夜間巡回が週140回から40回へ|見守りセンサー導入で介護スタッフの負担が激減した話

補助金/助成金

「また起き上がってる…」深夜の不安がなくなった日

「夜勤のたびに、何度も何度もフロアを走り回っていました。転倒のリスクが高い入居者さんが多くて、少し物音がするだけで飛び起きる。明け方には疲れ果てて、正直もう辞めたいと思ったこともありました」

これは、ある特別養護老人ホームで夜勤を担当していたスタッフの言葉です。慢性的な人手不足のなか、1人のスタッフが20名以上の入居者を担当する夜間帯。ヒヤリハットが続く現場では、「何かあってからでは遅い」という緊張感が常に漂っていました。


導入前の課題:夜間巡回が週140回、スタッフの疲弊は限界に

この施設では、定員50名の特別養護老人ホームに対して夜勤スタッフが2名体制でした。入居者の平均要介護度は3.8と高く、夜間の転倒リスクが特に懸念されていました。

主な課題は以下のとおりです。
夜間の定時巡回(2時間おき)に加え、物音・センサーマットの反応で週あたり約140回の臨時巡回が発生
入居者の睡眠を妨げないよう暗がりの中を確認するため、確認精度にもばらつきが生じていた
夜勤明けのスタッフが日勤にそのまま入るケースが月平均8回あり、ミスやヒヤリハットが増加傾向
離職率は年間22%と業界平均(約15%)を大きく上回っており、採用コストも年間約180万円に達していた

現場リーダーは「体制の限界は分かっていたが、センサー機器の導入費用をどう捻出するか見当もつかなかった」と振り返ります。


補助金の活用内容:最大3/4の補助で自己負担を大幅圧縮

転機となったのが、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)「介護テクノロジー導入支援事業」の活用です。都道府県の相談窓口(介護生産性向上総合相談センター)に問い合わせたところ、見守りセンサーの導入と通信環境整備が補助対象になることが分かりました。

費用内訳(導入規模:センサー20台+Wi-Fi整備)

項目金額
見守りセンサー本体(20台)240万円
通信環境整備(Wi-Fi機器・工事)110万円
介護記録システムとの連携設定50万円
合計(総額)400万円
補助額(3/4)300万円
自己負担額(1/4)100万円

補助を受けるための要件として、業務改善計画の作成と、導入後3年間の効果報告が求められました。計画書の作成にあたっては、都道府県のプラットフォーム事業の相談窓口を活用し、第三者による業務改善支援も合わせて実施しました(この支援も補助対象)。


導入後の効果:夜間巡回が激減、ヒヤリハットもゼロへ

Before → After(導入後3ヶ月時点)

指標導入前導入後変化
夜間の臨時巡回回数(週)約140回約40回▲71%減
夜勤1人あたりの歩行距離(夜間)約8km約3km▲62%減
ヒヤリハット件数(月)7件1件▲86%減
夜勤明け即日勤回数(月)8回2回▲75%減
年間離職率22%12%▲10ポイント改善

離職率の改善により、採用・研修にかかるコストは年間で約110万円削減。自己負担額100万円の投資は、1年以内に回収できる計算となりました。

さらに、夜間の介護記録が自動でシステムに反映されるようになったことで、申し送り時間が1日あたり平均25分短縮されました。スタッフからは「センサーがあると安心感が違う。ちゃんと眠れるようになった」という声が相次ぎました。


まとめ:テクノロジーは「ケアの質」を守る盾になる

見守りセンサーの導入は、単なる業務効率化ではありませんでした。スタッフが安心して働ける環境を取り戻すことで、余裕が生まれ、入居者との関わりの質も向上しています。

地域医療介護総合確保基金は、補助率が最大3/4と高く、自己負担を抑えながらテクノロジー導入を実現できる制度です。「費用面で踏み出せなかった」という事業者こそ、まずは都道府県の相談窓口への問い合わせから始めてみてください。一歩を踏み出した先に、現場が変わる未来があります。


※本事例はモデルケースです。実際の補助額・効果は施設規模や都道府県の実施状況により異なります。補助金の申請にあたっては、各都道府県の担当窓口にご確認ください。

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