【2026年最新】ICT導入支援事業とは?福祉事業者が補助金260万円を獲得する完全ガイド

AI/DX関連

「ICT導入に補助金が使えるのは知っているけど、申請が複雑で諦めている」―そんな悩みを抱える福祉事業者は少なくありません。

ICT導入支援事業とは、福祉現場のICT機器・ソフトウェア導入費用を最大260万円まで補助する国の支援制度です。補助率は最大3/4で、職員10人の施設なら実質25万円の負担で100万円分のシステムを導入できます。

本記事では、実際の申請実務に携わった知見をもとに、制度の仕組みから申請手順、採択率を上げるコツまで徹底解説します。2026年1月現在の最新情報と、各都道府県の受付状況も網羅しています。

補助金を活用すれば、記録業務の効率化・職員負担の軽減・科学的介護の実現が可能になります。この機会を逃さず、あなたの施設も業務改善の第一歩を踏み出しましょう。

ICT導入支援事業とは?【基礎知識】

ICT導入支援事業は、厚生労働省が管轄する福祉現場のデジタル化推進施策です。正式名称は「介護テクノロジー導入支援事業」で、2024年度まで別々だった介護ロボット導入支援とICT導入支援が統合されました。

財源は「地域医療介護総合確保基金」で、各都道府県が交付主体となります。つまり、国が予算を確保し、都道府県が窓口となって事業者に補助金を交付する仕組みです。

補助対象となる機器・システム

対象となるのは以下のICT関連機器です。

  • 介護ソフト:記録・情報共有・請求機能を備えたもの
  • タブレット端末:介護記録や情報共有に使用する機器
  • インカム・スマートフォン:職員間の連絡用通信機器
  • クラウドサービス:データ管理・共有のためのクラウド環境
  • バックオフィスソフト:勤怠管理・シフト作成など業務効率化ツール

重要なのは「転記作業が不要になる環境」が実現できることです。紙の記録を電子化するだけでなく、データ連携により二重入力を防ぐことが求められます。

制度の目的と期待される効果

この制度には3つの大きな狙いがあります。

第一に、働きやすい環境の創出です。ICT機器導入により、夜勤時の見守り負担軽減や記録作成時間の短縮を実現します。

第二に、介護サービス提供時間の確保です。文書作成や請求業務の効率化で生まれた時間を、利用者への直接的なケアに充てられます。実際、導入施設では記録業務が平均30〜40%削減されたというデータもあります。

第三に、科学的介護の推進です。ICTで蓄積したデータを厚生労働省のLIFE(科学的介護情報システム)に提出することで、エビデンスに基づく質の高いケアが可能になります。

ICT導入支援事業のメリット【3つの利点】

メリット1:最大260万円の補助で初期費用を大幅削減

補助上限額は施設の職員数によって4段階に設定されています。

  • 職員1〜10人:100万円
  • 職員11〜20人:160万円
  • 職員21〜30人:200万円
  • 職員31人以上:260万円

補助率は基本1/2ですが、一定要件を満たすと3/4に拡充されます。例えば職員15人の施設で160万円のシステムを導入する場合、3/4補助なら自己負担は40万円で済みます。

補助対象には機器購入費だけでなく、設定費用・研修費用・クラウド利用料(初年度分)も含まれます。ただし、既に導入済みのシステム更新や、汎用性の高いパソコン本体は対象外です。

メリット2:職員の業務負担が30〜50%軽減

導入施設の実績報告によると、記録業務にかかる時間が平均で30〜40%削減されています。紙の記録では1人あたり1日30〜40分かかっていた業務が、タブレット入力とクラウド共有で10〜15分に短縮できます。

さらに、情報共有の精度も向上します。手書き記録では判読しづらい文字や記入漏れが発生しますが、デジタル化により申し送り事項が確実に伝達されます。インカムと連携すれば、フロア間の移動時間も削減可能です。

夜勤時の見守り負担も軽減されます。見守りセンサーとICT記録システムを連携させることで、巡回回数を減らしながら安全性を確保できます。

メリット3:収支改善と職員還元の好循環を実現

ICT導入による業務効率化は、施設の収支改善に直結します。残業時間の削減・人材採用コストの低減・介護報酬の加算取得などにより、年間で数百万円規模の効果が見込めます。

