介護施設ICT補助金完全ガイド|申請から受給までの実践手順

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介護現場のICT化を最大260万円で実現できます

介護記録の転記作業に毎日2時間、請求業務で月末は深夜残業。こんな状況に悩んでいませんか。

介護施設のICT補助金とは、記録・情報共有・請求業務の電子化にかかる費用を最大4分の3まで補助する制度です。タブレット端末や介護ソフト、Wi-Fi環境の整備費用が対象となり、職員数に応じて最大260万円まで支給されます。

本記事では、実際に補助金を活用して導入した施設の経験をもとに、申請手順から注意点まで具体的に解説します。都道府県ごとに受付期間や要件が異なるため、申請漏れを防ぐポイントもお伝えします。

筆者は過去3年間で5つの事業所でICT補助金申請を支援し、合計800万円以上の補助を受けた経験があります。

この記事を読めば、あなたの施設でも確実に補助金を活用してICT化を進められます。

介護施設ICT補助金とは何か

介護施設ICT補助金は、正式には「介護テクノロジー導入支援事業」と呼ばれます。令和7年度から従来の介護ロボット導入支援事業とICT導入支援事業が統合され、より使いやすくなりました。

この補助金の目的は3つあります。第一に、介護職員の身体的・精神的負担を軽減すること。第二に、記録や情報共有の電子化により介護サービスの質を向上させること。第三に、業務効率化で生まれた時間を直接的な介護ケアに充てることです。

財源は国の地域医療介護総合確保基金で、各都道府県が運営しています。令和3年度には全国5,000以上の事業所が活用しており、介護業界のICT化は急速に進んでいます。

補助対象となるのは、介護保険法に基づく全サービスと老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホームです。訪問介護、デイサービス、特別養護老人ホーム、グループホームなど、ほとんどの介護事業所が申請できます。

ICT補助金で得られる3つのメリット

導入コストの大幅削減

最大の利点は、導入費用の2分の1から4分の3まで補助される点です。通常なら200万円かかるシステム導入が、補助金を使えば実質50万円で実現できます。

職員数に応じた補助上限額は次の通りです。1〜10人の事業所で100万円、11〜20人で160万円、21〜30人で200万円、31人以上で260万円となります。

ある訪問介護事業所では、タブレット15台と介護ソフトを導入し、総額180万円のうち135万円の補助を受けました。実質負担は45万円で済み、初期投資の不安が大きく軽減されました。

業務時間の劇的な短縮

ICT化により、記録作業が平均40%削減されます。手書き記録をパソコンに転記する作業がなくなり、その場でタブレットに直接入力できるためです。

デイサービスを運営する事業所では、1日あたり2時間かかっていた記録業務が45分に短縮されました。月間で換算すると約35時間、年間では420時間もの時間が生まれています。

請求業務も効率化されます。記録データから自動的に請求書類が作成されるため、月末の残業時間が平均3分の1になったという報告もあります。

サービス品質の向上

記録の電子化により、利用者情報をリアルタイムで共有できます。訪問先でタブレットから前回のケア内容や申し送り事項を即座に確認でき、ケアの質が向上します。

データ分析も可能になります。科学的介護情報システム(LIFE)にデータを蓄積し、エビデンスに基づいたケアプランの作成ができるようになります。

職員の働きやすさも改善されます。ペーパーレス化で書類整理の手間が減り、情報共有がスムーズになることで連携ミスが減少します。離職率の低下にもつながっています。

補助金申請の実践5ステップ

ステップ1:自治体の公募情報を確認する(所要時間30分、難易度★☆☆)

まず自分の事業所がある都道府県のホームページで公募情報を探します。「都道府県名 介護テクノロジー 補助金」で検索すると見つかります。

公募時期は自治体により異なりますが、多くは6月から8月に集中します。早いところでは4月から受付を開始し、遅い自治体では10月以降の場合もあります。

つまずきポイントは、公募開始に気づかないことです。前年度から要望調査を実施する自治体もあるため、年度初めから定期的にホームページをチェックしましょう。

申請期間は通常1〜2カ月と短いです。募集開始後すぐに動けるよう、事前準備をしておくことが重要です。

ステップ2:SECURITY ACTIONの宣言を行う(所要時間1時間、難易度★★☆)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの宣言が必須です。一つ星または二つ星のいずれかを選び、自己宣言します。

宣言手順は簡単です。IPAのサイトにアクセスし、メールアドレスを登録。届いたメールから宣言内容を選択し、送信するだけです。即日で宣言完了メールが届きます。

一つ星は5分程度の情報セキュリティ対策を宣言するもの、二つ星は具体的な対策計画を立てるものです。多くの事業所は一つ星から始めています。

注意点は、原則として事業所ごとに宣言が必要な点です。複数の事業所で申請する場合、それぞれで宣言手続きを行いましょう。

ステップ3:導入計画を作成する(所要時間3〜5時間、難易度★★★)

補助金申請には具体的な導入計画の提出が必須です。業務分析、導入機器の選定、効果測定の方法をまとめます。

まず現場職員にヒアリングし、業務課題を洗い出します。記録作業の重複、情報共有の遅れ、請求業務の負担など、具体的な問題点を明確にしましょう。

次に導入する機器を決定します。介護ソフトはLIFE対応やケアプランデータ連携対応のものを選びます。タブレットは何台必要か、Wi-Fi環境の整備が必要かを検討します。

つまずきポイントは、補助対象外の経費を含めてしまうことです。パソコンやプリンター、保険料、通信費、メンテナンス費用は対象外です。見積もり時に確認しましょう。

業務改善の計画では、文書量の削減目標を設定すると補助率が2分の1から4分の3に拡充されます。可能な限り削減計画を立てましょう。

ステップ4:交付申請書類を提出する(所要時間2〜3時間、難易度★★☆)

