「障害のある家族が安心して暮らせる場所を探したい」
障害者グループホームとは、障害のある方が世話人の支援を受けながら少人数で共同生活を送る住居です。一人暮らしは不安だけれど自立した生活を目指したい方に最適な選択肢となります。
この記事では、入居条件から費用、施設選びの具体的なチェックポイント、実際の手続きまで、入居を検討する方が知っておくべき情報を5つのステップで解説します。全国で約14万人が利用し、7割以上が生活に満足している障害者グループホームについて、実践的な視点からお伝えします。
読み終える頃には、ご家族に合ったグループホームを自信を持って選べるようになるでしょう。
障害者グループホームとは|少人数制の共同生活住居
障害者総合支援法が定める福祉サービス
障害者グループホームは、正式には「共同生活援助」と呼ばれる障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。障害のある方が世話人や生活支援員のサポートを受けながら、地域社会の中で自立した生活を送るための住まいとして位置づけられています。
2021年時点で全国に約14万人の利用者がおり、近年も増加傾向にあります。施設の形態は一戸建て、マンション、アパートなど多様で、入居定員は原則10名以下と少人数制が基本です。個室のほかにリビングや食堂などの共用スペースがあり、家庭的な雰囲気の中で生活できる環境が整っています。
障害者支援施設との3つの違い
障害者グループホームと障害者支援施設は、支援の目的と生活スタイルが大きく異なります。
第一に、グループホームは「地域での自立生活」を目指す少人数制の住居型施設です。一方、障害者支援施設は重度の障害がある方向けの24時間包括支援施設で、規模も20名以上と大きくなります。
第二に、日中の過ごし方が異なります。グループホームの利用者は日中に就労支援事業所に通ったり仕事をしたりと社会参加が中心です。対して障害者支援施設では施設内での生活介護が基本となります。
第三に、支援の手厚さが違います。グループホームは主に夜間の支援が中心ですが、障害者支援施設は24時間体制で食事・入浴・排泄などの介護を提供します。つまり、より自立度が高い方にはグループホーム、手厚い介護が必要な方には障害者支援施設が適しているのです。
障害者グループホームの4つの種類と選び方
介護サービス包括型|最も利用者が多い標準タイプ
介護サービス包括型は、全体の約6割を占める最もスタンダードなタイプです。主に朝の出勤前と夜の帰宅後に食事・入浴などの支援を受けられます。日中は仕事や通所施設に通う方が中心で、知的障害のある方の利用が約7割を占めています。
世話人が掃除・洗濯・炊事などの家事サポートや相談援助を行い、生活支援員が必要に応じて食事や入浴の介助を提供します。休日や深夜早朝の職員配置は任意のため、この時間帯の支援が必要な場合は事前確認が重要です。
日中サービス支援型|24時間体制の手厚い支援
日中も含めて24時間体制で職員が配置されているのが日中サービス支援型です。障害支援区分4以上の比較的重度の障害がある方の利用が約8割を占めています。
昼夜を問わず1人以上の職員が常駐しており、日中も介護が必要な方に適しています。短期入所施設の併設が義務付けられているため、緊急時の一時宿泊先としても機能します。日中活動が困難で手厚い支援を必要とする方や、医療的ケアが必要な方に向いています。
外部サービス利用型|介護を外部委託するタイプ
外部サービス利用型は、世話人による家事サポートや相談援助を受けつつ、食事・入浴などの介護は委託先のホームヘルパーが提供する形態です。精神障害のある方の利用が約6割を占めています。
介護の専門性を外部の居宅介護事業所に委託することで、より専門的なケアを受けられる可能性があります。ただし、複数の事業所との連携が必要になるため、情報共有の仕組みを事前に確認しましょう。
サテライト型|一人暮らし準備の独立支援タイプ
サテライト型は、本体グループホームから移動時間20分圏内のアパートなどで一人暮らしに近い生活を送る形態です。利用期間は原則2〜3年と定められており、完全な自立に向けた準備段階として位置づけられています。
世話人の巡回支援を受けながら、食事や余暇活動は本体グループホームで行えます。「将来は一人暮らしをしたいが、いきなりは不安」という方に最適な選択肢です。単身生活が可能と認められる程度の自立度が求められます。
入居条件と費用|18歳以上なら障害支援区分不問
利用できる5つの対象者と年齢制限
障害者グループホームは、以下の条件を満たす方が利用できます。
対象となる障害:
・知的障害のある方
・身体障害のある方
・精神障害のある方
・発達障害のある方
