介護離職防止支援助成金の申請ガイド|5ステップで進める実務対応

両立支援等助成金「介護離職防止支援コース」の助成区分と申請手順を5ステップで解説。2025年改正対応の制度整備、介護支援プラン作成、申請期限の管理など、人事担当者向けの実務ガイドです。

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介護離職防止支援助成金の申請ガイド|5ステップで進める実務対応

介護離職防止支援とは、家族の介護を理由とする離職を防ぐため、企業が仕事と介護の両立を支援する取り組みを指します。国は中小企業向けに、両立支援等助成金「介護離職防止支援コース」を用意しており、介護休業の取得・復帰支援、両立支援制度の整備、業務代替体制の確保、雇用環境整備の取り組みに対して助成を行います。

40代・50代の中核人材を介護離職で失うことは企業にとって大きな損失です。本記事では、助成区分の概要、2025年4月の育児・介護休業法改正への対応ポイント、申請までの5ステップを、厚生労働省の公表情報をもとに整理します。具体的な助成額は年度ごとに見直しがあるため、最新の支給要領で必ず確認してください。

介護離職防止支援コースの基礎知識

中小企業の定義

このコースは中小企業が対象です。中小企業の定義は業種ごとに「資本金」または「常時雇用する労働者数」のいずれかが基準以下であることとされ、目安は以下のとおりです。

業種資本金または 労働者数
小売業・飲食店5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他3億円以下300人以下

助成の主な区分

「介護離職防止支援コース」は複数の区分で構成されており、各区分で要件と支給額が異なります。詳細な金額は年度ごとの公募要領を確認してください。

  • 介護休業支援: 介護支援プランを作成し、対象労働者が介護休業を取得・職場復帰した場合の助成
  • 介護両立支援制度: 短時間勤務、フレックスタイム、所定外労働の制限など柔軟な働き方の制度を導入・利用させた場合の助成
  • 業務代替支援: 介護休業中の業務を新規雇用や派遣で代替した場合、または手当を支給した場合の助成
  • 雇用環境整備加算: 研修実施、相談窓口設置、取得事例の収集・提供、取得促進方針の周知をすべて実施した場合の加算

2025年4月の法改正ポイント

育児・介護休業法の改正により、企業の義務が強化されました。

  • 介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認の義務化
  • 40歳到達時など早期段階での介護両立支援制度に関する情報提供の義務化
  • 介護休暇取得の勤続6か月未満除外規定の廃止
  • 介護のためのテレワーク選択肢の提供が努力義務化

助成金受給に必要な前提条件

条件1: 就業規則への明記と労基署への届出

介護休業制度および所定労働時間の短縮措置を、労働協約または就業規則に明記する必要があります。就業規則を変更した場合は、労働基準監督署への届出も必須です。常時10人未満の事業所でも、助成金申請には就業規則の整備が求められます。

条件2: 介護支援プランの作成

対象労働者と面談を実施し、「面談シート兼介護支援プラン」を作成します。業務の整理方法、引き継ぎ内容、復帰後の配置などを具体的に記載します。厚生労働省様式を使用すれば記入漏れを防げます。

条件3: 対象家族の要介護状態の証明

対象家族は配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。要介護状態は、介護保険被保険者証または医師の診断書などで証明します。

5ステップで進める実務対応

ステップ1: 就業規則の整備と社内周知

まず就業規則に介護休業制度を明記します。既に記載がある場合も、2025年法改正に対応した内容か確認が必要です。盛り込むべき項目には、介護休業の取得要件(最大93日、3回まで分割取得可)、介護休暇(年5日、対象家族が2人以上で10日、時間単位取得可)、短時間勤務など複数の両立支援制度、原職復帰の原則などが含まれます。

変更後は労働基準監督署に届出を行い、全従業員に周知します。社内イントラネット掲載、説明会開催、メール配信など、複数の方法で周知し、その証拠(配信メール、説明会の参加者名簿、掲示の写真など日付入り)を確実に保管しましょう。

ステップ2: 従業員の家族状況の把握

助成金は介護休業を取得した実績に基づいて申請するため、対象となる従業員を事前に把握しておくことが重要です。40歳以上の従業員を中心に、匿名アンケートや個別面談で要介護状態の家族の有無、今後の介護発生リスク、両立支援制度の認知度を確認します。

