福祉事業者向け IT導入補助金 活用事例記事集

補助金/助成金

記事① 介護記録のデジタル化で月80時間の残業を削減――訪問介護事業所のIT化成功ストーリー

「毎晩10時まで記録を書いて、それでも追いつかなかった。あのころは本当に辞めようかと何度も思いました」 (介護スタッフ・勤続8年)

導入前の課題:紙記録が生んだ「見えない残業」

利用者数65名・スタッフ22名を抱えるこの訪問介護事業所では、長年にわたり利用者ごとのケア記録をすべて手書きで管理してきました。

1件の訪問につき平均15〜20分かけて紙の記録票に記入し、帰社後にそれをファイリング。サービス提供責任者はさらにそれを転記してケアプランと照合するという二重・三重の作業が慢性化していました。

月次集計では1人あたり平均3〜4時間の転記作業が発生しており、スタッフ全体では月80時間超の非生産的な事務作業が積み上がっていました。

記録の紛失や読み取り誤りによるヒヤリハット事案も年3〜5件発生しており、品質管理上のリスクも抱えていました。さらに在宅ワーク整備を検討した際、「紙ベースでは持ち帰り作業ができない」という構造的な問題が浮き彫りになりました。

補助金の活用内容

介護記録・シフト管理・情報共有を一元化できるクラウド型介護管理システムを「IT導入補助金2024(通常枠)」を活用して導入しました。

費用項目金額
システム導入費(初期設定・カスタマイズ)380,000円
年間ライセンス料(22名分 × 12,000円)264,000円
スタッフ向け操作研修費50,000円
タブレット端末10台(33,000円 × 10台)330,000円
合計費用1,024,000円
補助額(補助率1/2)512,000円
自己負担額512,000円

導入後の効果

指標導入前導入後
1件あたり記録時間15〜20分3〜5分
月間事務作業時間(全体)約80時間約18時間(77%減
記録起因のヒヤリハット年間4件0件(6ヶ月)
時間外労働(月平均)12.4時間/人4.1時間/人
スタッフ満足度調査57点/100点81点/100点

タブレット1台で訪問先から直接入力・送信できるようになったことで、帰社後の転記作業がほぼゼロに。管理者はリアルタイムで全利用者の状況を把握でき、ケアプランの見直し対応も迅速化しました。

まとめ

「最初はシステムを覚えるのが大変そうで不安でしたが、1週間で慣れました。今は帰りの電車の中でも記録確認ができて、逆に働き方が楽になりました」(サービス提供責任者)

IT導入補助金を活用することで、実質512,000円という介護業界でも手が届きやすいコストで大規模なデジタル化を実現できました。「紙からの脱却」は、スタッフの働きがいと利用者サービスの質を同時に高める第一歩です。

※本事例はモデルケースです。実際の補助金額・効果は事業者の規模・申請内容によって異なります。IT導入補助金の詳細は https://it-shien.smrj.go.jp/ をご確認ください。

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