101歳がランウェイを歩く——「介護美容」が生む、世代を超えた輝きの舞台

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愛知県半田市で2026年2月15日、高齢者・介護職員・福祉学生が三者一体となってランウェイを歩くファッションイベントが開かれた。最高齢は101歳。

メイクを担ったのは「介護美容」の専門スクールで学ぶ受講生たちだ。美容という切り口から福祉の未来を問い直す、注目の取り組みを追った。

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「1人では歩けなくても、2人なら歩ける」

日本福祉大学 半田キャンパスを会場に開催された「ハートフル KAiGO in AICHI 2026」。その目玉プログラムとなったのが、ファッションウォーク『LiNK WALK』だ。

登場したのは、半田市内の介護施設から公募で集まった70〜90代の入居者と現役の介護職員、そして将来の福祉を担う大学生が組んだ全10ペア。

なかでも注目を集めたのは、最高齢101歳の女性モデルがペアを組んでランウェイに登場したこと。年齢が「限界」を意味しないことを、その歩みそのものが示した。

イベントのコンセプトは「1人では歩けないけど、2人なら歩ける」。異なる世代がペアとなることで初めて成立するこのウォークは、介護現場における”つながり”の本質を視覚化したものとも言える。

介護美容の専門家がメイクでサポート

参加者のメイクを担ったのは、株式会社ミライプロジェクト(東京都渋谷区)が運営する「介護美容研究所 名古屋校」の受講生・卒業生たちだ。ボランティアとして参加した彼女たちは、「ケアビューティスト」と呼ばれる専門職を目指して学んでいる。

介護美容は、一般的なメイクとは異なる専門知識を要する。車いすに座ったまま施術できるポジショニング技術、顔色から体調変化を読み取るリスク管理、そして体温調節が難しい高齢者への細やかな配慮——こうした知識と技術を組み合わせながら、短時間でベストな仕上がりを目指す。

施術はただの「おしゃれ」ではない。会話を通じてその人の好みや思い出を引き出し、鏡を見た瞬間の笑顔を生み出すことが、高齢者の自己肯定感や生活の質(QOL)の向上につながると考えられている。

介護経験がセカンドキャリアへ変わる場所

介護美容研究所 名古屋校は開校からわずか2年半で受講生数が330名を突破した。受講生の中心は40〜60代の女性で、その多くが親や家族の介護経験を持つ。

たとえば、38歳の事務職女性は祖母の在宅介護を通じて美容の力を実感する一方、逝去時に「もっと技術があれば」と感じた後悔が受講のきっかけになったという。現在は仕事を続けながら週末に学び、卒業後の専門職としての独立を見据えている。

60代の主婦は、自身の家族介護経験に加え、地域の高齢者へのボランティア施術を重ねるなかで、美容が持つ「生きる力を引き出す効果」を確信。地域に根ざした専門人材として再出発することを目指している。

受講生の約半数は介護・美容業界の未経験者であるというデータも、このスクールが「介護経験」という個人の経験値を、社会還元できる専門技術へと転換する場として機能していることを示している。

美容が架ける「世代間の橋」

今回のイベントを共催したKAiGO PRiDEは、介護職の魅力発信を目的とした団体だ。愛知での開催は2回目となり、福祉の現場と社会をつなぐ活動として着実に広がりを見せている。

101歳がランウェイを歩くという光景は、単なる感動的な話題にとどまらない。美容という誰もが身近に感じられる行為を介して、高齢者と若い世代、介護する側とされる側が対等につながれる空間——その可能性を、このイベントは静かに、しかし力強く示した。

■ 参照元

本記事は以下のプレスリリースをもとに、独自に再構成・執筆したものです。

PR TIMES「最高齢101歳のモデルがランウェイへ 高齢者×介護職×学生が『美容』でつながるファッションウォーク開催」(株式会社ミライプロジェクト、2026年2月12日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000025369.html

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