法定雇用率の引き上げを控える中、障がい種別による採用格差が鮮明に。身体障がい者への偏重と、受け入れノウハウ不足が課題として浮上している。
レバレジーズが運営する障がい者就労支援サービス「ワークリア」は、2026年7月の法定雇用率改定を前に、企業の障がい者雇用担当者143名を対象とした実態調査を実施した。調査は2026年1月12日から16日にかけてインターネット経由で行われ、GMOリサーチ&AIが実査を担当した。
採用目標の未達企業は5社に1社
2025年度における障がい者採用の目標達成状況は、達成済みおよび達成見込みを合わせて65%となった。その一方で、22.4%の企業が目標達成困難と回答しており、法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられる前の段階で、すでに苦戦している実態が明らかになった。
現在雇用している障がい種別では、身体障がいが83.2%と突出して高く、発達障がいの37.8%と比較すると2倍以上の開きが見られた。
身体障がい者への採用集中が顕著
採用活動において最も力を入れている障がい種別を尋ねたところ、51.0%が身体障がいと回答した。
これに対し、精神障がいは11.2%、発達障がいは8.4%、知的障がいは9.1%にとどまり、5倍以上の格差が生じている。全ての障がい種別を同等に扱っていると答えたのは20.3%のみだった。
身体障がい者を優先する理由として最多だったのは、コミュニケーション面での不安が相対的に少ないという点で、45.2%が挙げた。業務設計のしやすさや過去の雇用実績による安心感も、それぞれ38.4%が理由として示した。
一方、精神障がいや知的障がいを積極採用する企業は、ダイバーシティ推進や身体障がい者の応募不足を背景に挙げている。発達障がいに注力する企業では、特性を活かした生産性向上や業務改善への期待が語られた。
精神障がい者雇用への心理的ハードル
障がい種別ごとの採用・定着の難易度について、身体障がいでは42.0%が「難しい」と感じているのに対し、精神障がいでは70.7%に達し、約30ポイントの差が開いた。
知的障がいと発達障がいでも6割以上が困難を感じており、身体障がい以外への受け入れ体制に不安を抱える企業が多数を占めた。
困難の内容も障がい種別によって異なる。身体障がいでは応募者不足が最大の課題となっているが、精神・発達・知的障がいでは適した業務の見極めが最も大きな壁となっている。
つまり、身体障がい者の採用は母集団形成の問題であり、それ以外は受け入れ後の役割設計が課題という構造が浮かび上がった。
今後の方向性と企業の模索
今後の採用数については、33.6%が増加予定と回答し、65.0%が現状維持を見込んでいる。減少を予定する企業はわずか1.4%にとどまり、9割以上が維持・拡大の姿勢を示した。
将来的に採用を強化したい障がい種別では、身体障がいが44.1%と依然トップだが、精神障がいが14.7%、発達障がいが11.2%となり、いずれも現時点での積極採用比率を上回った。
これは、従来の方法では対応しきれないと認識し、体制見直しに乗り出す企業が増えつつあることを示唆している。
採用拡大に向けた課題としては、業務の切り出しや役割設定のノウハウ不足が40.2%、現場社員の障がい特性理解の機会不足が37.4%と上位に挙がった。
個別の特性に合わせた業務創出と、適切な配慮を可能にする社内教育の必要性が指摘されている。
ワークリア事業部責任者の津留有希子氏は、障がい種別による雇用ハードルの違いが採用偏重を招いている現状を指摘。
厚生労働省のデータでは精神障がい者の雇用数が増加傾向にあるものの、企業の知見不足が障壁となっているケースが多いと述べた。
津留氏は、発達障がいなどの特性を強みとして尊重する「ニューロダイバーシティ」の考え方に触れ、障がいを特性として捉え戦力化する発想が、人手不足時代の企業にとって可能性を持つと強調。そのためには対話を通じた配慮の提供と、社員の理解促進が不可欠だとした。
参照元:
PR TIMES「積極的に採用している障がい種別は『身体障がい』が5割超え、受け入れ体制への不安が浮き彫りに」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000858.000010591.html
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