補助金の要件には「収支改善した場合は職員賃金へ還元すること」が明記されています。つまり、効率化で生まれた利益を職員に分配することで、離職率低下とさらなる採用力強化につながる好循環が生まれるのです。

実際、ICT導入施設では職員満足度が平均15〜20ポイント向上したという調査結果もあります。

ICT導入支援事業の申請方法【5ステップ】

ステップ1:自治体の募集情報を確認する(申請3ヶ月前)

まず、所在地の都道府県が発表する募集要項を確認します。申請受付期間は都道府県ごとに異なり、多くは7〜9月に集中しています。2026年度は6月頃から順次発表される見込みです。

確認すべきポイントは以下の5つです。

  • 申請受付期間(締切厳守・必着が多い)
  • 補助率(1/2か3/4か、拡充要件は何か)
  • 事前協議の有無(必要な自治体が約7割)
  • 提出書類の様式(自治体独自様式の場合あり)
  • 専門相談会の開催日程(参加必須の自治体もある)

都道府県の高齢福祉課や介護保険課のウェブサイトに掲載されます。メール配信サービスがある自治体もあるので、登録しておくと見逃しを防げます。

ステップ2:業務改善計画を作成する(申請2ヶ月前)

ICT導入の目的と期待効果を明確にした「業務改善計画書」を作成します。これが審査の最重要書類です。

計画書には以下の項目を具体的に記載します。

  • 現状の課題:記録業務に1日40分かかる、情報共有が不十分など
  • 導入機器の選定理由:なぜそのシステムを選んだのか
  • 導入後の業務フロー:誰が・いつ・どのように使うのか
  • 数値目標:記録時間30%削減、残業時間月10時間削減など
  • 2年間の効果測定方法:四半期ごとに記録時間を測定するなど

抽象的な内容ではなく、「現在A業務に月50時間かかっているが、システム導入で月30時間に削減し、差分20時間を利用者との関わりに充てる」といった具体的な記述が高評価につながります。

ステップ3:SECURITY ACTION宣言を行う(申請1ヶ月前)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必須要件です。これは中小企業の情報セキュリティ対策を促進する制度で、★一つ星または★★二つ星のいずれかを選びます。

★一つ星は「情報セキュリティ5か条」に取り組むことを宣言するもので、申請から2〜3日で完了します。費用は無料です。手順は以下の通りです。

  1. SECURITY ACTIONのウェブサイトにアクセス
  2. 事業者情報を登録(法人名・住所・代表者名など)
  3. 取り組み内容にチェックを入れる
  4. 宣言証のPDFをダウンロード

宣言証は申請書類に添付するため、必ず申請締切前に取得しましょう。

ステップ4:交付申請書類を提出する(申請期間内)

都道府県指定の様式に必要事項を記入し、添付書類とともに提出します。提出方法は郵送・持参・メールのいずれかですが、自治体によって異なります。

主な提出書類は以下の通りです。

  • 交付申請書(指定様式)
  • 業務改善計画書
  • 見積書(導入機器・システムの詳細が分かるもの)
  • SECURITY ACTION宣言証
  • 事業所指定通知書のコピー
  • 職員数を証明する書類(賃金台帳など)

提出前に必ずチェックすべきなのが「見積書の内容」です。補助対象外の項目(パソコン本体など)が含まれていると減額や不採択の原因になります。導入予定のシステム事業者に事前確認を依頼しましょう。

締切は厳守です。郵送の場合は「当日消印有効」か「必着」かを確認し、余裕を持って発送してください。

ステップ5:導入実施と効果報告を行う(採択後〜2年間)

採択通知を受け取ったら、交付決定前に導入を開始しないよう注意が必要です。交付決定日より前に契約・購入したものは補助対象外となります。

導入完了後は「実績報告書」を提出します。領収書・納品書・導入完了を証明する写真などが必要です。報告内容を都道府県が確認し、補助金額が確定します。

補助金の入金は実績報告後1〜2ヶ月後です。一旦全額を事業者が支払い、後から補助金が振り込まれる「精算払い」方式が一般的です。

導入後2年間は、四半期ごとに「効果報告書」を提出します。業務改善計画で設定した数値目標の達成状況・職員の使用状況・課題と対策などを報告します。この報告を怠ると、補助金の返還を求められる場合があります。