・難病を患っている方
年齢条件:
原則18歳以上です。ただし、児童相談所が必要と認めた場合は15歳以上から利用可能です。身体障害のある方は、65歳未満または65歳の誕生日前日までに障害福祉サービスを利用した経験がある場合に限られます。
重要なポイントは、障害者手帳の有無や障害支援区分に関わらず利用できる点です。ただし、共同生活を送れる程度の自立度は必要とされ、施設によって対象とする障害種別や区分が定められている場合があります。
月額費用の内訳と自己負担上限額
障害者グループホームの利用には以下の費用が発生します。
主な費用項目:
・家賃: 月額3〜5万円(地域・施設により変動)
・食費: 月額3〜4万円
・光熱費: 月額1〜2万円
・サービス利用料: 原則1割負担(所得に応じて上限あり)
自己負担上限額(月額):
・生活保護受給世帯: 0円
・市町村民税非課税世帯: 0円
・上記以外の世帯: 37,200円
総額では月額7万円〜11万円程度が目安となりますが、低所得世帯には「特定障害者特別給付費」として月額上限1万円の家賃補助が受けられます。さらに自治体独自の補助制度がある場合もあるため、お住まいの市区町村に確認しましょう。
敷金・礼金などの初期費用が不要な施設が多く、家具や電化製品も備え付けられているため、比較的低コストで入居できる点が大きなメリットです。
施設選びの5つのチェックポイント
1. 支援体制と職員配置|24時間対応の有無
施設見学時には、まず職員の配置状況を確認しましょう。世話人や生活支援員の人数、勤務シフト、夜間の対応体制が重要です。特に医療的ケアが必要な場合は、看護師の配置状況や緊急時の連絡体制を詳しく聞いておきましょう。
「深夜や休日に急な体調不良があった場合、どのように対応しますか」と具体的に質問することで、実際の支援レベルが見えてきます。利用者に対する職員の対応や言葉遣いも、日常的な支援の質を判断する重要な材料です。
2. 立地と通所先へのアクセス|移動時間30分以内が理想
日中活動先への通いやすさは、生活の質に直結します。就労支援事業所や職場までの距離、公共交通機関の利用しやすさ、バス停や駅までの道のりの安全性を実際に確認しましょう。
理想は移動時間30分以内です。通所に1時間以上かかると、日々の負担が大きくなり継続が困難になるケースがあります。また、買い物や病院などの生活に必要な施設が徒歩圏内にあるかもチェックポイントです。
3. 居室環境と共用スペース|プライバシーと交流のバランス
個室の広さ、収納スペース、採光、防音性能を確認します。一人の時間を大切にできる環境が整っているかが重要です。可能であれば実際の居室を見せてもらいましょう。
共用スペースでは、リビングの広さ、食堂の雰囲気、浴室やトイレの清潔さと数をチェックします。他の入居者との交流の様子を観察することで、施設全体の雰囲気がつかめます。明るく笑顔が見られる環境かどうかが判断材料になります。
4. 食事内容と生活ルール|柔軟性と個別対応
食事は毎日のことなので、メニューの多様性、栄養バランス、アレルギーや好き嫌いへの対応を確認しましょう。可能であれば試食や夕食会への参加をお勧めします。
生活ルールについては、外出時の届出方法、門限の有無、来客のルール、喫煙・飲酒の規定などを詳しく聞きます。ルールが厳しすぎると窮屈に感じる一方、緩すぎるとトラブルの原因になります。本人の生活スタイルに合った柔軟性があるかがポイントです。
5. 既存入居者の雰囲気と定着率|長期利用者の多さが安心の証
現在の入居者の年齢層、障害種別、雰囲気を確認します。本人と年齢や障害が近い入居者がいると、コミュニケーションが取りやすくなります。
また、入居者の定着率や平均利用期間を聞いてみましょう。長期利用者が多い施設は、支援の質が高く生活しやすい環境である証拠です。逆に入れ替わりが激しい場合は、何らかの問題がある可能性があります。可能であれば、既存入居者やその家族の声を聞く機会を設けてもらいましょう。
入居までの5ステップと所要期間
ステップ1: 相談と情報収集(1〜2週間)
まずはお住まいの市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に相談します。相談支援専門員が、本人の状況や希望を丁寧に聞き取り、適した施設のタイプや利用可能なサービスをアドバイスしてくれます。
同時に、インターネットや施設のパンフレットで情報を収集し、候補となる施設を3〜5カ所リストアップしましょう。この段階で障害者手帳を持っていない場合は、並行して申請手続きを進めます。
ステップ2: 障害支援区分の認定(2〜4週間)
