活用コース:人材育成支援コース(有期実習型訓練)
「子どもの学校行事に合わせてパートで働いていましたが、このままずっとパートでいいのかなとは思っていました。施設から『正社員として一緒にキャリアを積みませんか』と言ってもらえたとき、すごく嬉しくて。研修を通じてリーダーになれる自信もついてきました」
──特養勤務・介護スタッフ(30代・女性・正社員転換後)
導入前の課題
定員80名の特別養護老人ホームでは、正規職員38名に対してパート・登録スタッフが21名という構成でした。業務量は慢性的にひっ迫しており、正職員1人あたりの担当件数増加や夜勤回数の偏りが続いていました。
人材確保のため新卒・中途採用を続けていましたが、入職後1年以内の離職者が年間4〜5名と後を絶たず、実質的な戦力として安定しているのはパートの中堅スタッフだという実態がありました。
パートスタッフの中には介護経験3年以上の人材が8名おり、そのうち5名は「条件が合えば正社員も考える」と答えていました。しかし「正職員になったときに十分な業務ができるか不安」という声も多く、段階的なスキル習得と正社員転換を同時に実現する仕組みが求められていました。
採用にかける求人広告費が年間約120万円に達しており、施設長は「外から採用するより、今いる優秀なパートさんを正社員に育てるほうが合理的だ」と方針転換を決意しました。
補助金の活用内容
| 項目 | 内容 |
| 助成金コース | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース・有期実習型訓練) |
| 訓練種別 | OJT+OFF-JTを組み合わせた2か月以上の訓練 |
| 対象スタッフ数 | 5名(有期契約パートスタッフ) |
| 訓練内容 | 介護過程・チームリーダー業務・ターミナルケア・記録作成等(OJT計160時間+OFF-JT計40時間) |
| 訓練経費総額(OFF-JT分) | 40万円(外部研修・教材費) |
| 経費助成額(助成率75%) | 30万円 |
| 賃金助成額(OFF-JT分) | 15.2万円(760円×5名×40時間) |
| OJT実施助成 | 25万円(5万円×5名) |
| 助成合計 | 約70.2万円 |
| 法人の実質自己負担 | 約9.8万円 |
訓練は3か月間のプログラムで設計。現場でのOJTに加え、外部の介護研修機関での集合研修(ターミナルケア・リーダーシップ研修等)を組み合わせました。
訓練修了後、要件を満たした全5名を正社員へ転換しています。有期実習型訓練は正社員転換が支給対象要件となるため、転換の明確な意思と計画を前提に申請を進めました。
導入後の効果(Before → After)
| 指標 | Before(取り組み前) | After(転換後1年) |
| 正社員人数 | 38名 | 43名(5名増) |
| 年間採用広告費 | 約120万円 | 約45万円(約63%減) |
| 入職1年以内離職者 | 年間4〜5名 | 年間1名(大幅改善) |
| 夜勤対応可能な正職員 | 32名 | 37名(約16%増) |
まとめ
5名の正社員転換によって、採用広告費の削減だけで年間約75万円のコスト削減につながりました。さらに、既に施設文化・利用者を知っているスタッフが正社員となるため、育成コストも大幅に低く抑えられます。
「外から採るより中から育てる」という人材戦略の転換と、有期実習型訓練の活用は非常に相性が良く、自己負担わずか9.8万円でこれだけの成果が得られた事実は、多くの福祉事業者に参考になるはずです。今いるパートスタッフの中に、次のリーダー候補が眠っているかもしれません。
※本事例はモデルケースです。実際の助成額・効果は事業所の規模・訓練内容・申請状況等により異なります。最新の助成率・要件は厚生労働省の公式情報をご確認ください。

