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国内企業における生成AIの活用実態を探った大規模調査で、全社レベルまで展開を完了した企業がまだ2割程度にすぎないことがわかった。一方、先行グループの企業では追加投資の動きが加速しており、活用の深度によって企業間の差が広がりつつある。
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二極化が鮮明に——「先行組」と「停滞組」の分断
Ragate株式会社(東京都中央区、代表:益子竜与志)が2025年12月、情報システム部門・DX推進室に所属し導入決裁権を持つビジネスパーソン505名を対象に実施した調査によると、生成AIを全社規模で正式に導入・推進していると答えた企業は全体の21.4%にとどまった。
残りの企業を見ると、部門単位での導入やPoC(概念実証)段階にある「推進グループ」が25.9%、まだ検討中または未導入という企業が52.7%を占めた。つまり、約半数の企業が活用に本腰を入れられていない状況だ。
試験的な導入から組織全体への展開を阻む壁は厚く、「PoCから先に進めない」という声は企業のAI担当者から多く聞かれる。この調査は、そうした課題感を数字で裏付ける結果となった。
投資を増やす先進企業——ROI実感が次の一手を生む
全社導入を果たした先進グループに着目すると、投資拡大の意欲が顕著だ。予算を「大幅に拡大予定」と答えた15.1%と「ある程度拡大予定」の20.4%を合わせると、約35%の企業が生成AIへの投資を積み増す計画を持っている。
これは初期導入の効果を実感したからこそ生まれる行動といえる。反面、予算を「現状維持」とする企業が16.9%、「未定」が41.5%と、投資判断を下せない企業も依然として多い。ROIの見える化と経営層への説明責任が、次のフェーズへの分水嶺になっていると考えられる。
活用領域の広がりが成否を分ける
生成AIをどの業務に使っているかを尋ねたところ、
最も多かったのは「情報収集・調査・分析」(37.8%)で、
次いで「システム開発・運用」(35.4%)、
「コンテンツ作成・編集」(25.1%)、
「議事録作成・要約」(24.3%)、
「社内問い合わせ対応」(23.5%)
という順だった。
全社展開に成功した先進企業の特徴として、単一の業務に閉じた活用ではなく、複数の領域を横断する形でAIを機能させている点が挙げられる。一部門での成功体験をテンプレート化し、他部門へ水平展開することで、組織全体の生産性改善につなげているとみられる。
成功企業が持つ5つの要素
今回の調査をもとにRagateが導き出した全社展開の成功要因は、大きく5点に整理される。
まず「明確なビジョンと目標設定」があること、
次にトップダウンの号令だけでなくボトムアップの現場ニーズも組み合わせる「両輪の推進体制」であること、
そして社内に専門チーム(CoE)を設けること、
段階的にスケールアップする戦略を持つこと、
さらに学習と改善を継続する組織文化を育てることだ。
この5点は、生成AIを「ツール導入」ではなく「経営変革」として捉えている企業に共通して見られる姿勢ともいえる。
競争優位の差は今後さらに拡大か
生成AI活用の成熟度における企業間格差は、今後一層広がると予測される。先行企業が学習データや活用ノウハウを蓄積し続ける中、PoC段階で足踏みしている企業との距離は時間とともに開く一方だ。
全社展開を成功させるには、技術の問題よりも戦略と組織の問題を解くことが先決——今回の調査はそのことを改めて示している。
参照元 本記事はRagate株式会社が発表した調査結果をもとに、独自に構成・執筆しました。 原文プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000119123.html

