1. TechSoup Japanとは
TechSoup Japanは、非営利団体のIT環境整備にかかるコストを大幅に削減できるプログラムです。Microsoft 365やAdobe Creative Cloudなど、通常は高額なソフトウェアやクラウドサービスを、製品参考小売価格の2~9割引き(一部無償)で利用できます。IT予算が限られている団体でも、最新のツールを導入して活動の効率化が図れる点が最大の魅力です。
2. サービス基本情報
どんなツールか
TechSoup Japanは、世界160カ国以上で展開されているグローバルな非営利団体向けIT支援プログラムです。Microsoft、Adobe、Googleなど100社以上のIT企業が社会貢献として参画し、ソフトウェア、クラウドサービス、ハードウェアなどを特別価格で提供しています。
非営利団体は無料/割引で使えるか
はい。登録団体は製品参考小売価格の2~9割引き、または一部製品は完全無償で利用できます。ただし、寄贈プログラムの運営維持のために仲介手数料(市場価格の約4~10%)が必要です。
提供している会社
日本では、特定非営利活動法人日本NPOセンターが運営しています(2025年11月15日よりTechSoup Global(米国本部)に運営統合予定)。米国サンフランシスコに本部を持つTechSoupのグローバルネットワークの一員として活動しています。
3. どんな団体におすすめ?
組織の規模
- 小規模団体:スタッフ数名~10名程度。無料または低価格でOfficeソフトやクラウドストレージを導入したい団体
- 中規模団体:スタッフ10~50名程度。業務効率化のためにグループウェアや会計ソフトの導入を検討している団体
- 大規模団体:スタッフ50名以上。組織全体のIT基盤を整備し、セキュリティ対策も強化したい団体
具体的な使用場面
- 日常業務の効率化:Word、Excelなどのオフィスソフトを使った文書作成や集計作業
- オンライン会議:Zoomを使った遠隔地のメンバーとの打ち合わせや、オンラインイベントの開催
- 広報活動:Adobe製品を使ったチラシやSNS投稿画像の作成
- 会計管理:NPO法人向け会計ソフトでの財務管理と決算書作成
- データ管理:クラウドストレージでの文書共有とセキュアなデータ保管
4. できること(主要機能)
1. Microsoft 365の利用
Word、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションをクラウドベースで利用できます。10ライセンスまで無料、11ライセンス以降は月額540円/ユーザーで追加可能です(通常価格は月額2,180円/ユーザー)。
2. Google Workspace(旧G Suite)の無償提供
Gmailの独自ドメインメール、Googleドライブ、Googleカレンダーなどが人数制限なく無料で利用できます。組織全体のコミュニケーション基盤として活用できます。
3. Adobe Creative Cloudの割引利用
Photoshop、Illustrator、Premiere Proなど8つのアプリケーションを含むCreative Cloud All Appsが、初年度60%割引、2年目以降40%割引で利用できます。
4. Zoom有料版の半額利用
40分の時間制限がない有料版Zoomプロプランを、通常価格の約50%割引(+手数料)で利用できます。クラウド録画や共同ホスト機能も使えます。
5. セキュリティソフトとクラウドストレージ
Norton 360などのセキュリティソフトやBoxなどの高度なオンラインストレージサービスも特別価格で提供されています。
5. 非営利団体の特典
無料/割引の詳細
- 完全無償:Google Workspace、Microsoft 365(10ライセンスまで)など
- 60~90%割引:Adobe Creative Cloud、各種会計ソフトなど
- 約50%割引:Zoom、Slackなど
- 仲介手数料のみ:一部製品は製品代金が無償で、運営維持のための仲介手数料のみ負担
通常プランとの違い
通常の一般向け価格と比較して大幅に安価に利用できます。例えば、Microsoft 365 Business Premiumは通常月額2,180円のところ、TechSoup経由では月額540円(11ライセンス目以降)で利用可能です。
どんな法人が対象か
以下の法人格が対象です:
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 公益財団法人
- 公益社団法人
- 社会福祉法人
- 一般社団法人(非営利徹底型のみ)
- 公立図書館(都道府県立、市町村立、東京23区立)
※ただし、年間予算規模が約10億円以下の団体が対象です。 ※一般社団法人の場合、定款に「剰余金の分配を行わない」「解散時の残余財産を国・地方公共団体等に贈与する」旨の記載が必要です。
6. 始め方
申請のステップ
Step 1:ユーザーアカウント作成 TechSoup JapanのWebサイトにアクセスし、担当者の個人アカウントを作成します。業務で使用しているメールアドレスを使用してください。
Step 2:団体情報の登録 Step 1で作成したアカウントでログインし、団体名、所在地、活動内容などの基本情報を入力します。