市区町村の窓口で障害支援区分の認定調査を申請します。調査員が自宅を訪問し、日常生活の状況について聞き取り調査を実施します。主治医の意見書も必要です。
調査結果をもとに、コンピューターによる一次判定と市町村審査会による二次判定が行われ、区分1〜6または非該当が決定されます。認定には通常2〜4週間かかるため、早めの申請が重要です。
ステップ3: 施設見学と体験入居(1〜2週間)
候補施設に連絡を取り、見学の予約を入れます。平日の夕方や休日など、入居者が多い時間帯に訪問すると実際の生活の様子がわかります。前述の5つのチェックポイントを意識しながら、施設の雰囲気や職員の対応を確認しましょう。
施設によっては1泊〜数日の体験入居が可能です。実際に食事や入浴を体験することで、相性を判断できます。本人が「ここで暮らしたい」と感じられるかが最も重要な判断基準です。
ステップ4: 受給者証の申請と支給決定(2〜4週間)
入居したい施設が決まったら、障害福祉サービス受給者証の申請を行います。相談支援専門員と一緒に「サービス等利用計画案」を作成し、市区町村に提出します。
市区町村は障害支援区分や本人の意向を勘案して支給決定を行い、受給者証が自宅に届きます。この期間は通常2〜4週間です。緊急性が高い場合は、その旨を伝えると優先的に対応してもらえる場合があります。
ステップ5: 契約と入居準備(1〜2週間)
受給者証が届いたら、施設と正式に契約を結びます。重要事項説明を受け、利用料金、支援内容、生活ルールなどを確認した上で契約書に署名します。
入居準備として、衣類・タオル・洗面用具・寝具などを用意します。施設によって備品の範囲が異なるため、持ち込むものリストを事前にもらいましょう。住民票の異動手続きを済ませ、いよいよ入居となります。
全体の所要期間:
申請開始から入居まで、順調に進めば約2〜3カ月が目安です。ただし、施設の空き状況によっては待機期間が発生する場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 一人暮らしとグループホーム、どちらが向いていますか?
A: 日常生活の大部分を自分で行える方は一人暮らし、食事や金銭管理などに不安がある方はグループホームが適しています。まずはサテライト型で練習するのも良い選択です。
Q2: 入居後に他の施設へ移ることは可能ですか?
A: 可能です。相性が合わない場合や生活スタイルの変化があれば、相談支援専門員に相談して別の施設を探せます。ただし頻繁な転居は避け、まずは3カ月程度は慣れる努力をしましょう。
Q3: 家族の面会や外泊はできますか?
A: ほとんどの施設で面会は自由にできます。外泊も事前に世話人に伝えれば問題ありません。家族との時間を大切にできる環境が整っています。
Q4: 施設が合わなかった場合、すぐに退去できますか?
A: 契約内容によりますが、通常は1カ月前予告で退去可能です。ただし、問題があれば早めに世話人や管理者に相談することで、改善できる場合が多くあります。
Q5: 医療的ケアが必要でも入居できますか?
A: 施設によって対応可能な医療的ケアの範囲が異なります。看護師が配置されている日中サービス支援型の施設では、たんの吸引や胃ろう管理などに対応できる場合があります。
Q6: 入居中に就職先が変わったらどうなりますか?
A: 問題ありません。世話人が新しい就労先との連絡調整をサポートしてくれます。通勤が困難になった場合は、立地の良い施設への転居も検討できます。
Q7: ペットを飼うことはできますか?
A: ほとんどの施設ではペット飼育は認められていません。他の入居者へのアレルギーや衛生面の配慮が必要なためです。ペットとの暮らしを希望する場合は、一人暮らしやサテライト型を検討しましょう。
まとめ|本人に合った環境選びが自立への第一歩
障害者グループホームは、障害のある方が支援を受けながら地域社会で自立した生活を送るための重要な選択肢です。入居には18歳以上であることと障害があることが条件で、月額7〜11万円程度の費用で利用できます。
施設選びでは、支援体制・立地・居室環境・食事とルール・既存入居者の雰囲気という5つのチェックポイントを重視しましょう。入居までは2〜3カ月かかるため、早めの相談開始が大切です。
まずはお住まいの市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に相談し、候補施設の見学予約を入れることから始めましょう。実際に足を運んで雰囲気を確かめることで、本人が安心して暮らせる環境が見つかります。グループホームでの生活が、自立への確かな一歩となることを願っています。
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