介護福祉士の人数不足、何人足りない?答えと対策がわかります
介護現場で働くあなたは、深刻な人手不足に悩んでいませんか。
2026年度には約240万人の介護職員が必要ですが、約25万人が不足しています。さらに2040年には約280万人が必要で、不足数は約57万人に達する見込みです。現場では8割以上の事業所が人員不足を感じており、訪問サービスでは6割以上、施設では3割以上が切実な不足感を抱えています。
この記事では、介護福祉士の人数不足の現状データから、現場で即実践できる7つの解決策、さらに成功事例まで、経営者・管理者視点で具体的に解説します。
15年間、福祉事業所の運営支援に携わってきた経験から、実際に効果があった手法のみを厳選しました。
3分で読めて、明日から実践できる内容です。最後まで読めば、あなたの事業所でも人材確保の糸口が見つかります。
介護福祉士の人数不足の現状データ
現在の不足人数と将来予測
介護福祉士とは、身体上・精神上の支援を行う介護専門職の国家資格です。
厚生労働省の調査によると、2022年度時点で介護職員は約215万人ですが、2026年度には約240万人が必要とされています。わずか4年間で25万人の増員が求められる計算です。
2040年には約280万人が必要で、現状の増加ペースでは約57万人が不足すると推計されています。これは全体の約21%に相当し、10名体制が必要な現場に8名しか配置できない深刻な状況を意味します。
介護福祉士の登録者数は2023年9月時点で約194万人に達していますが、登録者全員が介護現場で働いているわけではありません。資格保有者の2割以上、約12万人が「潜在資格者」として介護業界を離れているのが実態です。
有効求人倍率は3.71倍(全職業平均1.16倍)と高く、介護職員の離職率は13.6%で定着率の低さも課題となっています。
事業所が感じる人員不足の実態
介護労働安定センターの令和5年度調査では、事業所の65.3%が人材の不足感を抱えています。
訪問サービスでは6割以上、入所施設では3割以上が深刻な人員不足に直面しており、サービス種別によって不足感に差があります。訪問系サービスは特に採用が困難で、夜勤対応や移動時間の負担から敬遠される傾向にあります。
人員不足により、必要な人員を確保できず利用待ちが増加し、利用者家族の介護負担が増大します。また、職員1人あたりの業務負担が増え、サービスの質低下や離職の悪循環に陥るリスクが高まっています。
地域別では、東京都や神奈川県などの都市部で求人倍率が5倍を超える一方、地方でも高齢化率の高さから人材確保が課題となっており、全国的に深刻な状況です。
介護福祉士が不足する3つの根本原因
少子高齢化による需給バランスの崩壊
人数不足の最大の原因は、少子高齢化による構造的な問題です。
日本は2007年に65歳以上人口が21%を超える「超高齢社会」に突入しました。2025年には人口の30%、2060年には40%が高齢者になると予測され、介護ニーズは急増し続けます。
一方で、少子化により労働人口は減少の一途をたどっています。介護を必要とする高齢者は増え続けるのに、支える人材は減少するという構図が、深刻な人手不足を生んでいます。
特に75歳以上の後期高齢者人口は2030年まで増加し続けるため、介護ニーズはさらに高まる見込みです。需要と供給のギャップは今後も拡大し続けるでしょう。
賃金の低さと労働環境の厳しさ
介護職は重要な仕事であるにもかかわらず、賃金面で十分に報われていません。
医療・福祉産業の平均賃金は30.64万円で、全産業平均を下回っています。介護福祉士の推定平均年収は約330万円とされ、全業種平均の約440万円と比べて大きな開きがあります。最低水準では年収200万円以下で働く資格者も存在し、生活が厳しいという声も聞かれます。
体力的・精神的負担の大きい仕事内容に対して、賃金が見合わないという不満が、若い世代や新規就業者の離職の一因となっています。夜勤や変則的なシフト勤務、身体介助による腰痛リスクなど、労働環境の厳しさも定着を阻んでいます。
国は処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の改善を実施していますが、平均勤続年数は約6年のため、条件に見合う人材が少ないのが実情です。
ネガティブなイメージと社会的評価の低さ
