1. LinkedIn Pagesとは
LinkedIn Pagesは、非営利団体が645万以上のプロフェッショナル層(ビジネスパーソン、経営層、大口寄付者など)に対して、組織のミッション、インパクト、採用情報、資金募集などを公式に発信できるLinkedIn公式プラットフォームです。
このツールにより、資金力豊富な企業寄付者やスキル豊かなボランティア、将来の人材採用の接点を創出できます。
最大の魅力は、LinkedIn ページ作成から基本的な投稿機能はすべて完全無料であり、さらに非営利団体向けに LinkedIn Ads グラントプログラム(無料広告クレジット)や Talent Solutions、Learning Solutions など複数サービスで大幅な割引が提供されることです。
2. サービス基本情報
LinkedIn Pagesとは:
LinkedIn Pages は、LinkedIn が提供する公式の組織用プロフィールプラットフォームです。Facebook の Company Page や Instagram のビジネスアカウントに類似していますが、LinkedIn の特性である「プロフェッショナル層」に特化しています。
2025年版では、LinkedIn Live(動画配信)、長文記事投稿、LinkedIn Events(イベント告知・管理)、LinkedIn Groups(コミュニティ形成)、求人掲載、非営利向けの資金募集機能などが統合されています。
非営利団体向け料金:
LinkedIn Pages の基本機能(ページ作成、投稿、分析)は完全無料です。さらに非営利団体向けに、LinkedIn Ads グラントプログラム(無料広告クレジット申請可能)、Talent Solutions 割引(求人掲載)、LinkedIn Learning 割引(従業員研修)が提供されています。
提供企業:
LinkedIn Corporation(Microsoft 傘下)が提供。2025年版では Microsoft の社会的責任プログラムと統合され、Microsoft 365、Azure など追加の無料リソースも提供されています。
3. どんな団体におすすめ?
対象となる規模:
・小規模団体(スタッフ5名以下):
無料の Pages 基本機能のみで、ボランティア募集、寄付者の信頼構築が実現。採用目的がない場合でも、ブランド認知度向上に有効
・中規模団体(スタッフ10~50名):
Talent Solutions 割引で求人掲載。LinkedIn Live でドナー向け説明会配信。LinkedIn Learning 割引で従業員スキル開発
・大規模団体(スタッフ50名以上):
LinkedIn Ads グラントで無料広告展開。複数の LinkedIn Groups でコミュニティ形成。高度なセグメンテーション分析
具体的な使用場面:
・経営層・理事向けのボランティア・プロボノ(スキル提供)募集
・大口企業寄付者へのプロジェクト完了報告と関係構築
・高度なスキルを持つボランティア(医師、弁護士、会計士)の募集
・年間成果報告と将来の寄付見込み層への接近
・従業員採用と組織文化の発信
・LinkedIn Live でのウェビナー、ドナー感謝イベント配信
4. できること(主要機能)
1. 組織プロフィールと信頼構築
組織のミッション、サイズ、所在地、Webサイトリンク、業界(nonprofit)を明確に表示。従業員・ボランティアがプロフィールに組織を追加すると、自動的に組織の可視性が向上。完成度の高いプロフィール(すべての情報が埋まった状態)は、週間ビュー数が30%向上します。
2. LinkedIn Live による動画配信
ドナー向けの説明会、プロジェクト現地からのライブ配信、理事長のメッセージ配信などが可能。視聴者はコメント・反応で双方向コミュニケーションが実現。通常の投稿よりリーチが3~5倍向上します。
3. 長文記事投稿と思考提言
CEO やプログラムディレクターが LinkedIn 上で直接、長文記事を投稿可能。「社会問題への非営利団体の取り組み」「業界トレンド分析」などの思考提言を配信。エグゼクティブの個人フォロワーも増え、組織ブランドが強化されます。
4. 求人掲載と Talent Solutions
LinkedIn Pages から無料で求人掲載可能。Talent Solutions 割引により、プロフェッショナル層からの応募精度が向上。スクリーニング機能で、スキルが条件に合致した応募者だけを抽出できます。
5. LinkedIn Groups コミュニティ形成
