介護職員数が初めて減少|2023年度の実態と今すぐ進めたい6つの対策

2023年度の介護労働実態調査では介護職員従事者数が初めて減少に転じました。最新データと離職要因を整理し、人材定着・採用強化に向けた6つの対策を解説します。

MKp75qqz

介護職員数が初めて減少|2023年度の実態と今すぐ進めたい6つの対策

介護人材を取り巻く環境は、2023年度に節目となる変化を迎えました。介護労働安定センターの介護労働実態調査では、介護職員(従事者)の数が制度開始以来初めて前年度を下回ったと報告されています。需要は増え続ける一方で、担い手は確実に減りつつある——この構造を踏まえた対策が、いま事業所に求められています。

本記事では、最新データから人手不足の実態を整理したうえで、今いる職員を守る対策と新たな担い手を確保する対策を、合わせて6つに分けて解説します。

介護士の人手不足|データで見る現状

介護職員従事者数が初めて減少

公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」では、令和5年度(2023年度)に介護職員従事者数が前年度より減少した結果が示されました。これは調査開始以降、初めて確認された減少です。需要が拡大する中で担い手側が縮小に転じた点で、業界全体の構造的なターニングポイントといえます。

2026年・2040年の必要人員

第9期介護保険事業計画では、介護職員の必要数は次のように推計されています。

年度必要数2022年度実績との差
2022年度(実績)約215万人
2026年度約240万人+約25万人
2040年度約272万人+約57万人

10人体制で動かしている現場で、必要人数を確保できないリスクが現実的な議論として浮上しています。

採用市場の難しさ

介護関係職種の有効求人倍率は約4倍(3.94〜4.08倍)で、全職業平均の約1.2倍を大きく上回ります。訪問介護員の有効求人倍率は2023年度で14.14倍と、特に深刻な状況です。

介護士の人手不足を生む3つの要因

1. 構造的な需給ギャップ

少子高齢化が同時進行する中で、介護が必要な人と支える人の比率が変化し続けています。65歳以上人口は2042年に約3,878万人でピークを迎え、要介護認定者の増加が続く一方、生産年齢人口は減少に向かいます。事業所単独では解決が難しい構造的背景です。

2. 離職の背景にある人間関係・運営方針

介護労働実態調査などをもとに見ると、離職率自体は2024年度(令和6年度)に12.4%と過去最低を記録しました。一方で、離職理由として「職場の人間関係」「法人や施設の理念や運営の在り方への不満」が上位に挙がる傾向は変わっていません。給与水準だけでなく、職場の関係性や運営方針への納得感が離職に強く影響しています。

3. 仕事のイメージと社会的評価

「きつい・汚い・危険」というイメージや、介護職の専門性が社会的に十分に評価されていないという課題は、新規参入の障壁の一つです。実態として労働環境の改善に取り組む事業所は増えているものの、その情報が外に伝わりにくいことも、応募の伸び悩みにつながっています。

今いる職員を守る|離職を防ぐ3つの対策

人材確保を考えるとき、新規採用と同等以上に重要なのが定着です。育てた職員を失えば採用と教育のコストが繰り返されます。

対策1:人間関係の見える化と相談体制

匿名アンケートや組織診断ツールを活用し、上司との関係や業務負担の公平性、評価への納得感を定量的に把握します。あわせて、相談窓口を整備することで、悩みを早い段階でキャッチできる体制を作ります。外部の専門家との契約や、管理職による定期面談の制度化が選択肢になります。

対策2:処遇改善加算と評価制度の整備

2024年6月に処遇改善加算が4段階に一本化され、上位区分の取得で月額1万円規模の賃金改善が想定されています。給与改善とあわせて、スキルマトリックスや等級制度、半期ごとの評価面談など、能力と成果を可視化する仕組みも整えると、若手・中堅の定着につながりやすくなります。

