障がい者支援に関わる方にとって、「相談支援専門員」は重要な役割を担う専門職です。相談支援専門員とは、障がいのある方やその家族が適切な福祉サービスを受けられるよう、サービス等利用計画を作成し、関係機関と連携してサポートする専門職です。
資格取得には、実務経験3〜10年と相談支援従事者初任者研修の受講が必要ですが、「どのルートが自分に合っているのか」「研修は難しいのか」「費用はいくらかかるのか」など、具体的な情報が不足していると感じる方も多いでしょう。
この記事では、相談支援専門員資格の取得方法を3ステップで解説し、最短ルートで目指す方法や研修の実践的な情報をお伝えします。実際に相談支援専門員として働く経験をもとに、失敗しないための具体的なアドバイスも含めて紹介します。
相談支援専門員資格とは?3つの重要ポイント
相談支援専門員資格について、まず押さえておきたい3つのポイントを解説します。
ポイント1: 国家資格ではなく「従事資格」
相談支援専門員は国家資格ではありません。 実務経験と研修を修了することで、相談支援専門員として従事できる「従事資格」です。
ポイント2: 5年ごとに更新が必要
相談支援専門員は5年ごとに「相談支援従事者現任研修」を受講し、資格を更新する必要があります。 更新を逃すと資格が失効し、再度初任者研修から受講することになるため注意が必要です。
ポイント3: 実務経験のルートは3種類
相談支援専門員になるための実務経験ルートは、
大きく3つに分かれます:
・3年ルート: 国家資格保有者+相談支援業務or介護業務3年
・5年ルート: 相談支援業務5年、または特定資格保有者+介護業務5年
・10年ルート: 介護業務10年(無資格可)
自分に合ったルートを選ぶことで、最短距離で相談支援専門員を目指せます。
相談支援専門員になる3ステップ
相談支援専門員になるには、以下の3ステップを踏む必要があります。
ステップ1: 実務経験を積む(3〜10年)
やること:
・障がい者支援施設、医療機関、介護施設などで実務経験を積む
・自分に合ったルート(3年・5年・10年)を選択
所要期間: 3〜10年(ルートによる)
実務経験3年・5年・10年、どのルートを選ぶべき?
実務経験のルートは、現在の資格や経験によって選択肢が変わります。以下の表を参考に、自分に最適なルートを見つけましょう。
| ルート | 条件 | 向いている人 | 所要期間目安 |
| 3年ルート | 国家資格(看護師、社会福祉士など)保有+相談支援業務or介護業務3年 | すでに福祉・医療系国家資格を持っている方 | 最短3年 |
| 5年ルート | ①相談支援業務5年、または②特定資格(社会福祉主事任用資格など)+介護業務5年 | 福祉施設で相談業務に従事している方、または介護職で特定資格を持っている方 | 5年 |
| 10年ルート | 介護業務10年(無資格可) | 無資格で介護職に就いている方 | 10年 |
最短ルート例:
看護師資格を持っている方が障がい者施設で相談支援業務に3年従事すれば、最短で研修受講が可能です。
ステップ2: 相談支援従事者初任者研修を受講(約7ヶ月)
やること:
・都道府県が実施する研修に申し込む
・講義2日間+演習5日間(計42.5時間)を受講
・インターバル実習を2回実施
所要期間: 申し込みから修了証交付まで約7ヶ月
研修の申し込みから修了までの実際の流れ
・申し込み(4〜6月頃):都道府県のホームページから申請書類を提出
・審査(1〜2ヶ月):実務経験の確認
・講義・演習(7〜10月頃):7日間(42.5時間)の研修を受講
・修了証交付(11〜12月頃):研修修了後、修了証が交付される
研修の費用:都道府県によって異なりますが、1〜3万円程度が一般的です。
研修内容の詳細
・講義2日間:相談支援の基礎知識、障がい者総合支援法、サービス等利用計画の作成方法
・演習5日間:実際の利用者を想定した面談演習、アセスメント、プランニング
・インターバル実習(2回): 実際に利用者との面談、情報収集、計画作成を実践
研修の難易度は?
