活用コース:人材育成支援コース(人材育成訓練・OFF-JT)
「正直、入社してすぐに現場に出ても、認知症の方への接し方がまったくわからなくて。毎晩帰りながら”自分は向いていないのかも”と悩んでいました。でも研修を受けてから、ケアの意味がわかるようになって、仕事が楽しくなったんです。辞めなくてよかったと、本当に思います」
──入職2年目の訪問介護スタッフ(30代・女性)
導入前の課題
スタッフ数24名のある訪問介護事業所では、慢性的な人材不足と高い離職率が深刻な経営課題となっていました。直近2年間の平均離職率は28.3%。
業界平均(約15%前後)を大幅に上回り、採用コストだけで年間約180万円を費やしながらも、人員の安定確保ができない悪循環に陥っていました。
管理者へのヒアリングで浮かび上がったのは、「現場でのケア判断に自信が持てない」という新人・中堅スタッフの声でした。特に認知症利用者との関わり方について、OJTだけでは学びきれない知識・技術のギャップが生じており、「怖い・つらい・辞めたい」という感情につながっていたのです。
入職1年以内の離職者を対象にした退職理由アンケートでは、実に67%が「ケアへの不安・自信のなさ」を挙げていました。
外部の認知症ケア専門研修を受講させることも検討しましたが、1名あたりの受講費用が5万〜8万円と高額で、スタッフ全員に受けさせる予算の余裕がなく、導入を断念してきた経緯がありました。
補助金の活用内容
| 項目 | 内容 |
| 助成金コース | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) |
| 訓練種別 | 人材育成訓練(OFF-JT) |
| 対象スタッフ数 | 18名(正社員・登録ヘルパー含む雇用保険被保険者) |
| 訓練内容 | 認知症ケア専門研修(演習含む・計24時間) |
| 訓練経費総額 | 108万円(受講料・教材費・外部講師費) |
| 経費助成額(助成率75%) | 81万円 |
| 賃金助成額 | 約13.7万円(760円×18名×10時間) |
| 助成合計 | 約94.7万円 |
| 法人の実質自己負担 | 約13.3万円 |
研修は全6回(1回4時間)のシリーズ形式で実施。外部の認知症ケア専門家を講師として招き、座学だけでなくロールプレイや事例検討も組み合わせた実践的な内容としました。計画届を所轄の労働局に提出後、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行いました。
導入後の効果(Before → After)
| 指標 | Before(研修前) | After(研修後1年) |
| 年間離職率 | 28.3% | 14.6%(約半減) |
| 採用・研修コスト | 年間約180万円 | 年間約95万円(約47%減) |
| 新人の「ケアに自信なし」比率 | 82% | 31%(大幅低下) |
| 認知症関連ヒヤリハット件数 | 月平均11件 | 月平均5件(約55%減) |
まとめ
今回の事例で特筆すべきは、わずか13.3万円の自己負担で108万円規模の研修を実現できた点です。
離職率が半減したことで採用・研修コストが年間約85万円削減され、助成金活用の投資対効果は非常に高いものとなりました。
「お金がないから研修できない」という理由で人材育成を先送りにすることが、実は最大のコスト増につながっているケースは少なくありません。人材開発支援助成金は、限られた予算の中でスタッフの成長を支え、現場を元気にする強力な味方になります。
※本事例はモデルケースです。実際の助成額・効果は事業所の規模・訓練内容・申請状況等により異なります。最新の助成率・要件は厚生労働省の公式情報をご確認ください。
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