申請のコツと注意点【失敗を防ぐ】

コツ1:補助率3/4への拡充要件を満たす

基本補助率1/2を3/4に引き上げるには、以下の要件を満たす必要があります。

共通要件として、収支改善時の職員賃金還元を導入効果報告に明記すること、第三者による業務改善支援を受けることが求められます。

ICT特有の要件は、在宅系サービスと施設系サービスで異なります。在宅系(訪問介護・通所介護など)は「ケアプランデータ連携システムを利用し、連携先事業所が決定していること」が必須です。施設系は「LIFEへのデータ提供」または「文書量半減計画」のいずれかを満たせばOKです。

導入予定のシステムがこれらの要件に対応しているか、事前に事業者へ確認しましょう。

コツ2:よくある失敗3例と対策

失敗例1:見積書に補助対象外の項目が含まれていた
対策:パソコン本体・汎用プリンター・既存システムの更新費用は対象外です。見積書を「新規導入分」と「対象外分」に分けて作成してもらいましょう。

失敗例2:交付決定前に契約してしまった
対策:導入を急ぎたい気持ちは分かりますが、交付決定通知を受け取るまで契約は待ちましょう。決定前の契約は全額自己負担になります。

失敗例3:効果報告を提出し忘れた
対策:導入後2年間、四半期ごとの報告が必須です。スケジュール管理アプリにリマインダーを設定し、担当者を明確にしておきましょう。

注意点:福祉サービス特有のリスク

福祉事業者は利用者の個人情報を大量に扱うため、セキュリティ対策が極めて重要です。クラウドシステムを選ぶ際は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠しているか確認しましょう。

また、職員のICTリテラシーにばらつきがある場合、導入後の定着に時間がかかります。補助対象には研修費用も含まれるため、操作研修を計画に組み込むことをお勧めします。

さらに、利用者家族への説明も忘れずに行いましょう。タブレット端末で記録する姿に不信感を持たれないよう、「記録の正確性向上とケアの質向上のため」と丁寧に説明することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1: 小規模事業所でも申請できますか?

はい、職員1人以上の事業所であれば申請可能です。職員1〜10人の事業所には上限100万円の補助が用意されています。小規模だからこそ、ICT導入による業務効率化の効果は大きく、職員1人あたりの負担軽減につながります。

Q2: 複数の事業所で合同申請できますか?

原則として事業所ごとの申請となります。ただし、同一法人内の複数事業所で同時導入する場合、一括申請を認める自治体もあります。詳細は都道府県の募集要項を確認してください。

Q3: 補助金はいつ入金されますか?

実績報告書を提出し、都道府県の確認が完了した後、1〜2ヶ月程度で指定口座に振り込まれます。多くの自治体では年度内(3月末まで)の入金を目指していますが、申請件数が多い場合は遅れることもあります。

Q4: 導入後にシステムを変更できますか?

補助金で導入した機器・システムは、原則として導入後5年間は処分・変更が制限されます。やむを得ない理由がある場合は都道府県に相談が必要ですが、補助金返還を求められる可能性があります。

Q5: IT導入補助金との併用は可能ですか?

同一の機器・システムに対して、ICT導入支援事業とIT導入補助金を重複して受給することはできません。ただし、対象が異なる場合(例:介護記録システムはICT導入支援事業、会計ソフトはIT導入補助金)は併用可能です。

まとめ

ICT導入支援事業は、福祉事業者のデジタル化を強力に後押しする制度です。3つのポイントを押さえましょう。

第一に、最大260万円・補助率3/4という手厚い支援が受けられます。自己負担を大幅に抑えながら最新システムを導入できるチャンスです。

第二に、業務改善計画の具体性が採択の鍵となります。現状の課題と数値目標を明確にし、2年間の効果測定方法まで示すことで審査員に納得感を与えられます。

第三に、申請期間と要件は都道府県ごとに異なるため、早めの情報収集が不可欠です。多くの自治体は7〜9月に受付を行うため、6月頃から準備を始めましょう。

次のアクションとして、まずは所在地の都道府県ウェブサイトで最新の募集情報を確認してください。そして、導入を検討しているシステム事業者に補助金対応について相談しましょう。早めの準備が採択率を高めます。

ICT導入は単なる効率化ではなく、職員が本来の介護業務に集中できる環境を作り、利用者により質の高いサービスを提供するための投資です。この機会を活用し、あなたの施設も次のステージへ進みましょう。

タイトルとURLをコピーしました