記録業務が1日2時間から30分へ|介護ソフト導入で「書く仕事」から「ケアの仕事」に戻れた

「記録を書くために介護士になったんじゃない」 「残業して書き終えるのが当たり前になっていて、それが普通だと思い込んでいたんです。ある日、新卒のスタッフが『記録の時間が多すぎて、入居者さんとゆっくり話せない』と泣きながら話してくれて、初めてハッとしました」 こう語るのは、通所介…

記録業務が1日2時間から30分へ|介護ソフト導入で「書く仕事」から「ケアの仕事」に戻れた

「記録を書くために介護士になったんじゃない」

「残業して書き終えるのが当たり前になっていて、それが普通だと思い込んでいたんです。ある日、新卒のスタッフが『記録の時間が多すぎて、入居者さんとゆっくり話せない』と泣きながら話してくれて、初めてハッとしました」

こう語るのは、通所介護(デイサービス)の管理者。紙ベースの記録業務が常態化していたこの事業所では、ベテランスタッフほど「これが当たり前」と疑問を持てずにいました。しかし現実は、毎日の記録業務が直接ケアの時間を削り続けていたのです。


導入前の課題:1日2時間の”記録残業”が続く日々

定員40名のデイサービスでスタッフ数は常勤換算12名。サービス提供時間が終わった後、スタッフは連日1〜2時間の記録業務をこなしていました。

課題の実態(導入前の計測データより)
1人あたりの記録業務時間:1日平均110分(うち残業分が約45分)
記録の転記作業(紙→PCへの月次集計)に月間約20時間を費やしていた
申し送りノートへの転記ミス・読み間違いによるヒヤリハットが月3〜4件発生
介護報酬請求のための集計作業に毎月2名×丸2日が必要で、その間はケアが手薄になっていた
LIFEへのデータ登録が手作業で、加算取得の機会損失が年間約85万円と試算されていた

「記録に追われて、入居者さんの変化に気づけないことがあった。それが一番つらかった」とスタッフの一人は言います。紙の記録は情報共有の遅れも招き、家族への報告が後手に回ることも少なくありませんでした。


補助金の活用内容:職員12名規模で160万円の補助を獲得

この事業所が活用したのは、地域医療介護総合確保基金「介護テクノロジー導入支援事業(ICT導入支援)」です。職員数11〜20名の区分に該当し、補助上限額は160万円(補助率3/4)でした。

費用内訳

項目金額
介護ソフト(LIFE標準仕様対応・ケアプランデータ連携機能付き)120万円
タブレット端末(8台)56万円
Wi-Fi機器・設置工事30万円
初期設定・スタッフ研修費用14万円
合計(総額)220万円
補助額(3/4)160万円
自己負担額(1/4)60万円

補助要件として、LIFE標準仕様を実装した介護ソフトで実際にデータ登録を行うこと、およびケアプランデータ連携システムの利用が条件となりました。また、導入と同時に第三者による業務改善支援(コンサルタント派遣)を受け、記録フローの全面見直しも実施しました。


導入後の効果:記録時間が78%減、加算取得で収益も改善

Before → After(導入後6ヶ月時点)

指標導入前導入後変化
1人あたり記録業務時間(日)約110分約24分▲78%減
月次集計・転記作業時間約20時間約2時間▲90%減
記録ミス起因のヒヤリハット(月)3〜4件0件ゼロ達成
月次請求業務(人日)4人日1人日▲75%減
LIFE加算の取得状況未取得科学的介護推進体制加算Ⅱ取得月約7万円の増収

時間削減の効果を年換算すると、スタッフ1人あたり年間約290時間の業務時間が創出されました。その時間はレクリエーションの充実や個別ケアの見直しに充てられており、「ようやく入居者さんの顔を見て話せるようになった」という声が現場から上がっています。

LIFE加算の取得による月間約7万円の増収は、年間84万円の収益改善につながり、自己負担60万円の投資を1年以内に回収しました。


まとめ:「記録」を変えると、「ケア」が変わる

ICT化は難しいと感じる事業者も多いですが、今回の事例では導入から1ヶ月でほぼ全スタッフがタブレット操作に慣れ、研修コストも補助対象に含めることができました。

補助率3/4という手厚い支援制度を活用すれば、自己負担を抑えながら大きな変革を起こせます。「うちは小さいから」「ITが苦手だから」と諦めず、まずは都道府県の介護生産性向上総合相談センターへ相談してみることをおすすめします。記録業務を変えた先に、本来の介護の喜びが待っています。


※本事例はモデルケースです。実際の補助額・効果は施設規模や都道府県の実施状況により異なります。補助金の申請にあたっては、各都道府県の担当窓口にご確認ください。

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