フォロワー向けの閉鎖的なコミュニティ(LinkedIn Group)を形成。定期的なディスカッション、資料共有、ネットワーキング機会を提供。大口寄付者やステークホルダー間のネットワーク効果が生まれます。
5. 非営利団体の特典
無料の詳細:
・LinkedIn Pages 基本機能:完全無料(ページ作成、投稿、分析、LinkedIn Live)
・LinkedIn Ads グラント:無料広告クレジット申請可能(非営利団体向け)
・Talent Solutions 割引:求人掲載料金を50~75%割引
・LinkedIn Learning 割引:従業員研修プログラムを50%以上割引
・Microsoft 365 割引:Microsoft for Nonprofits と統合。Word、Excel などのツール割引
・LinkedIn for Nonprofits Resource Hub:ベストプラクティス・ガイド・ウェビナーへの無料アクセス
通常プランとの違い:
| 項目 | LinkedIn Pages(非営利) | Hootsuite Professional(非営利) | Facebook Business Suite |
| 基本料金 | 無料 | $24.50/月 | 無料 |
| 年間総コスト | $0 | $294 | $0 |
| プロフェッショナル層リーチ | 645万+ | 制限的 | 一般層向け |
| 求人掲載 | 無料~割引 | 不可 | 不可 |
| 動画配信(Live) | あり(LinkedIn Live) | あり(他プラットフォーム限定) | あり(Facebook Live) |
| 長文記事投稿 | 可能 | 不可 | 限定的 |
| コミュニティ形成 | LinkedIn Groups | 不可 | Facebook Groups |
| Ads グラント | あり(申請可) | 別途 Google Ads | 別途 Facebook Ads |
| Learning Solutions割引 | あり | なし | なし |
| ターゲット層 | B to B寄付者、スキルボランティア | 多様な層 | 一般層 |
対象法人:
・501(c)(3)ステータス(米国)または各国で正式登録された非営利団体
・NPO・NGO・社団法人など
・慈善団体、財団、宗教団体(一部を除く)
6. 始め方
ステップ1:個人用 LinkedIn アカウント作成(7日以上前に)
LinkedIn Pages を作成するには、個人アカウントが最低7日間古い必要があります。https://www.linkedin.com にアクセスし、姓名、メールアドレスで個人アカウント作成。組織ドメイン(@organization.org )のメールアドレス登録を推奨。
ステップ2:個人プロフィール完成
氏名、職務経歴に「組織名(nonprofit)」を記載。数人の専門家とつながる(接続)。プロフィール完成度を高めます(最大強度まで)。
ステップ3:Company Page 作成
右上の「Work」アイコン → 「Create a Company Page」 を選択。ページタイプ「Company」を選択。
ステップ4:組織情報入力
・組織名
・業界:Nonprofit を選択
・組織サイズ
・Webサイト URL
・ロゴ・バナー画像(推奨サイズ:ロゴ 300×300px、バナー 1536×768px)
・ミッションの説明(160文字)
ステップ5:ページ所有権確認
「I have the right to act on behalf of this nonprofit」にチェック。
ステップ6:ページ公開
「Create Page」をクリック。ページが公開されます。
ステップ7:非営利割引申請(オプション)
https://nonprofit.linkedin.com/ にアクセスし、Ads Grants や Talent Solutions 割引申請フォームを記入。LinkedIn チームが3~5営業日で審査。
申請ページのURL:
・LinkedIn ページ作成:https://www.linkedin.com/company/
・LinkedIn for Nonprofits(割引申請):https://nonprofit.linkedin.com/
・Resource Hub(ガイド・ウェビナー):https://nonprofit.linkedin.com/resource-hub
必要な書類:
・個人の LinkedIn アカウント(7日以上経過)
・組織ドメインのメールアドレス(@organization.org など)
・非営利ステータス証明書(割引申請時)
・組織のロゴ・バナー画像
申請から利用開始までの期間:
