1. Google Earthとは
Google Earthは、非営利団体が衛星画像と地理データを活用して、自らの社会的インパクトを視覚的に可視化し、ドナーや支援者に地理情報を通じてストーリーを伝えられるGoogleの高度な地図プラットフォームです。
このツールにより、環境保全活動の成果、被災地復興の進捗、国際開発プロジェクトの位置情報など、複雑な地理データを直感的に理解できる形で共有できます。
最大の魅力は、完全無料で衛星画像データ、3D地形表示、時間軸で変化を追跡する機能が利用でき、Google Maps Platformの月額250ドルクレジットと組み合わせることで、プロフェッショナルな地理情報システムを構築できることです。
2. サービス基本情報
Google Earthとは:
Google Earthは、Googleが保有する数十年分の衛星画像とGIS(地理情報システム)データを、インタラクティブな地図インターフェースで提供するプラットフォームです。Web版、デスクトップ版、モバイルアプリ版があり、すべてブラウザやアプリで無料利用できます。
高解像度の衛星画像、3Dモデル、Street View統合、時系列データの変化追跡などの高度な機能を備えています。2025年版ではGemini AIとの統合により、自然言語で地理情報を検索・分析できる新機能「Earth AI」が追加され、さらに使いやすくなっています。
非営利団体向け料金:
Google Earthは完全無料です。Google for Nonprofits に認定された非営利団体は、Essentialsプラン(基本機能)に追加して、月額250ドルのGoogle Maps Platform クレジットも受け取れます。月額費用は一切発生しません。
提供企業:
Google LLC が提供しており、Google for Nonprofits プログラムおよび「Google Earth Outreach」という非営利組織向けの専門プログラムの一環です。
3. どんな団体におすすめ?
対象となる規模:
・小規模団体(スタッフ5名以下):
Google Earth の無料Web版で基本的な地理情報を共有。衛星画像で活動地域の変化を可視化できます
・中規模団体(スタッフ10~50名):
Google Earth に独自データ(プロジェクト拠点、活動範囲)を統合し、ドナー向けのインタラクティブマップを作成。Web版とGoogle Maps Platform クレジットで、カスタムアプリケーションを構築
・大規模団体(スタッフ50名以上):
Google Earth Engine(衛星画像解析ツール)を組み合わせ、大規模な地理データ分析と予測モデルを構築。国際的なプロジェクト追跡と実績の可視化
具体的な使用場面:
・環境保全団体が森林減少の衛星画像変化を時系列で表示
・貧困削減NGOが支援地域の経済指標を地理情報として可視化
・災害復興団体が被災地の復興進捗を衛星画像で追跡
・国際開発組織が全世界のプロジェクト拠点を3D地図に表示
・野生動物保護団体が保護地域の大きさや生態系を視覚的に説明
・水・衛生プロジェクトが給水地点と受益村落の分布を地図表示
4. できること(主要機能)
1. 高解像度衛星画像の閲覧と時系列データ追跡
Google Earth は1980年代から現在までの衛星画像を保有。ユーザーは時間軸をスライダーで動かし、50年近い期間の地形変化をアニメーション表示できます。例えば、森林減少、都市化、河川の流路変化などが視覚的に理解できます。
2. 3D地形表示とVRツアー作成
衛星画像データから自動生成された3D地形モデルを活用し、山地・谷・高原などを立体的に表示。さらに、360度パノラマ画像(Street View)を統合して、実地訪問した時の体験をVRで共有できます。
3. カスタムデータの統合とレイヤー管理
自団体のデータ(プロジェクト拠点、受益地域、支援対象者の分布など)をKML形式でアップロードし、衛星画像の上に重ね合わせることが可能。複数のレイヤーを作成し、組織内で共有できます。
4. 地図情報の埋め込みと共有
作成したマップをWebサイト、プレゼンテーション、ソーシャルメディアに埋め込み・共有できます。リンクを送信するだけで、ドナーや支援者がインタラクティブなマップを自由に操作できます。
5. Earth AI による自然言語検索と分析
2025年版の新機能「Earth AI」では、「この地域の過去10年間の森林面積の変化」「2025年の洪水リスク地域」といった自然言語での質問を入力すると、Gemini AIが自動的に衛星画像データを検索・分析し、結果を地図上に表示します。
5. 非営利団体の特典
無料の詳細:
・Google Earth Essentials(基本機能):完全無料、無制限利用
・Google Earth Pro(高度な分析機能):Google for Nonprofits 認定で無料
・衛星画像データ:40年以上の履歴データ、すべて無料利用可能
・Google Maps Platform 月額250ドルクレジット:Google for Nonprofits 認定で追加提供
・非営利向けトレーニングリソース:Google Earth Outreach が無料提供
通常プランとの違い:
| 項目 | Google Earth(非営利) | Google Earth(一般) | ArcGIS Online | Sentinel Hub |
| 基本料金 | 無料 | 無料(Essentials)/月$64(Pro) | 非営利割引なし(月$55~) | 無料 |
| 衛星画像データ | 40年以上の履歴 | 同じ | 異なるデータセット | Sentinel衛星のみ |
