米・英・加のみ利用可) |
| 広告収益化 | 可能(パートナープログラム参加が必要) | 可能(ただし非営利団体は通常収益化しない) |
※2025年12月現在の情報
8. 使い方の例
例1:活動紹介動画で新規支援者を獲得
環境保全NPOが、森林再生プロジェクトの様子をスマートフォンで撮影し、5分間の動画を作成。ドローン映像(ボランティアが撮影)で森の変化を視覚的に表現し、「どこにでもリンク可能なカード」で寄付ページに誘導。動画は1ヶ月で5,000回再生され、50名の新規寄付者を獲得。
外部の動画制作会社に依頼すると30万円かかるところ、YouTubeの無料機能で実現しました。
例2:オンラインイベントをYouTubeライブで配信
国際協力NGOが、専門家を招いたオンラインシンポジウムをYouTubeライブ配信。事前にコミュニティタブで告知し、当日は全国から500名が視聴。ライブチャット機能で視聴者から質問を受け付け、双方向のコミュニケーションを実現。
配信後、アーカイブ動画を残すことで、参加できなかった人も後から視聴可能に。Zoomウェビナー(有料)の代わりにYouTubeライブを使い、年間20万円のコスト削減に成功しました。
例3:YouTube Shortsで若年層にリーチ
子ども支援NPOが、活動のハイライトを60秒のショート動画で毎週投稿。「今週のボランティア活動」「子どもたちの笑顔」など、感情に訴えるコンテンツを短く編集。
ショート動画は通常動画より拡散力が高く、1本あたり平均2万回再生を達成。若年層(10代~20代)の新規フォロワーが3ヶ月で300人増加し、ボランティア希望者も増えました。
9. 注意点
使えない場合
・任意団体(法人格がない団体)はGoogle for Nonprofitsに登録できないため、YouTube非営利プログラムも利用不可
・政府機関、学校法人、病院、政治団体、宗教団体、労働組合は対象外
・YouTube ギビング(寄付機能)は日本では利用できません(米・英・加のみ)
制限事項
・外部リンクカードで誘導できるURLは、団体が所有・管理するサイトに限定される場合があります
・YouTubeのコミュニティガイドライン違反があると、非営利プログラムの特典が停止される可能性があります
・ライブ配信は、モバイルからの場合チャンネル登録者1,000人以上が必要(PCからは制限なし)
・動画のアップロード容量制限:1本あたり最大256GB、最長12時間
うまく使うコツ
・タイトルとサムネイルに力を入れる:YouTubeでは最初の5秒が勝負。視覚的に目を引くサムネイルと、興味を惹くタイトルで再生回数が劇的に変わります
・字幕(キャプション)を必ず付ける:音声なしで視聴する人も多いため、YouTube Studioの自動字幕機能を活用しましょう
・定期的に投稿する:週1回または月2回など、一定のペースで投稿すると、YouTubeのアルゴリズムに優遇され、おすすめ動画に表示されやすくなります
・カードと終了画面を必ず設定:視聴者を寄付ページや次の動画に誘導するため、必ず設定しましょう
・コミュニティタブを活用:動画を作らなくても、テキストや画像で簡単に情報発信できます
・YouTube Shortsも併用:長尺動画とショート動画を組み合わせると、異なる視聴者層にリーチできます
10. よくある質問
Q1. YouTube ギビング(寄付機能)は日本でいつ使えるようになりますか?
A. 2025年12月現在、YouTube ギビングは日本では利用できません。Googleは「今後対象地域を拡大予定」と発表していますが、具体的な時期は未定です。
日本の非営利団体は、外部リンクカードで自団体の寄付ページに誘導する方法を使いましょう。
Q2. 動画制作の経験がないのですが、大丈夫ですか?
A. はい、問題ありません。スマートフォンで撮影した動画をそのままアップロードするだけでも十分です。YouTube Studioには簡易的な編集機能もあり、トリミング(不要部分のカット)や音楽追加が無料でできます。また、Canvaなどの無料ツールでサムネイル画像も作成できます。
Q3. 顔出しNGのボランティアが多いのですが、動画は作れますか?
