介護・医療の連携課題をITで解決へ――在宅ケア専門の多職種連携基盤「LYNXS」が本格稼働

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在宅医療・介護の現場で長年課題となってきた多職種間の情報共有の非効率さを解消しようと、東京都港区に拠点を置く株式会社LYNXSが2026年2月、完全招待制のケア連携プラットフォーム「LYNXS(リンクス)」を正式にリリースした。

40年以上のシステム開発経験を持つ代表取締役・伊藤由起子氏が、現場の実態調査から導き出した独自設計が注目されている。

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ケアマネジャーの「電話・調整」に年間2,400万時間が消える現実

在宅ケアの現場では、医師・看護師・介護士・薬剤師など複数の専門職が一人の利用者を支えているが、それぞれの事業所間の連絡手段は今も電話やFAXに大きく依存している。

伊藤氏がこれまでの業務改革の過程で実施した調査によると、ケアマネジャーが電話連絡や調整業務だけに費やす時間は、全国で年間約2,400万時間に上ることが判明した。フルタイム換算すると16万人分の労働力に相当し、連絡を受ける相手側の時間も合わせれば32万人分にのぼるという。

超高齢社会を支える人材の慢性的な不足が叫ばれる中、こうした非効率の解消は喫緊の課題だ。

「新しいアプリへの乗り換え」ではなく「既存ツールをつなぐ」

LYNXSの最大の特徴は、利用者が今使い慣れているコミュニケーションツール(LINEやChatwork、ショートメッセージなど)をそのまま活用できる点にある。新たにアプリを習得する必要がないため、ITツールへの抵抗感が強い職種や世代でも参加しやすい設計だ。

他事業所への利用者の受け入れ打診、担当者会議の日程調整、関係機関への情報共有といった、従来は複数回の電話やFAXのやり取りが必要だった業務が、数回のクリック操作で完結する。

個人情報の取り扱いにも配慮が施されており、打診の段階では個人を特定できない形で情報を共有し、受け入れが決定した相手にのみ詳細情報を開示する仕組みを採用している。

家族も巻き込んだ「連絡帳機能」を新たに追加

群馬県・山梨県での実証実験を経て、今回の正式リリースにあわせて新機能「連絡帳(家族チャット)」が追加された。

これまでの多職種連携ツールは専門職間のやり取りに限定されがちだったが、実証実験で「ご家族への情報共有」ニーズが高いことが明らかになった。新機能では、専門職だけで行う議論の場(専門職チャット)と、家族にも向けた連絡の場(連絡帳)を利用者ごとに使い分けられる。

方針が固まった後に統一の見解を家族へ伝えることで、不安の軽減と信頼関係の構築につながるとしている。

業界40年のパイオニアが社会インフラへの挑戦を宣言

代表の伊藤氏はIT業界の黎明期から現役プログラマーとして活躍し、ソフトバンクの日次決算システムや在宅医療向けの訪問スケジュール自動化クラウドなどを手がけてきた人物だ。

前職(株式会社ゼスト)では、訪問スケジュールの自動作成によって現場の生産性を全国平均で64%向上させた実績を持つ。2024年5月、36年間率いてきた同社の経営から退き、LYNXSを新たに設立した。

同社は現在、全国47都道府県への展開を視野に各地域での実証実験提案を進めており、将来的には自治体の重層的支援体制や災害時の情報連携にも対応できる社会インフラとしての機能拡張を目指している。

日本の介護・医療分野における人件費は約28兆円(総費用約70兆円のうち)とされており、LYNXSによる連携効率化を通じて約1兆円規模の価値創出を目標に掲げる。将来的には日本にとどまらず、世界への展開も構想している。

LYNXSは現在、ケアマネジャー・訪問看護・訪問介護・薬局・病院・施設・行政など地域包括ケアに関わる全専門職および利用者家族を対象に、完全無料・招待制で提供されている。

参照元

本記事は以下のプレスリリースをもとに、編集部が独自に再構成・執筆したものです。

PR TIMES「40年間現役プログラマーの女性起業家が『誰一人取り残さない』地域包括ケアの実現へ。多職種連携プラットフォーム『LYNXS(リンクス)』正式リリース。」(株式会社LYNXS、2026年2月20日) URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000177243.html

お問い合わせ先:株式会社LYNXS 広報担当 press@lynxs.biz / https://www.lynxs.biz/

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