Step 3:必要書類の提出 法人格ごとに指定された書類を提出します。団体登録が完了すると、登録メールアドレスに通知が届きます。
Step 4:製品の寄贈申請 利用したい製品をカートに入れて寄贈申請を行います。
Step 5:手数料の支払いと利用開始 請求書に記載された手数料を支払い、製品・サービスの利用を開始します。
必要な書類
法人格によって異なりますが、主に以下の書類が必要です:
NPO法人の場合
- 内閣府または所轄庁のサイトに直近の事業報告書が公開されていること(必須)
- 設立1年未満の場合:事業計画書2年度分、活動予算書2年度分
社会福祉法人の場合
- WAM NETの電子開示システムに直近の事業報告書が公開されていること(必須)
公益法人の場合
- 登記簿謄本
- 財務諸表(注記を含む)
- 事業報告書
一般社団法人(非営利徹底型)の場合
- 定款(非営利要件を満たす記載があること)
- 登記簿謄本
- 財務諸表(注記を含む)
- 事業報告書
※財務諸表の注記には「この計算書類は、〇×会計に関する指針によって作成しています」という文言が必須です。
申請から使えるまでの期間
- 団体登録の審査期間は、書類提出後おおむね1~2週間程度です。
- 製品の寄贈申請後、手数料の入金確認ができ次第、利用開始に必要な情報(ライセンスキーやダウンロードリンクなど)が送付されます。
- 全体として、申請開始から利用開始まで2~4週間程度を見込んでください。
申請ページのURL
- 公式サイト:https://www.techsoupjapan.org/
- 団体登録ガイド:https://techsoupjapan.hp.peraichi.com/registration/
- 日本NPOセンターTechSoupページ:https://www.jnpoc.ne.jp/techsoup/
7. 料金比較
| 製品・サービス | 一般向け価格(月額/年額) | 非営利団体向け価格 | 割引率 |
| Microsoft 365 Business Premium(1ライセンス) | 月額2,180円 | 10ライセンスまで無料<br>11ライセンス目以降:月額540円 | 約76%割引 |
| Google Workspace | 月額約1,360円~ | 完全無料 | 100%割引 |
| Adobe Creative Cloud All Apps(年間契約) | 年額約72,000円 | 初年度:年額約28,800円<br>2年目以降:年額約43,200円 | 初年度60%割引<br>2年目以降40%割引 |
| Zoom Pro(年間契約) | 年額約20,100円 | 年額約10,000円(+手数料) | 約50%割引 |
| Norton 360(1年版) | 約8,000円 | 952円(手数料) | 約88%割引 |
| 会計王NPO法人スタイル | 44,000円(買い切り) | 36,000円(手数料) | 約18%割引 |
※価格は2024年12月時点の情報です。為替レートや提供企業の方針により変更される場合があります。
8. 使い方の例
例1:小規模NPOの業務効率化
スタッフ5名の環境保護NPOが、TechSoup Japanを活用して業務のデジタル化を実現しました。Google Workspaceを無料で導入し、独自ドメインのメールアドレスを作成。Googleドライブで活動報告書や写真を共有し、Googleカレンダーでイベントスケジュールを管理しています。また、Microsoft 365も10ライセンスまで無料で利用し、助成金申請書や会員向けニュースレターをWordで作成。これまで年間約30万円かかっていたソフトウェア費用がほぼゼロになりました。
例2:中規模団体の広報力強化
スタッフ15名の子育て支援団体が、Adobe Creative Cloudを導入して広報活動を強化しました。通常年間約72,000円のCreative Cloudを初年度28,800円で利用開始。PhotoshopでSNS用の画像を作成し、Illustratorでイベントチラシをデザイン。Premiere ProでYouTube用の活動紹介動画も制作しています。プロのデザイナーに外注していた制作費(年間約50万円)を大幅に削減しながら、タイムリーな情報発信が可能になりました。
例3:複数拠点を持つ団体のコミュニケーション改善
全国5拠点で活動する福祉団体が、Zoom有料版を導入して定例会議をオンライン化しました。通常年額約20,000円のZoom Proを約半額で利用開始。40分の時間制限がなくなり、各拠点の責任者が月2回のオンライン会議で情報共有を実施。出張費が年間約80万円削減され、会議の頻度も増やせるようになりました。クラウド録画機能で、会議に参加できなかったスタッフも後から内容を確認できるようになり、組織全体の情報共有がスムーズになりました。
9. 注意点
使えない場合
- 法人格が対象外:任意団体や個人事業主、営利企業は利用できません
- 年間予算規模が大きい:約10億円を超える団体は対象外となる場合があります
- 政治・宗教活動が主目的:政党や宗教団体、労働組合などは一部製品の対象外です
- 公開情報が不足:NPO法人で内閣府サイトに事業報告書が掲載されていない場合など