A. はい、顔出しなしでも魅力的な動画は作れます。活動風景の後ろ姿、手元の作業、自然の風景、インフォグラフィック、スライドショーなど、工夫次第で効果的な動画が制作できます。ナレーションやテキスト説明を活用しましょう。
Q4. すでに一般のYouTubeチャンネルを持っていますが、非営利プログラムに切り替えられますか?
A. はい、既存のYouTubeチャンネルを非営利プログラムに変更できます。Google for Nonprofitsに登録後、YouTube非営利プログラムの有効化時に、既存チャンネルのIDを入力すれば、そのチャンネルに非営利団体向け特典が追加されます。
Q5. 動画はどのくらいの長さが理想ですか?
A. 用途によります。活動紹介動画は3~5分、イベント告知は1~2分、教育コンテンツは10~20分、ライブ配信は30分~1時間が一般的です。YouTube Analyticsで視聴者維持率を確認し、どの時点で視聴者が離脱しているかを分析して、次回の動画に活かしましょう。
11. 似たツールとの比較
Vimeo
動画共有プラットフォームとして、広告なしの高画質動画配信が可能です。プロフェッショナルな印象を与えられますが、無料プランでは週のアップロード容量が制限され、月間再生回数にも上限があります。また、YouTubeほどの視聴者数は期待できません。
Facebook Live / Instagram Live
SNSでのライブ配信機能で、既存のフォロワーに即座にリーチできます。ただし、アーカイブ動画の長期保存やSEO効果(検索エンジン最適化)ではYouTubeに劣ります。FacebookやInstagramは「既存のフォロワー向け」、YouTubeは「新規視聴者獲得」に適しています。
TikTok
若年層(10代~20代)へのリーチに最適なショート動画プラットフォームです。拡散力は非常に高いですが、外部サイトへの誘導は制限されており、非営利団体向けの特別プログラムも日本では未整備です。YouTube Shortsと併用することをおすすめします。
YouTube非営利プログラムを選ぶべき理由
YouTubeは世界最大の動画プラットフォームで、月間視聴者数約30億人、日本国内でも利用率が非常に高く、幅広い年齢層にリーチできます。Google検索とも連携しており、動画がGoogle検索結果に表示されるため、長期的な情報資産になります。
さらに、非営利プログラムでは外部リンクカードなど特別な機能が完全無料で使え、寄付者獲得やボランティア募集に直結する導線を作れます。動画の保存期間に制限がなく、一度アップロードすれば半永久的に残るため、コストパフォーマンスが圧倒的に高いツールです。
12. まとめ
YouTube非営利プログラムは、非営利団体が世界中の視聴者に活動を伝え、支援者・ボランティア・寄付者とのつながりを広げるための強力なツールです。Google for Nonprofitsに登録するだけで、外部リンクカード、ブランディング機能、詳細分析ツールなど、非営利団体向けの特別機能が完全無料で利用できます。
月間約30億人が利用するYouTubeで、スマートフォン1台から始められる動画発信により、団体の認知度向上、寄付者拡大、ボランティア募集など、あらゆる広報活動を強化できます。YouTube Shortsも活用すれば、若年層へのリーチも簡単です。ただし、YouTube ギビング(寄付機能)は日本では未対応のため、外部リンクカードで自団体の寄付ページに誘導する工夫が必要です。
次にやるべきこと
まずはGoogle for Nonprofits(https://www.google.com/intl/ja_JP/nonprofits/)に登録し、承認を受けましょう。その後、団体用のYouTubeチャンネルを作成し、YouTube非営利プログラムを有効化してください。初めての動画は、スマートフォンで撮影した3分程度の活動紹介動画で十分です。
「なぜこの活動をしているのか」「誰を支援しているのか」「どんな変化が生まれているのか」をストーリーとして伝え、動画の最後にカードで寄付ページやボランティア募集サイトへのリンクを設置しましょう。YouTube Studioの分析ツールで効果を測定しながら、定期的に投稿を続けることが成功の鍵です。
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