介護業界の人手不足の現状|3つの数字と即効対策

福祉経営

介護業界の人手不足の現状とは?

現在84%の事業所が人材不足を実感し、2025年に32万人、2040年までに57万人の職員が不足すると予測されています。

介護業界では深刻な人手不足が進行中です。現場では既に支障が出始めており、今後さらに加速する見込みです。

この記事では、最新データで現状を可視化し、根本原因を構造的に解明します。個人・施設・制度の3層で実践できる解決策を、具体的な数字と事例とともに提示します。

厚生労働省の公式データに基づき、現場で即使える情報を網羅しました。

介護業界の人手不足の現状:3つの深刻な数字

介護業界の人手不足は「数字」で見ると、その深刻度が明確になります。

①事業所の84%が人材不足を実感、訪問介護は81.4%

業界調査によると、介護事業所の84%が人材不足を感じています。

特に訪問介護員では81.4%と、8割超が不足を訴えています。

現場では「募集しても応募が来ない」「1人欠けるとシフトが回らない」という状態が常態化しています。

②2025年に32万人、2040年に57万人が不足

厚生労働省の推計では、第9期介護保険事業計画をもとに2025年には32万人の介護職員が不足すると予測されています。

さらに2040年には約57万人の不足が見込まれ、需給ギャップは拡大の一途をたどります。

団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、要介護認定者は急増し、現在の約708万人からさらに増加します。

③有効求人倍率3.97倍、全職業平均の3.4倍

介護職の有効求人倍率は3.97倍(2024年3月時点)と、全職業平均1.16倍の約3.4倍に達しています。

都市部では7.65倍と、さらに深刻です。

採用競争が激化しており、「応募がゼロ」「内定辞退が続出」という施設も少なくありません。

人手不足が深刻化する3つの根本原因

介護業界の人手不足は、表面的な「採用困難」だけでなく、根深い構造問題が複合的に作用しています。

原因①:少子高齢化と需要急増のミスマッチ

日本の生産年齢人口は減少を続け、一方で要介護認定者は2000年の約2.5倍に増加しています。

2000年には約256万人だった要介護認定者が、2023年には約708万人まで拡大しました。

介護職員は現在約215万人ですが、2040年には約272万人が必要とされ、需給ギャップが加速します。

原因②:低賃金と身体的負担が採用を阻む

介護職員の平均年収は約340万円と、全国平均460万円と比べて低水準です。

賃金の低さに加え、夜勤や入浴介助などの身体的負担が大きく、29.3%の職員が身体的負担を悩みとして挙げています。

「給料が仕事量に見合わない」と感じる職員が多く、他業種への転職が後を絶ちません。

原因③:人間関係と職場環境が離職を加速

離職理由の18.8%が職場の人間関係であり、離職要因のトップクラスです。

上司との意見の不一致、同僚間の連携不足、利用者家族とのトラブルなど、精神的ストレスが蓄積しやすい環境です。

明確な評価制度がない施設では、頑張りが報われないと感じる職員が定着せず、離職の連鎖が起きています。

人手不足を解決する3層の実践対策

人手不足の解決には、個人・施設・制度の3つのレベルでの対策が必要です。

【個人レベル】働きやすい環境を自ら選び、交渉する

資格取得でキャリアアップ :介護福祉士や実務者研修を取得し、給与アップと選択肢拡大を実現

職場見学で雰囲気を確認 :面接前に職場を訪問し、人間関係や業務量を見極める

柔軟な働き方を交渉 :夜勤専従、短時間勤務、非常勤など、ライフスタイルに合わせた働き方を提案

自分に合った施設を選び、働き方を交渉することで、長く働ける環境を確保できます。

【施設レベル】処遇改善とICT導入で定着率を向上

処遇改善加算の上位取得 :介護職員等処遇改善加算の最高ランクを取得し、月給を1~3万円引き上げ

ICT・介護ロボット導入 :記録のデジタル化、見守りセンサーで業務効率を30%改善した事例あり

明確な評価制度の整備 :昇給・昇格の基準を可視化し、頑張りが報われる仕組みを構築

積極的な採用戦略 :SNS活用、職場体験会、リファラル採用で応募数を増やす

業務効率化と待遇改善の両輪で、既存職員の離職を防ぎ、新規採用を強化できます。

【制度・社会レベル】外国人材と地域支援で人材を確保

外国人材の受け入れ拡大 :外国人介護職員は2022年6月の10,411人から2024年6月には36,719人に急増。2025年4月には訪問介護での雇用が解禁

地域医療介護総合確保基金の活用 :ICT導入補助、研修費用支援など、国・自治体の補助金を活用

介護職のイメージ改善 :メディアやSNSでの発信強化、学校との連携で若年層への認知度向上

国や自治体の支援策を最大限活用し、外国人材という新たな人材プールを開拓することが急務です。

よくある質問(FAQ)

Q1:介護業界の人手不足は今後改善する見込みはある?

改善は難しく、2040年まで悪化が続く見込みです。厚生労働省は2040年に約57万人不足と予測しており、構造的な対策が不可欠です。

Q2:介護職の給料はどれくらい上がっている?

2024年に2.5%、2025年に2.0%の賃上げが実施されています。処遇改善加算の統合により、今後さらなる引き上げが期待されます。

Q3:外国人介護職員はどの国から来ている?

ベトナム、フィリピン、インドネシアが多数を占めます。2025年4月から訪問介護分野でも外国人職員の雇用が可能になります。

Q4:ICT導入で本当に業務効率化できる?

厚生労働省の調査では、記録時間が30%削減された事例があります。見守りセンサーで夜間巡回の負担も軽減されています。

Q5:未経験でも介護職に就ける?

可能です。無資格・未経験から入職し、働きながら資格取得を支援する施設が増えています。

まとめ:介護業界の人手不足は構造問題、解決には3層の対策が必須

介護業界の人手不足は、84%の事業所が実感し、2040年には57万人が不足する深刻な構造問題です。

根本原因は、少子高齢化による需給ミスマッチ、低賃金と身体的負担、人間関係と職場環境の3つです。

解決には、個人の働き方選択、施設の処遇改善とICT導入、国・自治体の外国人材受け入れと支援策の3層での取り組みが不可欠です。

まずは自分の施設で利用できる処遇改善加算やICT補助金を確認し、できることから始めましょう。

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