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東日本大震災から15年の節目に、障害者向け就労支援サービスを展開する株式会社LITALICOが、精神障害・発達障害のある人を対象にした防災特集をウェブサイト「LITALICO仕事ナビ」で公開した。
避難所での集団生活が困難なケースや投薬管理の問題など、外見からは分かりにくい「見えない障害」特有の災害リスクに焦点を当て、専門家2名の監修のもと実践的な備えの情報を発信している。
一般の防災情報では届かないニーズ
大規模災害への備えとして「非常用持ち出し袋」や「避難経路の確認」は広く知られるようになった。
しかし、感覚過敏や強いこだわり、精神的な不安定さを抱える人にとって、避難所の集団生活は二次的なストレス要因になり得る。また、向精神薬など欠かせない処方薬が被災後の混乱で入手できなくなるリスクも、当事者にとっては深刻な問題だ。
こうした課題は従来の防災マニュアルでは十分に扱われてこなかった。今回の特集はこのギャップを埋めることを目的としており、2026年2月19日より公開されている。
心理師と防災士が語る「最初の1週間」を乗り越える術
特集の中核となるのは、公認心理師の井上雅彦氏(鳥取大学大学院教授)と、発達障害のある子を持つ保護者でもある防災士との対談記事だ。
井上氏は阪神・淡路大震災以降、東日本大震災や西日本豪雨など多くの被災地で障害者支援に関わってきた経歴を持つ。
対談では、大規模災害時に本格的な外部支援が届くまでには最低でも1週間程度かかるという現実を踏まえ、パニック状態になっても自分で動けるよう準備しておくことの重要性が語られている。思考が働かない状況でも迷わず持ち出せるようにセットを用意しておく、という具体的な発想が特徴的だ。
対談は前後編に分かれており、前編では発災直後の3日間の生き抜き方を、後編では避難所での集団生活が困難な場合の車中泊の選択肢やトイレ問題への対処法を取り上げている。
3段階で備える防災グッズリストを無料公開
本特集では、状況や必要度に応じた3段階の防災グッズリストも公開されている。
第1段階は「逃げる」ための最小限の持ち出しセット。緊急連絡先や避難場所を書き留めた「お守りメモ」、ヘルプカード、処方薬などが含まれる。
第2段階は避難生活の最初の1週間を「しのぐ」ための生活物資。食料や携帯トイレなどが対象となる。
第3段階は避難生活が長引いた場合や、どうしても集団行動が難しい場合に備えた「個人スペース確保」のためのグッズ群だ。
チェックリストは特集ページから誰でも無料でダウンロードできる。
当事者の声と支援団体・自治体の取り組みも紹介
特集ではさらに、当事者ライターによる体験談の掲載も予定されている。双極症や感覚過敏のある人が「アイマスクと耳栓を避難用品に加えている」こと、精神障害・ADHDのある人が「10日〜2週間分の予備薬とお薬手帳のコピーを常に携行している」ことなど、それぞれの特性にもとづいた具体的な工夫が紹介される。
また、多発性硬化症やクローン病の当事者が運営する「難病カフェ アミーゴ(茨城県)」への取材や、能登半島地震でも活動した「災害派遣福祉チーム(DWAT)」を担う神奈川県へのインタビューも順次掲載される予定だ。
担当者コメント
監修を担った井上雅彦氏は、防災について「一人ではなかなか考えることが難しく、先送りしてしまいがち」と指摘しつつ、段階を分けて整理することで「見通しも持ちやすくなる」と述べ、前向きにイメージできる機会にしたいとの意向を示している。
特集ページ:https://snabi.jp/article/787(LITALICO仕事ナビ、無料)
参照元:
PR TIMES「LITALICO仕事ナビ、精神障害・発達障害のある人の命を守る防災特集を公開」
(株式会社LITALICO、2026年2月24日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000203.000025994.html