即座~1日(Pages は即座に利用可能。割引申請は3~5営業日)
7. 料金比較
| 項目 | LinkedIn Pages(非営利) | LinkedIn Pages(一般) | Hootsuite(非営利) | Facebook Business Suite |
| ページ作成・投稿 | 無料 | 無料 | $24.50/月 | 無料 |
| 年間総コスト | $0 | $0 | $294 | $0 |
| 求人掲載 | 無料~割引 | 有料($20~) | 不可 | 不可 |
| 動画配信(Live) | 無料 | 無料 | 他プラットフォーム | 無料 |
| Ads グラント | あり(申請可) | なし | 別途申請 | 別途申請 |
| Talent Solutions 割引 | 50~75% | 0% | 対象外 | 対象外 |
| Learning Solutions 割引 | 50%以上 | 0% | 対象外 | 対象外 |
| プロフェッショナル層対応 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
| 採用・スキルボランティア | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
8. 使い方の例
例1:プロボノ(スキル提供ボランティア)募集
法律相談を提供するNPOが LinkedIn Pages で「弁護士・弁護士資格者ボランティア募集」ポストを投稿。LinkedIn の弁護士層(数十万人)に直接リーチ。投稿の「応募」ボタンから 25名の質の高い応募を獲得。従来の一般的な SNS や Web では到達しなかった「法律知識を持つ会社員」層の副業ボランティアが見つかりました。
例2:大口企業寄付者向け LinkedIn Live ウェビナー
国際開発 NGO が「Sustainable Development Goals(SDGs)進捗ウェビナー」を LinkedIn Live で配信。企業寄付者(CEO、CSR 担当者)向けに、プロジェクトの成果と今後の資金ニーズをプレゼン。200人の視聴者から 15社の新規寄付契約が成立。従来の個別営業訪問で 50時間以上必要だった営業活動が、1時間のウェビナーで実現。
例3:従業員採用と組織ブランド構築
大規模国際 NGO が LinkedIn Pages で「職員採用ニュース」を月3回投稿。組織の「Life」タブで従業員のプロフィール、スキル、働く喜びを発信。LinkedIn Learning 割引で従業員の研修プログラムを提供。結果として、採用応募が 200人→500人に増加。同時に、従業員の個人 LinkedIn フォロワーも増え、組織ブランドが強化されました。
9. 注意点
使えない場合:
・医療機関、学校、政府機関(ただし慈善基金は対象)
・プロフェッショナル層とのつながりが不要な団体(例:完全ローカル・家族向け NPO)
・LinkedIn ユーザーが少ない地域(例:一部途上国)
制限事項:
・LinkedIn Pages は「プロフェッショナル層」特化。一般消費者層(若年層含む)へのリーチは限定的。Facebook や Instagram の補助的な位置づけになる場合が多い
・投稿アルゴリズムが不透明。Facebook のような「ページ投稿のみで高リーチ」は保証されず、従業員の個人シェアが重要
・「長文記事」機能は CEO など一部の権限者限定。一般スタッフは利用不可
・Ads グラント は申請制。必ず承認されるわけではなく、審査に時間がかかる
うまく使うコツ:
・従業員・理事のシェアを重視:
ページ投稿より、従業員の個人アカウントでのシェアが重要。従業員向けに「月1回、組織ページの投稿をシェアしてください」というルール化
・プロボノ・スキルボランティア募集に特化:
医師、弁護士、会計士、ITエンジニア など専門職ボランティアの募集に最適。一般ボランティアは Facebook が効果的
・大口寄付者との関係構築重視:
CEO や理事長の長文記事投稿、LinkedIn Live で、ハイエンドドナーとの信頼構築に注力
・LinkedIn Learning で従業員投資を可視化:
割引をもらったら、従業員に積極的に研修プログラムを受講させ、「組織が人材開発に投資している」をアピール
・定期投稿(週1~2回)を習慣化:
Facebook よりエンゲージメント期待値は低いが、定期投稿で信頼構築。投稿内容は「成功事例」「理事長のコラム」「採用情報」を月単位で交互に
10. よくある質問
Q1:LinkedIn Pages を複数のスタッフで管理する場合、権限制御はどのようにしますか?
