1. Slack Proとは
Slack Proは、チャット、ビデオ通話、ファイル共有を一つのプラットフォームで実現するビジネスコミュニケーションツールの有料プランです。非営利団体では、スタッフ間の日常的な連絡、プロジェクト管理、ボランティアとのやり取り、ファイル共有など、組織運営に欠かせないコミュニケーションを効率化できます。
一番の魅力は、NPO支援プログラムにより、250人以下のワークスペースであればプロプラン(通常年払いで月額925円/ユーザー)が完全無料で利用できること。無制限のメッセージ履歴、外部アプリとの無制限連携、AI議事録機能など、通常は年間約27万円(250人×925円×12ヶ月)かかる高機能ツールを無償で使えるため、限られた予算で組織のコミュニケーションを劇的に改善できます。
2. サービス基本情報
どんなツールか
Slack Proは、Slack Technologies(現Salesforce傘下)が提供するクラウド型ビジネスコミュニケーションプラットフォームの有料プランです。チャンネル(テーマ別のチャットルーム)でプロジェクトごとに会話を整理し、ダイレクトメッセージで個別連絡、ハドル(音声通話)で簡単な打ち合わせ、外部ツール(Google Drive、Trello、Zoomなど)との連携で業務を一元化できます。パソコン、スマートフォン、タブレットのどこからでもアクセス可能です。
非営利団体は無料/割引で使えるか
はい。NPO支援プログラムにより、250人以下のワークスペースはプロプランが完全無料、251人以上のワークスペースもプロプランとビジネスプラスプランが85%割引で利用できます。審査に通過した団体のみが対象です。
提供している会社
Slack Technologies, Inc.(Salesforce, Inc.傘下)/ Slack Japan株式会社(日本法人)
3. どんな団体におすすめ?
組織の規模
- 小規模団体(1~10名):無料プランでも十分ですが、プロプランで過去ログを残したい場合に最適
- 中規模団体(11~250名):無料のNPO支援プログラムで全員に付与可能、コストゼロで本格運用
- 大規模団体(251名以上):85%割引でプロプラン(通常925円→約139円/月/ユーザー)を利用可能
具体的な使用場面
- リモートワークを推進したい:在宅勤務のスタッフと簡単に連絡を取り合い、ハドル機能で音声通話も可能
- プロジェクトごとに会話を整理したい:チャンネル機能で「イベント企画」「広報」「会計」など、テーマ別に議論を分ける
- 過去の会話を検索したい:無料プランは90日間しか履歴が残らないが、プロプランなら無制限に過去ログを検索可能
- 外部ツールと連携したい:Google Drive、Trello、Asana、Zoomなど、他のツールと連携してワークフローを効率化
- ボランティアとコミュニケーションしたい:マルチチャンネルゲスト機能で、特定のチャンネルだけ外部の人を招待可能
4. できること(主要機能)
機能1:無制限のメッセージ履歴とファイルストレージ
無料プランでは過去90日間のメッセージしか閲覧できませんが、プロプランでは全てのメッセージ履歴が無制限に保存され、いつでも検索できます。ファイルストレージも1ユーザーあたり10GBまで利用でき、画像、PDF、動画などを安全に保存・共有できます。
機能2:外部アプリとの無制限連携
無料プランでは10個までしか外部アプリを連携できませんが、プロプランでは無制限に連携可能です。Google Drive、Zoom、Trello、Asana、GitHubなど、2,600以上のアプリと連携し、Slackを中心にすべての業務ツールを統合できます。
機能3:ハドル(音声通話)とAI議事録機能
チャンネルやダイレクトメッセージから、ワンクリックで音声通話(ハドル)を開始できます。2025年6月のアップデートにより、プロプランでもAI議事録機能が利用可能になり、ハドル会議の内容を自動で文字起こし・要約してくれます。簡単な打ち合わせならZoomを開く必要がありません。
機能4:チャンネルとダイレクトメッセージ
プロジェクト、部署、イベントごとに「チャンネル」を作成し、関係者だけで情報共有できます。パブリックチャンネル(全員が参加可能)とプライベートチャンネル(招待制)を使い分けられます。また、個別の連絡にはダイレクトメッセージ(最大9人まで)を使えます。
機能5:ワークフローとメッセージスケジュール