| 3D表示 | あり | あり | あり | なし |
| カスタムデータ統合 | あり | あり | あり | あり |
| 高度な分析機能 | Pro版で可能 | 有料 | 有料 | 無料(Sentinel) |
| Earth AI | あり | 有料(Pro以上) | なし | なし |
| Google Maps統合 | あり | あり | なし | なし |
| Maps Platform クレジット | 月250ドル | 無料枠のみ | なし | なし |
| サポート体制 | 非営利向け手厚い | メール | 有料サポート | コミュニティ |
対象法人:
・Google for Nonprofits 認定の非営利団体
・慈善団体登録を持つNPO・NGO
・医療機関、学校、政府機関(一部除外)
6. 始め方
ステップ1:Google for Nonprofits に申請
https://www.google.com/nonprofits/ にアクセスし、団体情報を入力します。
ステップ2:Google for Nonprofits 検証完了待機 通常2~14営業日で認定メールが届きます。
ステップ3:Google Earth にアクセス
https://www.google.com/earth/ にアクセスし、Google アカウントでログイン。すべての機能に無料でアクセス可能です。
ステップ4:プロ向け機能を有効化(オプション)
より高度な分析が必要な場合は、Google for Nonprofits ダッシュボードから「Google Earth Pro」を有効化。追加費用はかかりません。
ステップ5:Google Maps Platform クレジットを申請
Google Maps Platform credits の申請フォーム(https://developers.google.com/maps/billing-and-pricing/public-programs )を記入。月額250ドル以上のクレジットを申請できます。
ステップ6:チュートリアルでスキル習得
Google Earth Outreach ウェブサイト(https://www.google.com/earth/outreach/ )の「Tutorials」セクションで、ビデオガイドと実践的なリソースで学習開始。
申請ページのURL:
・Google for Nonprofits:https://www.google.com/nonprofits/
・Google Earth 公式サイト:https://www.google.com/earth/
・Google Earth Outreach:https://www.google.com/earth/outreach/
・Maps Platform クレジット申請:https://developers.google.com/maps/billing-and-pricing/public-programs
必要な書類:
・団体登録番号(EIN など)
・物理的な住所
・Webサイト(HTTPS対応)
・連絡先情報
申請から利用開始までの期間: 通常2~4週間(Google for Nonprofits 検証を含む)
7. 料金比較
| 項目 | Google Earth(非営利) | Google Earth Pro(通常) | ArcGIS Online(非営利) | Sentinel Hub |
| 年間基本料金 | 無料 | 月$64(年$768) | 月$55(割引なし) | 無料 |
| Google Maps クレジット | 月$250付属 | 月$200分のみ | なし | なし |
| 衛星画像データセット | Google 40年分 | Google 40年分 | Esri独自 | Copernicus Sentinel |
| カスタムデータ容量 | 無制限 | 無制限 | 有料オプション | 有料 |
| 3D分析機能 | あり | あり | あり | 限定的 |
| AI分析機能 | Earth AI(無料) | Earth AI(有料) | なし | 開発中 |
| セットアップ難易度 | 低い(UI直感的) | 低い | 中程度 | 高い(API) |
| サポート体制 | 非営利特化 | メールサポート | 有料 | コミュニティ |
| 年間総コスト(非営利) | $0+$3,000(Maps) | $768+$2,400(Maps) | $660(基本) | $0 |
8. 使い方の例
例1:森林保護団体による違法伐採監視
アマゾン先住民コミュニティが、Google Earth で月1回の衛星画像更新をチェック。過去10年の時間軸スライダーで森林面積の減少を可視化し、違法伐採の区域を特定。その後、カーボンクレジット市場で森林保護地域を販売。Google Earth がなければ困難だった大規模森林監視が、ドナー資金を一切追加で要することなく実現されています。
例2:災害復興進捗ダッシュボード
フィリピンの台風被害復興に取り組むNGOが、Google Earth の衛星画像と3D地形を使い、被害前後の村落を並べて表示。さらに、復興完了した地域を色分けしたカスタムデータレイヤーで表示。ドナーイベントで「この赤い地域(被害地)が、今は緑に変わりました」と進捗を1分で説明でき、寄付問い合わせが50%増加しました。
例3:水・衛生プロジェクトの成果可視化
給水井戸建設プロジェクトを行うNPOが、Google Earth に井戸位置を500個ポイント。周辺の衛星画像と合わせ、「この井戸から半径500メートルに3,000人が給水を利用できるようになった」と地理的範囲を明示。Web上に埋め込んだインタラクティブマップにより、オンラインドナーが支援対象地域の具体像を理解し、基金募集目標の120%達成が実現されました。
