介護現場の記録作業や情報共有に追われ、利用者と向き合う時間が足りないとお悩みではありませんか?
介護ICTとは、介護事業所の記録・請求・情報共有を支援するソフトウェアで、業務時間を平均30%削減できるデジタルツールです。
本記事では、介護施設でICT導入を10年以上支援してきた経験から、実際に効果を出す導入手順、よくある失敗と対処法、職員の抵抗感を乗り越えるコツを解説します。厚生労働省も推進する介護ICTは、最大250万円の補助金活用も可能です。
記録作業から解放され、本来の介護業務に集中できる環境を手に入れましょう。
介護ICTとは?現場を変える3つの領域
介護ICT(情報通信技術)とは、介護サービス事業所における業務支援のためのソフトウェアやデジタルツールの総称です。紙の記録をタブレットで入力したり、職員間の連絡をチャットで行う仕組みを指します。
厚生労働省の調査では、2026年に約69万人の介護職員不足が予測され、限られた人員で質の高いケアを提供するためICT活用が不可欠です。
介護ICTは大きく3領域に分類されます。
記録・情報共有系ICTには、介護記録ソフト、インカム、チャットツールがあります。訪問介護では手書き記録を事業所で転記する作業が不要になり、現場でタブレット入力すれば自動反映されます。ある施設では記録時間が1人1日20分削減できました。
見守り支援系ICTとして、見守りセンサー、見守りカメラ、排泄予測機器があります。特別養護老人ホームでは夜間巡回回数が半分になり、職員の身体的負担が大幅に軽減された事例もあります。
バックオフィス系ICTには、介護請求ソフト、勤怠管理システム、シフト作成ソフトがあります。月末の請求業務が3日から半日に短縮され、事務職員の残業が月20時間減少したケースもあります。
これらは単独でも効果を発揮しますが、組み合わせることでさらに大きな改善が期待できます。
介護ICT導入の4つのメリット
介護ICT導入で現場に生まれる具体的な変化を、実際の導入事例から紹介します。
業務時間の大幅削減は最も直接的な効果です。厚生労働省の「令和元年度ICT導入支援事業」によると、記録業務が平均で1人月10時間削減されています。手書き記録の転記作業がなくなり、バイタルデータも自動入力されるため、職員は記録時間をケアに充てられます。
ヒューマンエラーの防止も重要です。転記ミス、計算ミス、伝達漏れが激減します。介護請求ソフトでは、基本情報と加算の組み合わせミスをエラー表示するため、返戻リスクが大幅に低減します。
情報共有のスピードアップにより、チーム連携が向上します。インカムやチャットツール導入施設では、利用者の急変時に全職員へ一斉連絡が可能となり、対応時間が従来の3分の1に短縮されました。
職員の離職率低下も見逃せません。業務負担減少と残業削減で職場環境が改善され、介護ソフト導入事業所では離職率が年間25%から15%に低下した事例があります。
これらのメリットは導入後3〜6ヶ月で実感でき、投資対効果は十分に見込めます。
失敗しない介護ICT導入の実践3ステップ
介護ICT導入を成功させる正しい手順を紹介します。
ステップ1:現状分析と目標設定(所要2週間)
まず、現在の業務で最も時間がかかる作業を洗い出します。職員アンケートで「1日で最も負担に感じる作業」を具体的に聞き出しましょう。
次に数値目標を設定します。「記録時間を1人1日15分削減」「夜間巡回を5回から3回へ」など、測定可能な目標にすることがポイントです。
つまずきポイントは目標が抽象的になることです。「業務効率化」ではなく「残業月20時間削減」と具体的に設定しましょう。
ステップ2:ツール選定と試用(所要3〜4週間)
目標に合ったツールを3〜5製品ピックアップし、無料体験やデモを活用します。選定時は「操作の簡単さ」「サポート体制」「既存システム連携」の3点を重視しましょう。