プロプランでは、繰り返し行う作業を自動化するワークフロー機能が利用できます。例えば、新メンバーが参加したら自動でウェルカムメッセージを送信、定期的にアンケートを配信などが設定可能。また、メッセージを指定した日時に送信予約できるため、早朝や深夜に作業している場合でも相手の業務時間に合わせて送信できます。
5. 非営利団体の特典
無料/割引の詳細
| ワークスペース規模 | プロプラン | ビジネスプラスプラン |
| 1~250人 | 完全無料 | 85%割引(通常年払い1,600円→約240円/月/ユーザー) |
| 251人以上 | 85%割引(通常年払い925円→約139円/月/ユーザー) | 85%割引 |
年間コスト削減効果の例(250人のワークスペースの場合)
- 通常料金:925円 × 250人 × 12ヶ月 = 約277万円/年
- NPO支援プログラム:0円(完全無料)
- 削減額:約277万円/年
通常プランとの違い
NPO支援プログラムで提供されるプロプランは、一般向けプロプランと全く同じ機能を利用できます。機能制限や利用期限はありません。ただし、審査に通過した非営利団体のみが対象です。
どんな法人が対象か
以下の要件を満たす団体が対象です:
- 日本国内で法的に認められた非営利団体
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 公益社団法人・公益財団法人
- 一般社団法人・一般財団法人(非営利型)
- 社会福祉法人
- 所在地の税務署や慈善委員会、またはTechSoup Globalパートナーによって公益性が正式に認められている団体
- 宗教団体、政治団体、労働組合などは対象外
- 教育機関は別の「教育支援プログラム」が用意されています
6. 始め方
申請のステップ
- Slackワークスペースを作成(無料プラン)
まずは https://slack.com/intl/ja-jp/ から無料でワークスペースを作成します。既にワークスペースがある場合はそのまま次へ進めます。 - NPO支援プログラム応募フォームにアクセス
https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/204368833 から応募フォームに進みます。複数のワークスペースがある場合、それぞれ個別に申請が必要です。 - 団体情報を入力
以下の情報を入力します:
- 団体の商号または正式名称
- 市区町村、国/地域
- 希望するプラン(プロまたはビジネスプラス)
- ワークスペースの予想規模
- 法人番号
- 団体のウェブサイトURL
- 団体の説明(主な使命と活動を50単語以下で説明)
- TechSoupによる審査
Slackのパートナー組織TechSoupが、団体の非営利性と公益性を評価・検証します。 - 承認通知を受け取る
審査に通過すると、メールで通知が届きます。 - プロプランにアップグレード
Slackの料金・お支払いページから、割引または無料のプロプランを選択してアップグレードします。
必要な書類
申請フォームには以下の情報が求められます(書類の直接アップロードではなく、情報入力が中心):
- 法人番号(日本の場合)
- 団体のウェブサイトURL
- 団体の活動内容説明
審査過程で追加書類(登記簿謄本、定款など)を求められる場合もあります。
申請から使えるまでの期間
- 申請受付から審査完了まで:約2~4週間
- 審査に通過したら即座にアップグレード可能
審査期間は団体の規模や提出情報の完全性によって異なります。早めに申請することをおすすめします。
申請ページのURL
https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/204368833
7. 料金比較
| 項目 | 一般向け(フリープラン) | 一般向け(プロプラン) | 非営利団体向け(NPO支援プログラム) |
| 月額料金(年払い) | 無料 | 925円/ユーザー | 0円(250人まで)または139円/ユーザー(251人以上、85%オフ) |
| 月額料金(月払い) | 無料 | 1,050円/ユーザー | 0円(250人まで)または158円/ユーザー(251人以上、85%オフ) |
| メッセージ履歴 | 過去90日間のみ | 無制限 | 無制限 |
| ファイルストレージ | 5GB/ワークスペース | 10GB/ユーザー | 10GB/ユーザー |