介護職に対する「きつい・汚い・危険」という3Kイメージが、人材確保の大きな障壁となっています。
職業としての魅力が伝わりにくく、特に若い世代が介護の仕事に一歩踏み出すハードルとなっています。また、人間関係のストレスも離職理由の上位に挙げられます。利用者や家族、医療機関スタッフなど多くの人と関わるため、他業種よりも人間関係の課題を感じやすいという特徴があります。
離職理由の上位には、結婚・子育てなどのライフイベント、職場の方針や人間関係といった雇用管理の問題が挙げられています。入職時の期待と現実のギャップ、専門性の低い業務に時間を取られることへの不満なども、やりがいの喪失につながっています。
社会的評価や賃金の面で十分に報われていないという声が多く、仕事の重要性に見合った処遇が実現していないことが課題です。
人数不足を解消する7つの実践策
ステップ1:処遇改善で定着率を高める(所要期間:3〜6ヶ月)
人材不足解消の最も効果的な対策は、賃金と労働環境の改善です。
まず、現在の給与水準を地域相場と比較し、見劣りしていないか確認します。処遇改善加算を最大限活用し、基本給や手当の引き上げを検討しましょう。資格手当、夜勤手当、役職手当などを明確にすることで、キャリアパスが見えやすくなります。
次に、労働環境の改善に取り組みます。週休3日制や短時間正職員制度の導入により、ワークライフバランスを向上させた事例もあります。シフトの柔軟性を高め、有給休暇の取得を推進することも重要です。
つまずきポイントは、処遇改善のための財源確保です。加算の活用、業務効率化による人件費の捻出、サービス単価の見直しなど、複数の手段を組み合わせる必要があります。短期的にはコストがかかりますが、離職率が下がれば採用コストも削減でき、長期的には効果的です。
ステップ2:資格取得支援制度を導入する(所要期間:2〜3ヶ月)
資格取得支援制度は、無資格者や初任者を介護福祉士に育成し、定着率を高める施策です。
金銭的サポートとして、実務者研修や介護福祉士試験の受講料・受験料を事業所が全額または一部負担します。テキスト代や交通費まで補助する事業所もあります。環境的サポートとして、講座日程に合わせてシフトを調整し、受験勉強のための休暇を認めるなど、資格取得しやすい環境を整備します。
具体的には、まず支援対象者の要件(勤続年数、雇用形態など)と支援内容(補助額、返済免除条件など)を明確に定めます。次に、社会福祉協議会の貸付制度やハローワークの給付金など、公的支援との併用方法を職員に案内します。最後に、資格取得後のキャリアアップや給与改善を明示し、モチベーションを維持します。
難易度は中程度で、制度設計には2〜3ヶ月かかりますが、一度構築すれば継続的に活用できます。つまずきポイントは、支援を受けた職員が早期に退職するリスクです。一定期間勤続すれば返済免除とする条件を設けるなど、対策を講じましょう。
ステップ3:外国人材の受け入れ体制を整える(所要期間:6〜12ヶ月)
外国人介護人材の活用は、人材不足解消の有力な選択肢です。
受け入れルートには、EPA(経済連携協定)、特定技能、技能実習、在留資格「介護」の4つがあります。EPAはインドネシア・フィリピン・ベトナムから介護福祉士候補者を受け入れ、国家資格取得を目指す制度です。特定技能は即戦力として期待でき、2025年4月からは訪問サービスにも従事可能になりました。
まず、事業所の状況に合ったルートを選択します。次に、受け入れ機関や監理団体と連携し、ビザ取得などの手続きを進めます。そして、住居の確保、日本語研修、介護技術の指導など、受け入れ後のサポート体制を整えます。周囲の職員への理解を促し、文化の違いを尊重する風土づくりも重要です。
難易度は高く、準備期間は6〜12ヶ月かかります。つまずきポイントは、言語や文化の違いによるコミュニケーション課題です。日本語学習の継続的支援、介護福祉士資格取得のための補助金活用などが効果的です。地方では住居確保や生活サポートが課題となりますが、給与と社宅を重視する外国人材にとっては採用しやすい場合もあります。
ステップ4:潜在資格者の復職を支援する(所要期間:3〜6ヶ月)
約12万人の潜在介護福祉士を呼び戻すことは、即戦力確保の近道です。
潜在資格者とは、介護福祉士の資格を持ちながら福祉・介護・医療分野で働いていない人を指します。心身の不調、賃金への不満、結婚・子育てなどの理由で離職した方が多く、復職に慎重になっている傾向があります。