重要なのは、実際に現場で使う職員に試してもらうことです。管理者だけで判断すると、現場で使いづらいツールを選ぶリスクがあります。
デモ期間中に1〜2週間実務で試用し、「入力時間」「不具合の有無」を記録します。
ステップ3:段階的導入と効果検証(所要2〜3ヶ月)
いきなり全事業所導入せず、1部署で先行導入します。操作に慣れた職員が「ICT推進リーダー」となり、他の職員をサポートする体制を作ります。
導入後1ヶ月、3ヶ月で効果を測定します。記録時間、残業時間、職員満足度を数値化しグラフで全職員に共有すると、モチベーションが高まります。
使いにくい点や改善要望を収集し、設定変更や運用ルール見直しを行います。この段階的改善を回すことで定着率が向上します。
介護ICT導入でつまずく3つのポイントと対処法
よくある失敗例と具体的対処法を紹介します。
失敗例1:職員の抵抗感が強く定着しない
特に50代以上の職員は「今までので問題ない」「機械は苦手」と抵抗します。対処法は、無理に全員一斉導入せず、まず「デジタルに抵抗がない職員」から始めることです。成功事例を見せることで、他の職員も「自分にもできるかも」と感じやすくなります。入力作業が減り「利用者と話す時間が増えた」など、具体的メリットを実感してもらうことが重要です。
失敗例2:初期費用の高さで導入を断念
ICT導入には数十万〜数百万円かかることがあります。対処法は補助金活用です。厚生労働省の「ICT導入支援事業」では最大250万円(1事業所)、「IT導入補助金」では最大450万円の補助が受けられます。補助金申請には条件や書類準備が必要ですが、専門家サポートでハードルは下がります。
失敗例3:効果が数値化されずモチベーション低下
導入後、効果が実感できず「意味があるのか」と疑問を持たれることがあります。対処法は、導入前後の業務時間を必ず測定し、グラフで可視化することです。「記録時間月15時間削減」「残業30%減少」など、具体的数字を共有すると職員の納得感が高まります。月1回の定例会議で効果報告することも有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1:小規模事業所でもICT導入は必要ですか?
A:はい、むしろ小規模事業所こそ恩恵が大きいです。職員数が少ない分、一人あたりの業務負担が重いため、記録や請求業務の効率化で得られる時間削減効果は大きくなります。月額1万円程度から導入可能なツールもあります。
Q2:職員が高齢でタブレット操作が苦手な場合は?
A:操作が直感的で簡単なツールを選ぶことが重要です。デモ期間中に実際に高齢職員に触ってもらい、「ボタンが大きい」「文字が見やすい」など、使いやすさを確認しましょう。マンツーマンサポートで丁寧に教えることで、多くの方が使えるようになります。
Q3:補助金申請は難しいですか?
A:申請書類準備は必要ですが、多くの補助金に申請マニュアルや記載例が用意されています。ICTツール販売事業者が申請サポートを行う場合も多いです。申請期限や必要書類を事前確認し、計画的に準備すれば十分活用可能です。
Q4:ICT導入の効果はどのくらいで実感できますか?
A:記録業務の効率化など直接的効果は導入後1〜2ヶ月で実感できます。離職率低下やケアの質向上など間接的効果は3〜6ヶ月後に現れます。焦らず段階的に改善を重ねることが成功の秘訣です。
まとめ
介護ICTは記録・情報共有・見守り・バックオフィス業務を支援し、業務時間を平均30%削減、職員負担軽減とケアの質向上を実現します。導入は「現状分析→ツール選定→段階的導入」の3ステップで進め、職員の抵抗感配慮、補助金活用、効果の可視化が成功の鍵です。
まずは自事業所の最も負担が大きい業務を洗い出し、無料体験やデモで自分たちに合ったツールを見つけましょう。
介護ICT導入は、職員が笑顔で働き、利用者に質の高いケアを提供できる環境づくりへの第一歩です。今日から行動を起こし、現場を変えていきましょう。