相談支援従事者初任者研修には 試験はありません。 全カリキュラムを出席し、課題を提出すれば修了できます。ただし、演習では実践的なスキルが求められるため、事前学習が重要です。
失敗しないコツ:
・事前に障がい者総合支援法の基礎を学んでおく
・インターバル実習では、職場の上司や先輩に相談しながら進める
・演習では積極的に発言し、他の受講者と交流する
ステップ3: 相談支援事業所で従事開始
やること:
・相談支援事業所や基幹相談支援センターに就職
・相談支援専門員として業務開始
所要期間:
修了証交付後すぐ
資格取得後のキャリアパス:
相談支援専門員として5年以上の実務経験を積むと、主任相談支援専門員を目指すことができます。主任相談支援専門員になると、平均給与が約7万円アップします。
無資格から相談支援専門員を目指す最短ルート
無資格の方が相談支援専門員を目指す場合、介護業務10年ルートが基本です。しかし、以下の方法で期間を短縮できます。
方法1: 介護業務と並行して資格を取得
社会福祉主事任用資格を取得すると、実務経験が10年から5年に短縮されます。
具体例:
介護職として3年働きながら、社会福祉主事任用資格を取得。その後、さらに2年の実務経験で研修受講資格を得る → 合計5年
方法2: 国家資格の取得を目指す
社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を取得すれば、実務経験が3年に短縮されます。
具体例:
介護職として働きながら通信制大学で社会福祉士を取得。その後、相談支援業務に3年従事 → 合計約6〜7年(国家資格取得期間含む)
相談支援専門員に活かせる資格一覧
相談支援専門員を目指すうえで、実務経験の短縮に活かせる資格をまとめました。
国家資格(実務経験3年に短縮)
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、言語聴覚士、栄養士(管理栄養士含む)など
特定資格(実務経験5年に短縮)
・社会福祉主事任用資格
・保育士
・児童指導員任用資格
・精神障害者社会復帰指導員任用資格
どの資格を取るべき?
・最短を狙うなら:社会福祉士(国家資格)
・費用を抑えるなら: 社会福祉主事任用資格(通信制大学で取得可)
・介護職のキャリアアップなら:介護福祉士(国家資格)
相談支援専門員の仕事内容と働く場所
相談支援専門員の主な仕事内容は以下の4つです:
・基本相談支援: 利用者やご家族からの相談対応
・地域相談支援:施設や病院から地域生活への移行支援
・計画相談支援:サービス等利用計画の作成・モニタリング
・障がい児相談支援: 18歳未満の障がい児支援計画の作成
主な職場:
・相談支援事業所(指定特定相談支援事業所、指定一般相談支援事業所)
・基幹相談支援センター
・障がい者支援施設(相談員として)
よくある質問(FAQ)
Q1: 相談支援専門員は無資格でもなれますか?
A:はい、介護業務10年の実務経験があれば、無資格でも研修を受講できます。ただし、社会福祉主事任用資格などを取得すれば5年に短縮可能です。
Q2: 研修に試験はありますか?落ちることはありますか?
A:相談支援従事者初任者研修に試験はありません。全カリキュラムを出席し、課題を提出すれば修了できます。ただし、無断欠席や課題未提出は修了できません。
Q3: 研修の費用はどれくらいかかりますか?
A:都道府県によって異なりますが、1〜3万円程度が一般的です。
Q4: 相談支援専門員の給料はどれくらいですか?
A:調査によると、常勤の相談支援専門員の平均給与は月額約36.5万円、年収約437万円です。主任相談支援専門員になると、月額約43.5万円に上がります。
Q5: 5年ごとの更新を忘れたらどうなりますか?
A:資格が失効し、再度初任者研修から受講する必要があります。更新を逃さないよう、修了証に記載された更新期限を確認しておきましょう。
まとめ|相談支援専門員資格で障がい者支援のプロになろう
相談支援専門員資格は、実務経験3〜10年と相談支援従事者初任者研修の受講で取得できる従事資格です。
この記事のポイント:
・実務経験のルートは3種類(3年・5年・10年)、自分に合ったルートを選ぶ
・研修は試験なしで7ヶ月程度、費用は1〜3万円
・無資格からでも目指せるが、資格取得で最短3年に短縮可能
・5年ごとの更新が必要、更新を逃すと失効するので注意
次のアクション:
まずは自分の実務経験がどのルートに該当するか確認し、都道府県のホームページで研修の開催時期をチェックしましょう。相談支援専門員として、障がいのある方とそのご家族の生活を支える第一歩を踏み出してください。
ORDEN COMPASS 資料ダウンロード一覧
補助金カレンダー、非営利団体向けツール100選、経営者向け実務資料など、福祉事業所のIT・経営担当者必読の資料を一元化。すべて無料DL。
📩 資料一覧を見る →