対策3:柔軟な働き方の導入

短時間勤務、週3〜4日勤務、夜勤専従など、多様な働き方を選べる仕組みは、子育て期・介護期にある職員の離職防止に有効です。残業時間や有給休暇の取得状況を併せて改善することで、応募時に「働きやすそう」と感じてもらえる材料にもなります。

新たな担い手を確保する3つの対策

対策4:ICT・介護支援機器による業務軽減

タブレットによる記録、見守りセンサー、移乗支援機器などの導入は、記録業務や身体的負担を軽減し、新人が働きやすい環境づくりにもつながります。介護テクノロジー導入支援事業では補助率最大3/4が設定されており、対象機器・上限額・申請条件は自治体・年度ごとに異なるため、都道府県の窓口で確認したうえで活用を検討できます。

対策5:外国人材の受け入れ体制

特定技能、技能実習、EPA、在留資格「介護」など、複数のルートがあります。2025年4月からは特定技能による訪問介護も可能となり、活用範囲が広がりました。受け入れには日本語教育・生活支援・文化理解の体制づくりが必要になるため、登録支援機関や自治体の支援メニューの活用が現実的です。

対策6:潜在介護福祉士の復職支援

結婚・出産などで現場を離れた、資格を持つ潜在介護福祉士の復職支援も有効な選択肢です。週2〜3日勤務や短時間勤務、最新の介護技術を学び直す復職支援研修などを用意することで、ブランクへの不安をやわらげ、即戦力として迎え入れやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1: 介護士の人手不足は今後どうなりますか?

第9期介護保険事業計画では、2040年度までに約57万人の上積みが必要とされています。直近の2026年度までは年間約6万人規模の新規確保が必要な、最も厳しい局面が続きます。

Q2: 小規模施設でもできる対策はありますか?

相談窓口の設置、柔軟な働き方の導入、採用情報の刷新など、追加コストを抑えて始められる施策があります。まず職員の定着率向上から取り組み、効果を見ながら採用領域へ広げていく流れが現実的です。

Q3: 介護業界への就職を検討していますが、将来性はありますか?

需要は今後も拡大が見込まれます。処遇改善加算の一本化やICT活用の進展により、働き方や評価の仕組みの見直しが進んでいる事業所も増えており、選び方次第で長く続けやすい環境を見つけやすくなっています。

Q4: 人材確保で最も効果的な施策は何ですか?

単一の施策で解決できる課題ではなく、人間関係改善・評価制度・働き方の柔軟化・採用情報の発信を組み合わせて取り組むことが基本です。離職要因の上位に「人間関係」が挙がる傾向を踏まえ、まずは職場環境の見直しから着手するのが堅実な選択です。

Q5: 外国人材の受け入れは難しくないですか?

特定技能制度の整備により、以前より受け入れやすくなっています。日本語教育や生活サポートの体制づくりは必要ですが、登録支援機関の活用や、自治体の補助・相談窓口の利用から始めると進めやすくなります。

まとめ

2023年度に介護職員従事者数が初めて減少に転じたことは、人材確保の難しさが新たな段階に入ったことを示すサインです。今後の対策は、新規採用に比重を置くだけでなく、3つの軸で並行して進める必要があります。

  • 今いる職員の離職を防ぐ:人間関係改善、処遇改善、柔軟な働き方
  • 業務効率化で負担を減らす:ICT・介護支援機器
  • 多様な担い手を迎える:外国人材、潜在介護福祉士

最初の一歩としては、職場環境の見える化と相談窓口の整備から始めるのが現実的です。小さな改善の積み重ねが、持続可能な施設運営につながります。

📥 無料DL資料

ORDEN COMPASS 資料ダウンロード一覧

補助金カレンダー、非営利団体向けツール100選、経営者向け実務資料など、福祉事業所のIT・経営担当者必読の資料を一元化。すべて無料DL。

📩 資料一覧を見る →

経営の悩みを専門家に相談

人材・ICT・補助金など、福祉経営のお悩みを無料でご相談いただけます。お気軽にどうぞ。

無料相談はこちら →