2025年4月から40歳到達時の情報提供が義務化されたため、この機会に介護保険制度や地域包括支援センターの情報を提供しましょう。

ステップ3: 相談窓口の設置と研修実施

雇用環境整備加算を受けるには、以下4つすべての実施が必要です。

  • 介護休業・両立支援制度の研修実施
  • 相談体制の整備(相談窓口設置)
  • 取得事例の収集・提供
  • 取得促進方針の周知

最も取り組みやすいのは人事部内に相談窓口を設置することです。専任担当者を置く必要はなく、「介護に関する相談は人事部○○まで」と周知するだけでも要件を満たします。研修は、管理職向けに「部下から介護の相談を受けた際の対応方法」を伝える短時間の説明会で十分です。

ステップ4: 介護支援プランの作成と面談実施

従業員から介護休業の申し出があったら、速やかに面談し、「面談シート兼介護支援プラン」を作成します。記載項目は次のとおりです。

  • 対象家族の要介護状態と介護の見込み期間
  • 休業期間中の業務の整理・引き継ぎ方法
  • 代替要員の確保方法
  • 職場復帰後の配置と業務内容
  • フォロー面談の予定

原則として休業開始前にプラン作成が必要です。緊急の場合は同時並行も認められますが、経緯を記録しておきましょう。厚生労働省の様式を使用すると記入漏れを防げます。

ステップ5: 申請書類の準備と期限内提出

介護休業が終了し、職場復帰後一定期間が経過したら申請書類を準備します。申請期限は厳格で、期限を過ぎると申請できなくなります。最新の支給要領で正確な期限を確認し、復帰後3か月経過日などをカレンダーに登録して管理しましょう。

主な必要書類は次のとおりです。

  • 支給申請書(区分ごとの所定様式)
  • 支給要件確認申立書
  • 面談シート兼介護支援プラン
  • 就業規則・労働協約
  • 雇用契約書・労働条件通知書
  • 介護休業申出書
  • 出勤簿・タイムカード・賃金台帳
  • 要介護状態を証明する書類
  • 周知の証拠書類

申請後、労働局の審査を経て支給決定通知が届きます。準備から振込まで一定期間を要するため、計画的に進めることが重要です。

申請でよくある失敗と対策

失敗1: 周知の証拠不足で申請却下

対策: 制度周知の際、配信メールのスクリーンショット、説明会参加者名簿、社内掲示の写真など、日付入りの証拠を複数の方法で保管します。イントラネット掲載の場合は、URLとアクセス日時のスクリーンショットも有効です。

失敗2: 介護支援プラン作成のタイミング遅れ

対策: 休業開始前の作成が原則です。緊急時は同時並行も可能ですが、「やむを得ない理由」の説明が必要となるため、申し出日や家族の状態、緊急性の経緯を詳細に記録しておきます。

失敗3: 申請期限の見落とし

対策: 復帰後の期限日をカレンダーに登録し、リマインダーを設定します。人事担当者が休暇中でも対応できるよう、複数名で期限を共有しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 助成金の支給額や申請期限はどこで確認できますか?

A: 厚生労働省ウェブサイトの「両立支援等助成金 介護離職防止支援コース」のページで、最新年度の支給要領を確認してください。年度ごとに金額や要件が見直されます。

Q2: 介護支援プランは誰が作成しますか?

A: 企業(人事担当者または上司)が、対象従業員と面談を行ったうえで作成します。厚生労働省の様式を使用すれば記入項目が明確です。

Q3: 小規模事業所でも申請できますか?

A: はい。常時10人未満の事業所でも申請可能ですが、就業規則の整備は必須です。モデル就業規則を参考に作成しましょう。

Q4: 複数の従業員が同時に介護休業を取った場合は?

A: 1事業主あたり申請できる対象人数には上限があります。各従業員について個別に介護支援プランを作成し、要件を満たす必要があります。

Q5: 他の助成金と併用できますか?

A: 同一の従業員・同一の休業期間について、同種の助成金との併用は原則できません。育児休業など別の制度との併用可否は労働局に確認しましょう。

まとめ

介護離職防止支援の助成金は、企業の介護両立支援を後押しする制度です。助成金を活用しながら、従業員が安心して働き続けられる環境を整えれば、人材の定着と企業の持続的な成長を両立できます。

今日から始められるアクションは次の3つです。

  • 就業規則に介護休業制度を明記し、労基署に届出
  • 40歳以上の従業員に介護に関するアンケートを実施
  • 人事部内に介護相談窓口を設置し、社内周知

最新の支給要領は厚生労働省サイトで必ず確認し、計画的な準備で確実な受給を目指しましょう。

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