| 外部アプリ連携 | 10個まで | 無制限 | 無制限 |
| AI議事録機能 | なし | あり | あり |
| ビデオ通話参加人数 | 2人まで | 50人まで | 50人まで |
| 250人の年間コスト | 0円 | 約277万円 | 0円(約277万円の削減) |
※2025年12月現在の料金(為替レートにより変動する可能性があります)
8. 使い方の例
例1:プロジェクトごとにチャンネルを作成して情報を整理
環境保全NPOが複数のプロジェクトを同時進行している場合、「#森林保全プロジェクト」「#海洋清掃イベント」「#広報チーム」「#会計」など、テーマ別にチャンネルを作成。関係者だけがそれぞれのチャンネルに参加し、議論やファイル共有を行います。プロプランなら無制限にメッセージ履歴が残るため、新しいメンバーが参加しても過去の経緯を簡単に把握できます。また、Google DriveやTrelloと連携し、タスク管理や資料共有も一元化できます。
例2:ボランティアとの連絡にマルチチャンネルゲスト機能を活用
イベント運営NPOが外部のボランティアと連絡を取る際、マルチチャンネルゲスト機能を使って特定のチャンネル(例:「#イベント当日運営」)だけにボランティアを招待。ボランティアには全てのチャンネルを見せず、必要な情報だけを共有できます。イベント終了後、ゲストアクセスを削除すれば、団体内部の情報は守られます。プロプランなら無制限にゲストを招待できます。
例3:リモート勤務スタッフとハドル機能で簡単な打ち合わせ
福祉系NPOのスタッフ20名が、在宅勤務と事務所勤務を組み合わせて働いています。ちょっとした確認事項があるとき、Slackのハドル機能でワンクリック音声通話を開始。「今ちょっといいですか?」と声をかけて、数分の打ち合わせで即座に問題解決。プロプランのAI議事録機能により、会話内容が自動で文字起こしされ、参加できなかったメンバーも後から内容を確認できます。Zoomのように事前にミーティングURLを共有する手間がなく、気軽にコミュニケーションできます。
9. 注意点
使えない場合
- 宗教団体、政治団体、労働組合は対象外
- 政府機関、自治体は対象外
- 教育機関(学校、大学など)はNPO支援プログラムではなく、別の教育支援プログラム(85%割引)が用意されています
- 営利型の一般社団法人は対象外(非営利型のみ可)
- 公益性が正式に認められていない任意団体は審査に通らない場合があります
制限事項
- NPO支援プログラムの割引は、1つのワークスペースごとに申請が必要(複数ワークスペースがある場合は個別申請)
- 審査に通過しなかった場合、再申請は可能ですが、団体の公益性に変更がない限り結果は同じになる可能性があります
- 無料・割引プランの提供期限は設定されていませんが、Slackのポリシー変更により将来的に条件が変わる可能性があります
- プロプランのビデオ通話は最大50人まで(大規模なウェビナーを開催したい場合はZoomなど別ツールが必要)
うまく使うコツ
- チャンネル名に接頭辞を付ける:「#prj-森林保全」「#team-広報」など、接頭辞を付けるとチャンネル一覧が整理され、目的のチャンネルを見つけやすくなります
- スレッド機能を活用:メッセージに返信する際はスレッド機能を使うと、会話が入り乱れず読みやすくなります
- リマインダー機能を使う:重要なタスクはSlackbotに「/remind @自分 報告書提出 tomorrow 10am」とメッセージすると、指定時刻にリマインダーが届きます
- 検索演算子を覚える:「from:@山田 in:#会計」のような検索演算子を使えば、特定の人が特定のチャンネルで発言した内容だけを絞り込めます
- 通知設定を最適化:全てのメッセージで通知が来ると煩わしいので、「おやすみモード」や「@メンション時のみ通知」などに設定しましょう
10. よくある質問
Q1. 無料プランとプロプランの一番の違いは何ですか?
A. 最大の違いは「メッセージ履歴」です。無料プランでは過去90日間のメッセージしか見られませんが、プロプランでは全ての履歴が無制限に保存されます。また、外部アプリ連携が無料プランは10個まで、プロプランは無制限という違いもあります。NPOにとっては、過去の議論や決定事項を検索できることが非常に重要です。
Q2. 既に無料プランで使っているワークスペースをプロプランにアップグレードできますか?
