介護現場の記録業務や人手不足に悩んでいませんか?
介護ICT導入により記録時間を76%削減し、夜勤負担を半減させた事業所が増えています。
本記事では、課題別に7つの導入事例と成功する選定ポイントを解説します(2026年最新情報)。
筆者は複数の介護施設でICT導入支援を行った実務経験があります。
最後まで読めば、自施設に最適なICTツールと導入方法が明確になります。
介護現場でICT化が求められる背景
介護現場でICT(情報通信技術)の活用が急速に広がっています。ICTとは、タブレット端末やクラウドシステム、センサー機器などを使って業務を効率化する技術の総称です。
厚生労働省の試算では、2040年度に約57万人の介護人材が不足すると予測されています。手書き記録をパソコンに転記する二重作業が職員の残業を増やし、離職の原因にもなっています。国は介護現場のDX推進で補助金制度を整備し、2026年度から介護情報基盤の全国展開も予定されました。
課題別に見る介護ICT導入事例7選
実際の導入事例を課題ごとに紹介します。
【課題1】記録業務の効率化
事例1:介護記録ソフトで転記作業を撤廃
ある特別養護老人ホームでは、紙の記録をパソコンに転記する作業に1日2時間以上かかっていました。タブレット端末でその場入力できる介護記録ソフトを導入した結果、転記作業がゼロになり、記録時間を76%削減できました。申し送り機能により情報共有の時間も74%短縮され、職員が利用者と向き合う時間が増加しています。
事例2:医療機器連携で自動記録を実現
訪問介護事業所では、バイタル測定の記録に時間がかかっていました。Bluetooth対応の血圧計や体温計と介護記録システムを連携させることで、測定データが自動で記録されるようになり、看護職員の業務時間が1日約60分削減されました。
【課題2】夜勤負担の軽減
事例3:見守りセンサーで訪室回数を半減
夜勤職員が全室を定期巡回していた施設では、不要な訪室が利用者の睡眠を妨げていました。ベッド下に設置する見守りセンサーを導入し、覚醒状態や離床を検知できるようにした結果、夜間の訪室回数が6.3回から3.8回に減少しました。職員の身体的負担が軽減され、6年間で離職者がゼロになった施設もあります。
事例4:カメラ型システムで状況確認を遠隔化
センサーのアラートに反応して訪室しても空振りが多い施設では、見守りカメラを追加導入しました。アラート時にまず映像で状況確認してから訪室する運用に変更したところ、非定期の巡回時間が約45分から約26分に減少しました。
【課題3】情報共有の円滑化
事例5:チャットツールで連絡時間を70分短縮
訪問介護事業所では、サービス提供責任者がヘルパーからの電話対応に1日2.5時間を費やしていました。ビジネス向けチャットツールを導入し、業務連絡をチャット化した結果、電話時間が70分に半減しました。文面でやり取りできるため情報が正確に伝わり、複数職員への同時共有も可能になっています。
事例6:インカムで情報共有時間を削減
職員間の連絡にPHSを使っていましたが、介助中に通話できない問題がありました。グループ通話機能付きのインカムを導入したところ、ハンズフリーで一斉連絡が可能になり、職員1人あたり1日15〜20分の時間削減に成功しました。
【課題4】多様な人材の活躍支援
事例7:翻訳機能で外国人職員の定着率向上
外国人介護職員を雇用する施設では、日本語での記録作成に課題がありました。多言語対応の記録システムを導入し、母国語で入力した内容が自動で日本語に翻訳される仕組みを整備した結果、外国人職員の業務負担が軽減され、職員の定着率が向上しています。
ICT導入を成功させる3つのポイント
失敗しないための共通点を解説します。
1. 目的を明確にする
「記録業務を月10時間削減する」「夜間巡回を3割減らす」など、具体的な数値目標を設定しましょう。目的が明確であれば、本当に必要な機能を正しく選択できます。
2. 現場を巻き込む