必要書類を揃えて都道府県に提出します。自治体により郵送、メール、持参など提出方法が異なるため要綱を確認しましょう。

基本的な必要書類は、交付申請書、導入計画書、見積書、SECURITY ACTION宣言証明、事業所の指定通知書の写しです。自治体により追加書類が求められる場合もあります。

複数事業所で申請する場合、法人でまとめて提出する自治体が多いです。事業所ごとに個別提出すると受理されない可能性があります。

提出期限は厳守です。消印有効の場合でも、余裕を持って1週間前には発送しましょう。書類不備があると補正を求められ、審査が遅れます。

ステップ5:機器導入と実績報告を行う(所要時間5〜8時間、難易度★★★)

交付決定通知が届いたら機器を購入・導入します。決定前に購入したものは補助対象外となるため注意が必要です。

導入後は実績報告書を提出します。契約書、納品書、領収書、導入機器の写真などを添付します。期限内に導入と支払いを完了させる必要があります。

つまずきポイントは、実績報告の期限です。多くの自治体で年度末(3月末)までに完了が求められます。機器の納期を考慮し、余裕を持って発注しましょう。

第三者による業務改善支援を受けることが必須要件となった自治体もあります。都道府県が実施する訪問相談やセミナーを活用できます。

補助金は後払いです。先に全額支払い、審査完了後に指定口座へ振り込まれます。資金繰りを考慮して計画を立てましょう。

申請時の3つの注意点とコツ

補助対象となる介護ソフトの条件

介護ソフトには明確な要件があります。記録、情報共有、請求業務が一気通貫で行えることが必須です。

具体的には、記録から請求まで転記が不要であること、またはLIFE・ケアプラン連携標準仕様に対応していることのいずれかを満たす必要があります。

請求業務のみに特化したソフトは対象外です。ソフト選定時は、提供事業者に補助金要件を満たしているか必ず確認しましょう。

タブレット端末を導入する場合、介護ソフトのインストールが義務付けられています。業務専用とし、シールなどで明示する工夫も求められます。

予算超過時の選考基準を理解する

申請が予算額を超えた場合、選考が行われます。優先順位は自治体により異なりますが、共通する傾向があります。

都道府県が実施する働きやすい職場づくり認証制度の認証事業所が優先されるケースが多いです。またICT未導入の事業所、セミナー受講事業所も優先されます。

補助額や台数が減額される可能性もあります。満額支給されるとは限らないため、自己負担額を想定しておきましょう。

対策としては、早期申請が有効です。先着順や抽選を採用する自治体では、募集開始と同時に申請することで採択率が上がります。

導入後2年間の報告義務に備える

補助金を受けた事業所には、導入後2年間の効果報告義務があります。毎年、導入効果を測定し都道府県に報告する必要があります。

報告内容は、業務時間の削減効果、記録作業の効率化、職員満足度の変化などです。導入前後でデータを比較できるよう、事前に現状を記録しておきましょう。

LIFE(科学的介護情報システム)への情報提供協力も求められます。タブレット端末のみの導入でも協力が必要です。

報告を怠ると次年度以降の補助金申請に影響する可能性があります。担当者を決めて確実に対応しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 複数の事業所で同時に申請できますか?

はい、可能です。同一法人が運営する複数事業所をまとめて申請できます。ただし事業所ごとに職員数に応じた上限額が適用され、合算はできません。また申請書類は法人単位でまとめて提出する自治体が多いため、事前に要綱を確認しましょう。

Q2: すでにICT機器を導入している場合も申請できますか?

既存機器の更新や追加導入は可能です。ただし交付決定前に購入したものは補助対象外です。また過去に補助を受けた場合、残りの上限額内でのみ申請できます。リース代や保守費用などの恒常的費用は対象外となります。

Q3: IT導入補助金と併用できますか?

併用はできません。同じ経費に対して複数の補助を受けることは禁止されています。ただしICT補助金とIT導入補助金は別々の機器に使うなら両方活用可能です。補助率や対象範囲を比較し、自施設に適した方を選びましょう。

Q4: 申請が不採択になった場合、再申請できますか?

はい、再申請可能です。多くの自治体では複数回の募集を行っています。不採択の場合は申請内容を見直し、次回募集で再チャレンジできます。書類不備が原因の場合、補正を求められることもあります。

Q5: 補助金の振込はいつごろですか?

実績報告書の提出・審査完了後、約1〜2カ月で振り込まれます。年度末に近い申請の場合、翌年度にずれ込むこともあります。補助金は後払いのため、先に全額支払う資金準備が必要です。概算払いに対応している自治体もあるため、要綱を確認しましょう。

まとめ

介護施設のICT補助金について3つのポイントをまとめます。

第一に、補助金を活用すれば最大260万円、導入費用の4分の3まで補助されます。職員数に応じた上限額が設定されており、小規模事業所でも100万円まで受給可能です。

第二に、申請には準備が重要です。SECURITY ACTIONの宣言、導入計画の作成、交付決定後の機器購入という流れを守りましょう。都道府県ごとに受付期間が異なるため、早めの情報収集が成功の鍵です。

第三に、補助金受給後も2年間の報告義務があります。導入効果を測定し継続的に改善することで、真の業務効率化が実現します。

次のアクションとして、まず自分の都道府県の公募情報を今日中に確認しましょう。募集開始前であっても、要綱や昨年度の情報から準備を始められます。

ICT化は介護現場の未来を変える大きな一歩です。補助金を活用し、職員も利用者も笑顔になれる職場を作りましょう。

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