A. はい、可能です。NPO支援プログラムに申請・承認されたら、既存の無料ワークスペースをそのままプロプランにアップグレードできます。これまでの会話履歴やファイルもすべて残ります。
Q3. 251人以上の団体の場合、割引はどのように適用されますか?
A. 251人以上の場合、プロプラン(通常年払い925円/月/ユーザー)が85%割引で約139円/月/ユーザーになります。例えば300人の場合、通常なら年間約333万円かかるところ、約50万円で利用できます(年間約283万円の削減)。
Q4. ビジネスプラスプランとプロプランの違いは何ですか?
A. ビジネスプラスプランは、プロプランよりも高度な機能(SAML認証、99.99%の稼働保証、高度なAI機能など)が含まれます。ただし、ほとんどのNPOにはプロプランで十分です。大規模な団体や高度なセキュリティが必要な場合のみビジネスプラスプランを検討しましょう。
Q5. 審査に落ちた場合、どうすればいいですか?
A. 審査に落ちた理由をSlackサポートに問い合わせ、改善できるポイントがあれば対応してから再申請しましょう。また、TechSoup Japan経由で申請する方法もあります。それでも難しい場合は、無料プランを継続利用するか、他のツール(Microsoft Teams、Google Chatなど)を検討してください。
11. 似たツールとの比較
Microsoft Teams(Microsoft 365)
Microsoftが提供するビジネスコミュニケーションツールで、非営利団体向けにMicrosoft 365 Business Basicが最大300ユーザーまで無料で提供されます。Officeアプリとの統合に優れていますが、Slackのようなカジュアルな使い勝手やリアルタイム感には若干劣ります。
Chatwork
日本発のビジネスチャットツールで、日本語UIが分かりやすく、ITに不慣れな人でも使いやすいのが特徴です。無料プランでもグループチャットが14個まで作成できますが、NPO向けの特別割引プログラムはありません。メッセージ履歴も無制限ではなく、検索性ではSlackに劣ります。
Google Chat(Google Workspace)
Googleが提供するチャットツールで、Google Workspace for Nonprofitsにより非営利団体は無料で利用できます。Googleドライブ、カレンダー、Meetとの統合が強力ですが、外部アプリ連携の豊富さや、Slackのようなコミュニティ的な使い心地では劣ります。
Slack Proを選ぶべき理由
Slackは、チャットツールの中で最も外部アプリとの連携が豊富で、Google Drive、Trello、Asana、Zoom、GitHubなど2,600以上のアプリと統合できます。これにより、Slackを中心にすべての業務ツールを一元化できる点が最大の強みです。また、NPO支援プログラムにより250人まで完全無料という圧倒的なコストパフォーマンスも他にはない魅力です。直感的なUI、充実した検索機能、スレッド機能によるコミュニケーション整理など、使い勝手の良さも高く評価されています。
12. まとめ
Slack Proは、非営利団体のコミュニケーションを劇的に改善できる強力なビジネスツールです。NPO支援プログラムにより、250人以下のワークスペースなら年間約277万円相当のプロプランが完全無料、251人以上でも85%割引で利用できます。無制限のメッセージ履歴、外部アプリとの無制限連携、AI議事録機能など、団体運営に必要な機能がすべて揃っています。
リモートワーク、プロジェクト管理、ボランティアとの連絡、ファイル共有など、NPOが直面するコミュニケーション課題を一つのプラットフォームで解決できます。審査には2~4週間かかるため、早めに申請を開始することが重要です。無料プランから始めて、団体の運営に合うか試してから申請するのもおすすめです。次にやるべきこと
まずは https://slack.com/intl/ja-jp/ から無料のワークスペースを作成し、実際にSlackを使ってみましょう。使い勝手を確認したら、NPO支援プログラムの申請ページ(https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/204368833)から申請手続きを開始してください。法人番号、団体ウェブサイトURL、活動内容の説明を事前に準備しておくとスムーズです。審査に2~4週間かかるため、使いたい時期の1ヶ月前には申請しましょう。