制限事項
- 寄贈数量制限:一部製品には1団体あたりの年間寄贈数量に制限があります
- 製品ごとに対象が異なる:TechSoup Japanに登録してもすべての製品を利用できるわけではなく、法人格や活動内容、予算規模によって利用可能な製品が異なります
- 手数料の支払い方法:基本的に銀行振込のみで、クレジットカード決済には対応していません
- 更新手続き:年間サブスクリプションの製品は、毎年更新申請が必要です
- 譲渡禁止:寄贈された製品は他団体への譲渡や転売ができません
うまく使うコツ
- 年度初めに計画を立てる:必要なソフトウェアをリストアップし、年間のIT予算を計画しましょう
- 複数製品をまとめて申請:手数料の振込は申請ごとに必要なので、必要なものをまとめて申請すると効率的です
- サポートを活用:製品の使い方がわからない場合は、各提供企業のサポートやTechSoupが提供するトレーニングコンテンツを活用しましょう
- 定期的に新製品をチェック:提供される製品やプログラムは随時追加されるので、定期的にWebサイトをチェックしましょう
- 導入支援プログラムの利用:Microsoft 365など設定が複雑な製品については、有償の導入支援プログラムも提供されています
10. よくある質問
Q1:登録に費用はかかりますか? A:団体登録自体は無料です。年会費などの固定費用も一切かかりません。製品・サービスを実際に利用する際に、仲介手数料が必要になります。
Q2:一般社団法人ですが利用できますか? A:非営利徹底型の一般社団法人のみ利用可能です。定款に「剰余金の分配を行わない」「解散時の残余財産を国・地方公共団体等に贈与する」旨の記載が必要です。通常の一般社団法人(非営利型でない)は対象外です。
Q3:設立したばかりの団体でも申請できますか? A:はい、可能です。ただし、設立後第1期が終了していない場合は、所轄庁に提出した事業計画書と活動予算書(2年度分)の提出が必要です。
Q4:いくつまで製品を申請できますか? A:製品によって年間の寄贈数量制限が設定されている場合がありますが、基本的に複数の製品を同時に利用できます。ただし、同じ製品を大量に申請する場合は制限がかかることがあります。
Q5:すでに他の非営利団体向けプログラムを利用していますが、併用できますか? A:はい、可能です。例えば、Googleから直接Google for Nonprofitsの提供を受けている場合でも、TechSoup経由でMicrosoft製品やAdobe製品を利用することができます。ただし、同じ製品を複数のルートで重複して申請することはできません。
11. 似たツールとの比較
Google for Nonprofits(直接申請)
Google Workspaceを提供するプログラムですが、TechSoup Japanを経由して申請することで、同時に他のIT製品も利用できます。直接Googleに申請する場合とTechSoup経由の場合で、サービス内容に大きな違いはありません。
Microsoft 365 Nonprofit(直接申請)
Microsoftも独自に非営利団体向けプログラムを提供していますが、TechSoup Japanを経由することで申請プロセスが簡素化され、日本語でのサポートも受けやすくなります。
ITサポートセンターや地域のNPO支援組織
地域のNPO支援センターでもIT支援を行っている場合がありますが、サービス範囲や対象製品が限定的です。TechSoup Japanは100社以上の企業が参画する包括的なプログラムです。
このツールを選ぶべき理由
- 一箇所で複数企業の製品を申請できる:MicrosoftもAdobeもZoomも、TechSoup Japan一つのアカウントで管理できます
- 日本語サポート:日本NPOセンターが運営しているため、日本語での問い合わせや相談が可能です
- 実績と信頼性:世界160カ国以上で展開され、日本でも7,000以上の団体が登録している実績があります
- 継続的な新製品の追加:提携企業が増え続けており、新しいサービスも順次追加されています
12. まとめ
TechSoup Japanは、非営利団体のIT環境整備を強力に支援するプログラムです。Microsoft 365やGoogle Workspace、Adobe Creative Cloudなど、通常は高額なツールを大幅な割引価格または無償で利用できるため、限られたIT予算でも最新の環境を整えることができます。登録自体は無料で、年会費などの固定費用もかからないため、まずは団体登録をしておくだけでも価値があります。小規模団体から大規模団体まで、あらゆる規模の非営利組織が活用できる制度です。
次にやるべきこと
- 公式サイトで対象製品を確認:https://www.techsoupjapan.org/ にアクセスし、自団体で利用したい製品がラインナップされているか確認しましょう
- 必要書類を準備:法人格に応じた必要書類を事前に準備しておくと、申請がスムーズです
- ユーザーアカウントを作成:業務用メールアドレスでアカウントを作成し、団体登録を開始しましょう
- 年間IT計画を立てる:どの製品をいつ導入するか、年間のIT投資計画を立てることで、より効果的に活用できます