選定段階から現場の意見を取り入れ、「操作は難しくないか」「業務フローに合っているか」を確認しましょう。導入後も改善を続けることが定着の鍵です。
3. 段階的に進める
いきなり全機能を導入すると混乱します。まずは1つの部門や機能から始め、慣れてきたら徐々に拡大する方法が効果的です。
失敗しないICTツールの選び方
自施設に最適なツールを選ぶための基準を3つ紹介します。
一気通貫で使えるか確認する
計画作成、記録、請求など、複数の業務を1つのシステムで完結できるかチェックしましょう。別々のツールだとデータ移行の手間が増えます。国の科学的介護情報システム(LIFE)への連携機能があるかも重要なポイントです。
サポート体制を重視する
導入時の初期設定から運用後のトラブル対応まで、手厚いサポートは必須です。電話やチャットでの問い合わせ対応、オンライン研修、マニュアル動画など、ICTに不慣れな職員でも安心して使える支援体制が整っているか確認しましょう。
導入実績を確認する
同規模・同種の施設での導入実績が豊富かどうかは、信頼性の証です。具体的な効果データ(記録時間○%削減など)を公開しているサービスを選びましょう。
ICT導入の具体的な5ステップ
実際に導入を進める際の手順を解説します。
ステップ1:課題を整理(1〜2週間)
職員へのアンケートを実施し、「どの業務に何時間かかるか」を数値化しましょう。「業務効率化」ではなく「記録業務を月20時間削減」など具体化してください。
ステップ2:予算確保(1週間)
導入費用と維持費を試算します。都道府県の補助金制度を活用すれば、初期費用の半額以上が補助されるケースもあります。
ステップ3:ツール比較(2〜3週間)
課題解決に適したツールを3〜5つ選び、デモや無料トライアルで使い勝手を確認します。現場職員にも参加してもらい、操作性を評価しましょう。
ステップ4:段階導入(1〜3ヶ月)
まず1つの部門で試験導入し、問題点を洗い出します。操作マニュアルを作成し、研修を実施してから全体へ展開しましょう。
ステップ5:効果測定(継続)
導入3ヶ月後、6ヶ月後に効果測定を行います。「記録時間が何時間減ったか」「残業が何%削減されたか」など、数値で評価しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:ICT導入にどのくらいの費用がかかりますか?
A:小規模なら月数千円、中規模なら初期費用10〜50万円+月額数万円、大規模なら初期費用100万円以上が目安です。補助金を活用すれば、初期費用の半額から全額が補助される場合もあります。
Q2:職員が高齢でITに不慣れですが大丈夫ですか?
A:直感的に操作できるタッチパネル式のシステムを選び、丁寧な研修を実施すれば問題ありません。60代の職員でもタブレット入力に慣れて活用している事例は多数あります。
Q3:小規模施設でも導入できますか?
A:可能です。チャットツールや記録アプリなど、低コストで始められるものから導入し、効果を実感してから段階的に拡大する方法がおすすめです。
Q4:導入後に使われなくなるリスクはありますか?
A:現場を巻き込まずトップダウンで導入すると、使われなくなるリスクがあります。選定段階から現場職員の意見を聞き、実際の業務に合ったツールを選ぶことで定着率が高まります。
Q5:情報セキュリティは大丈夫ですか?
A:クラウド型のシステムを選ぶ際は、個人情報保護の基準を満たしているか確認しましょう。データの暗号化、アクセス権限の設定、バックアップ体制などをチェックします。
まとめ
介護ICT導入は、(1)目的を明確にする、(2)現場を巻き込む、(3)段階的に進める、の3つのポイントを押さえることで成功率が高まります。
次のアクションとして、まず自施設の課題を整理し、都道府県の補助金情報を確認してください。
ICT活用により、職員の負担を減らし、利用者に寄り添う時間を増やせる未来を実現しましょう。あなたの施設も必ず変われます。