A:「Setting」→「Manage administrators」で、スタッフを Admin、Moderator、Analyst など役割別に追加可能。ただし、投稿権限の細分化は限定的なため、一人の主要管理者を決めることを推奨。
Q2:個人アカウントと組織 Pages は、どのように分け合うべきですか?
A:CEO や理事長など経営層は個人アカウントで「思考提言」の長文記事を投稿。組織 Pages は「採用情報」「プロジェクト成果」などの公式情報に限定。個人フォロワーが増え、シェア拡散も増えます。
Q3:LinkedIn Pages と Facebook ページの違いは何ですか?
A:LinkedIn はプロフェッショナル層(ビジネスパーソン、経営層)特化。Facebook は一般層向け。両方運用することで、「大口企業寄付者は LinkedIn、個人寄付者は Facebook」という役割分担が最適です。
Q4:LinkedIn Live でウェビナー配信する場合、事前申請は必要ですか?
A:ページが確立されていれば、申請不要です。ただし、1,000人以上の大規模配信を計画する場合は、LinkedIn に事前通知することをお勧めします。
Q5:LinkedIn Ads グラント の無料クレジットはどのくらい利用できますか?
A:通常、月数百~数千ドルのクレジット(団体のサイズにより異なる)が3~6ヶ月提供されます。詳細は nonprofit@linkedin.com に問い合わせてください。
11. 似たツールとの比較
Facebook Company Page
・料金:無料
・ターゲット層:一般消費者、個人寄付者
・特徴:ビジュアルコンテンツに強い。若年層からシニア層まで広範
・LinkedIn Pages を選ぶべき理由:
プロボノ、大口企業寄付者、採用が目的なら LinkedIn。個人寄付者やボランティア募集なら Facebook を優先
Twitter(X)アカウント
・料金:無料(X Pro は月$14)
・ターゲット層:リアルタイム情報フォロワー、メディア
・特徴:ニュース・トレンド対応。拡散性が高い
・LinkedIn Pages を選ぶべき理由:
緊急情報や啓発にはTwitter が優秀。関係構築・採用・資金募集には LinkedIn が効果的
YouTube チャンネル
・料金:無料
・ターゲット層:動画ユーザー全般
・特徴:長編動画に特化。SEO 効果も高い
・LinkedIn Pages を選ぶべき理由:
LinkedIn Live(ウェビナー)はリアルタイム双方向。YouTube は一方向。ドナー・ボランティアとの関係構築には LinkedIn が適切
12. まとめ
LinkedIn Pages は、非営利団体がプロフェッショナル層(企業寄付者、スキルボランティア、人材採用)へのリーチで最強の無料ツールです。
完全無料の基本機能に加え、Ads グラント、Talent Solutions 割引、Learning Solutions 割引により、中~大規模団体なら相当な広告費・採用費・研修費が削減されます。
特に法律・医療・技術など専門職ボランティアの募集や、大口企業寄付者との関係構築では、他のプラットフォームと比較して圧倒的な優位性があります。
次にやるべきこと:
・個人用 LinkedIn アカウントを作成(7日間経過待機)
・組織ドメインのメールアドレスを個人アカウントに追加
・数人のプロフェッショナルとつながる(接続)
・https://www.linkedin.com/company/ から Company Page を作成
・組織情報(ロゴ、バナー、ミッション説明)を完全入力
・3人以上の従業員・理事に組織ページをフォロー&シェア依頼
・https://nonprofit.linkedin.com/ で Ads Grants や Talent Solutions 割引申請
・月1~2回の定期投稿(採用情報、成功事例、理事長記事)を開始

