AI化が加速する時代に「人の手」が選ばれる理由——「介護美容」という新職種が急成長

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超高齢社会とAI普及という二つの潮流が交差するなか、高齢者に美容ケアを提供する専門職「介護美容(ケアビューティスト)」への注目が急速に高まっている。専門スクールへの入学者数は3年間で約3.4倍に達し、異業種からのキャリア転換組が受講者の半数以上を占めるという実態が明らかになった。


3年間で入学者数が3.4倍に——市場が求める「代替不能なスキル」

東京都渋谷区に本社を置く株式会社ミライプロジェクトが運営する「介護美容研究所」では、2024年度の入学者数が1,211名と過去最多を更新した。2021年度の355名と比較すると、わずか3年間で約3.4倍という急成長ぶりだ。スクールへの問い合わせ件数も直近2年間で累計8万件を超えており、社会的な関心の高さをうかがわせる。

この背景には、日本における高齢化の進行がある。高齢者の生活の質(QOL)を向上させる取り組みとして、美容ケアは医療・介護の現場で重要性を増している。単に外見を整えるだけでなく、利用者の意欲や自己肯定感を引き出すという側面から、専門的なスキルを持つ人材への需要は今後も拡大が見込まれる分野だ。


受講者の約6割が「異業種」出身——背景にあるAI時代の不安

同スクールの2025年度申込者を対象にした調査では、介護・医療業界の未経験者が全体の56.8%を占めることが判明した。事務職や接客業、専業主婦など、多様なバックグラウンドを持つ人々が、あえて「現場で人に触れる仕事」を選んでいるという構図だ。

この動きの底流にあるのは、AIや自動化が進むデジタルワーク環境への危機感である。特に40〜60代の女性層では、将来的な代替リスクが比較的高いとされるデスクワークから、テクノロジーでは置き換えられない対人専門職へ軸足を移そうとする意識が高まっているとみられる。

介護美容の業務は、利用者のその日の体調や表情、精神状態を細かく観察しながら、最適なケアをその場で判断し提供するという、きわめて人間的な判断と感性を要する。数値処理や定型業務とは異なり、個別の状況に寄り添い続けるこの種の専門性こそが、AI化の波に対する現実的な「防波堤」として評価されつつある。


20代から50代まで——それぞれの「キャリア転換」の物語

スクールへの入学動機は世代によって異なる。50代の事務職経験者の場合、17年間のデスクワークを経て両親の介護をきっかけに介護美容と出会い、「一生続けられる技術」を求めて受講を決意したという。

一方、20代の受講生は、薬学を学ぶなかで介護美容という職域を知り、将来のフリーランス独立を視野に、まず介護職員として現場経験を積んだうえでスクールに進むという戦略的なアプローチを取っている。将来的には「シニアが主役になれる美容の場」を創ることを目標に掲げており、介護の視点と美容技術を組み合わせた新しい職業像を体現しようとしている。

このように介護美容は、ミドルキャリアの学び直し(リスキリング)から若世代の独立志向まで、幅広い層のキャリア設計に対応できる職域として機能し始めている。


全国6校でキャリア相談会を開催

こうした関心の高まりを受け、介護美容研究所は2026年2月4日(水)から2月14日(土)にかけて、全国6校(東京・横浜・大宮・名古屋・梅田・福岡)で個別の「介護美容キャリア相談会(スクール見学&説明会)」を開催する。対象は18歳以上で初めて説明会に参加する人。介護・美容の経験は不問で、先着100名には500円分のドリンクEギフトが提供される。

少子高齢化が進む日本において、高齢者ケアに携わる人材の確保は社会的な課題でもある。専門職としての「介護美容」が、その解決策の一角を担う存在として定着するか、今後の動向が注目される。


参照元:
PR TIMES「【3年で3.4倍】AI時代に伸びる”新しい現場職”「介護美容」 年間1,200名が選ぶ、介護現場の新しい担い手」(株式会社ミライプロジェクト、2026年2月4日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000025369.html

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