9. 注意点
使えない場合:
・営利企業
・医療機関、学校、政府機関(一部慈善基金は例外)
・衛星データ利用が不要な団体(例:都市部の社会福祉施設)
制限事項:
・Google Earth Engine(高度な衛星画像解析)の利用には、プログラミング知識(Python、JavaScript)が必要。初心者には難しい
・個人のプライバシー情報(受益者の顔写真、住所)をGoogle Earth に掲載する場合は、厳格な同意取得が必須
・リアルタイムトラッキング機能は含まれておらず、衛星画像データの更新頻度は地域により異なる(平均1~3ヶ月遅延)
・非営利団体向けのカスタマーサポートはメールのみで、電話サポートなし
うまく使うコツ:
・衛星画像の時系列データを活用:
単純な「今の様子」だけでなく、過去5年~10年の変化を時間軸スライダーで示すことで、団体の長期的インパクトが強調されます
・ストーリーテリングと組み合わせ:
衛星画像だけでなく、受益者インタビュー動画や写真と組み合わせることで、地理データが「人間的」になります
・Google Earth Engine をパートナーシップで活用:
大学や研究機関と協力して、高度な衛星画像解析を実施。Google Earth Outreach が提供するサポートを活用できます
・セキュリティと倫理に注意:
政治的に敏感な地域のプロジェクト(人権団体など)の場合、衛星画像掲載が組織の安全性に影響しないか確認
・定期的なデータ更新:
衛星画像は自動更新されるため、月1回程度、最新データを確認し、新しい発見やストーリーをドナーに共有する習慣をつけます
10. よくある質問
Q1:Google Earth は営利活動に使用できますか?
A:いいえ。非営利割引を受けている場合、営利目的での利用は禁止されています。ただし、一般向けのGoogle Earth(無料版)は営利利用も許可されています。
Q2:衛星画像の解像度はどのくらいですか?
A:地域により異なります。都市部は1~3メートル、農村部は5~10メートル程度。最高解像度は50センチメートル以下ですが、それは限定的な地域のみです。
Q3:個人のプライバシー保護はどのようにしていますか?
A:Google Earth では、個人が特定される顔写真や住所を衛星画像に重ねることは推奨されません。統計データやグループレベルの情報に限定し、個別の受益者情報は避けるべきです。
Q4:Google Earth Engine を使うには、プログラミング経験が必須ですか?
A:高度な分析にはPython や JavaScript が必要。ただし、Google は初心者向けの「Code Editor」とビジュアルツールも提供しており、段階的に学習できます。
Q5:Google Maps Platform クレジットが月額250ドルで不足する場合、追加購入できますか?
A:はい。Google Cloud コンソール上で、超過分を従量課金で支払うことが可能です。ただし、クレジット全額を組織の非営利活動のみに充当する必要があります。
11. 似たツールとの比較
ArcGIS Online(ESRI)
・料金:非営利割引なし。月$55~$500
・特徴:GIS業界のスタンダード。複雑な地理データ分析と統計処理に最適
・Google Earth を選ぶべき理由:
完全無料かつセットアップが簡単。月額250ドルのMapsクレジット付属により、Web統合マップも構築可能。学習曲線がArcGISより低い。
Sentinel Hub(Copernicus プログラム)
・料金:無料(EU主導のオープンデータ)
・特徴:ヨーロッパの Sentinel 衛星データのみ。高度な衛星画像解析が可能
・Google Earth を選ぶべき理由:
Google Earth は40年の歴史的衛星画像を保有。Sentinel Hub はリアルタイムデータに強いが、過去データは限定的。Google の方が時系列分析に適しています。
Mapbox
・料金:月25,000回まで無料、以降従量課金
・特徴:美しいカスタマイズマップ。モバイル対応が強い
・Google Earth を選ぶべき理由:
Mapbox は衛星画像データセットが限定的。Google Earth は衛星画像の時系列データに特化し、環境変化の可視化に優れています。
12. まとめ
Google Earthは、非営利団体が完全無料で、40年以上の衛星画像データと最新のEarth AI 機能を活用し、社会的インパクトを地理情報として可視化できる、類を見ない強力なツールです。
環境保全、災害復興、国際開発など、地理データが重要な団体にとって、ドナーへのインパクト説明が劇的に改善されます。Google Maps Platform の月額250ドルクレジットと組み合わせることで、Web統合マップも無料で実現可能です。
次にやるべきこと:
1.Google for Nonprofits 認定がまだの場合は、https://www.google.com/nonprofits/ から申請開始
2.https://www.google.com/earth/ にアクセスし、無料で Google Earth Essentials を試用
3.自団体の活動地域を衛星画像で確認し、時間軸スライダーで過去の変化を追跡
4.Google Earth Outreach(https://www.google.com/earth/outreach/ )のチュートリアルで、データ統合の基本を学習初回マップ作成(プロジェクト拠点、活動範囲など)をカスタムレイヤーで実装
5.Webサイトに埋め込み、ドナーイベントで活用し、ストーリーテリング効果を測定

