AIと「性格の科学」が切り開く、高齢者見守りの新しかたち
富山県の企業・株式会社ジェイバンが開発したAI見守り会話サービス「MaMo.」が、2025年の大阪・関西万博(7月8日〜14日)への出展を決定した。
ChatGPTと独自の「性格統計学」を組み合わせることで、一人暮らしの高齢者に自然な会話相手を提供し、孤独の解消と認知症予防への貢献を目指す取り組みだ。高齢化社会が深刻化する「2025年問題」を背景に、テクノロジーと人間的なケアの融合が注目されている。
介護の現場で掴んだ確信——「その人に合った言葉が、人を変える」
このサービスの出発点は、開発者であるジェイバン代表・稲場真由美氏の個人的な経験にある。今から約10年前、父親(当時86歳)が認知症を発症。
稲場氏は、父の性格に合わせた声がけや接し方を工夫し続けた結果、症状が著しく改善するという体験をした。さらに同様の方法を友人の介護にも伝えたところ、同じく回復の兆しが見られたという。
この経験から稲場氏が確信したのは、「高齢者には響きやすい言葉とそうでない言葉がある」という事実、そしてその人の性格に寄り添ったコミュニケーションが認知症の進行抑制に有効であるという可能性だった。
16年越しの研究が下地に——「性格統計学」とは何か
稲場氏はその後、性格タイプの違いによるコミュニケーションギャップを解消するための独自メソッド「性格統計学」を16年かけて体系化した。
それを実践するためのスマートフォンアプリ「伝え方ラボ」を2017年から開発し、資金難による倒産危機を乗り越えながら2018年に完成。ビジネスモデル特許(特許第6132378号)も取得している。
「性格統計学」は、人が持つ性格タイプを分析し、それぞれに効果的な言葉がけのパターンを導き出す手法だ。この知見を高齢者ケアに活かせれば、という思いが「MaMo.」開発の原動力になった。
2度の挫折と転機——AIの進化が夢を現実にした
父を亡くした後、稲場氏はAI会話ロボットの開発に着手しようとしたが、2016年当時の自然言語処理技術では実用的な会話を実現できず断念。
2022年秋にユカイ工学の会話ロボット「BOCCO emo」と「伝え方ラボ」を連携させた初期版「MaMo.」をいったん完成させるも、同年11月のChatGPT公開に衝撃を受け、会話品質の圧倒的な差に商品化を一旦見送った。
状況が動いたのは2024年5月。大阪・関西万博の出展企業募集への応募をきっかけに、ChatGPTとの本格連携開発に着手。審査官のアドバイスをもとに「未来のコミュニケーション」という切り口で企画を再構成し、出展の審査を通過した。
開発にあたっては「継続した会話ができない」という技術的課題が立ちはだかったが、稲場氏はChatGPTに直接質問しながら解決策を模索。ユーザーごとの固有情報と性格タイプを学習させ、過去の会話の文脈を引き継ぎながら対話できる仕組みを確立した。
サービスの現在地と、これからの展開
「MaMo.」は現在、一人暮らしの高齢者を持つ50代や、未就学児・小学生の子を持つ親などを対象にモニター募集を実施中。介護現場での活用に向け、2025年3月のインテックス大阪、同年10月の幕張メッセで開催される「介護・福祉EXPO」への出展も予定している。
資金面では、2025年2月25日から4月30日にかけてクラウドファンディングを実施し、普及に向けた活動を展開する。多言語対応や企業・福祉施設への導入も視野に入れており、日本国内にとどまらないグローバルな展開も目指している。
高齢者の孤独解消という直接的な課題に加え、育児や介護と仕事を両立する女性たちの負担軽減にも貢献できるサービスとして、開発チームは社会的意義を強調している。
取材メモ
「MaMo.」というサービス名には、「見守る(Mamoru)」と英語の「Mom(母)」を重ねた命名意図があると見られ、家族の温かさを技術で補完するというコンセプトが込められている。
超高齢社会における孤独や介護負担といった課題に対し、AIが「人間らしい会話」でどこまで寄り添えるか——その問いへの一つの答えとして、大阪・関西万博の会場で世界に発信される。
参照元:
PR TIMES STORY「2025年問題に挑む!ChatGPT×伝え方ラボの『AI見守り会話サービスMaMo.』が高齢者の孤独と認知症予防をサポート、大阪・関西万博に出展」
https://prtimes.jp/story/detail/oro5zOIE4GB
配信日:2025年1月28日 / 配信元:JBAN.(株式会社ジェイバン)
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