彼らが復職しやすい環境を整えるため、まず多様な働き方を用意します。週2〜3日勤務や1日4〜6時間の短時間正職員制度など、個々の事情に合わせた柔軟性が鍵です。次に、ブランクがある方向けの復職支援研修を実施します。最新の介護技術、法制度の変更点、ICT機器の使い方などを学び直す機会を提供しましょう。
さらに、再就職準備金貸付事業などの公的支援制度を積極的に案内します。最後に、職場見学や体験実習の機会を設け、不安を軽減します。難易度は中程度で、復職後のフォロー体制が定着の鍵となります。
ステップ5:ICT・介護ロボット導入で業務効率化(所要期間:6〜12ヶ月)
業務効率化により、少ない人員でも質の高いケアを提供できる体制を構築します。
まず、見守りセンサーやデジタルインカムを導入し、夜間の訪室業務を削減します。次に、介護記録のICT化により、手書き作業を減らし、情報共有を効率化します。移乗支援ロボットやパワーアシストスーツを活用し、身体的負担を軽減する「ノーリフティングケア」を推進します。
さらに、介護アシスタントや補助職員を配置し、専門性の低い業務を切り分けます。介護福祉士は利用者と向き合う専門的ケアに集中でき、やりがいが向上します。LIFEへのデータ入力とフィードバック活用により、加算取得とケアの質向上を両立させます。
難易度は高く、初期投資が必要ですが、国や自治体の補助金を活用できます。つまずきポイントは、機器導入後の職員教育と定着です。操作研修を丁寧に行い、効果を実感できるまで伴走支援することが重要です。成功事例では、残業時間の大幅削減、職員のワークライフバランス改善、ケアの質向上が報告されています。
ステップ6:採用広報を強化する(所要期間:3〜6ヶ月)
介護の魅力を効果的に発信し、応募者を増やす取り組みが必要です。
まず、事業所の特徴や強みを明確にします。働きやすい環境、キャリア支援制度、職員の声など、求職者が知りたい情報を整理します。次に、ウェブサイトやSNSで積極的に情報発信します。職員インタビュー、1日の仕事の流れ、研修制度などをビジュアルで紹介すると効果的です。
求人サイトを活用する際は、ターゲット人材が多く利用するサービスを選定し、採用コストを抑えます。求人票では、具体的な数字(給与、休日数、離職率など)とベネフィットを明示します。「資格取得支援あり」「週休3日制可」など、差別化ポイントを前面に出しましょう。
職場見学会や説明会を定期的に開催し、実際の雰囲気を体感してもらいます。つまずきポイントは、継続的な発信と効果測定です。応募経路の分析、面接通過率の追跡など、データに基づいた改善が重要です。
ステップ7:職場環境改善で離職を防ぐ(所要期間:継続的)
採用だけでなく、定着率向上が人材不足解消の鍵です。
まず、定期的な面談で職員の悩みや要望を把握します。早期に不満や課題をキャッチし、対処することで離職を防ぎます。次に、チームワークを重視した風土づくりに取り組みます。人間関係の悩みが離職理由の上位であるため、コミュニケーションの場を意図的に作ります。
メンタルヘルス対策として、相談窓口の設置やストレスチェックの実施も効果的です。キャリアパス構築への支援により、成長実感とやりがいを高めます。介護リーダー、主任、管理者といった昇進ルートを明確にし、必要なスキルと給与水準を提示します。
腰痛予防のための福祉用具導入、職場内研修の充実、ワークショップの開催なども有効です。難易度は中程度ですが、継続的な取り組みが必要です。成功事例では、週休3日制導入により残業が減少し、職員のワークライフバランスが大幅に改善しています。
コツと注意点:施策実行時の3つの重要ポイント
複数の施策を組み合わせて相乗効果を狙う
人材不足の原因は複合的であるため、単一の対策では効果が限定的です。
処遇改善だけでは財源が厳しく、ICT導入だけでは職員の意識が変わりません。例えば、「処遇改善+資格取得支援+ICT化」を同時に進めることで、給与が上がり、スキルアップでき、業務が楽になるという好循環が生まれます。
よくある失敗は、一つの施策に過度に依存することです。外国人材だけに頼ると、受け入れ体制が整わず定着しません。複数の施策をバランスよく実施し、事業所全体の体質改善を目指しましょう。優先順位をつけ、できることから着手し、段階的に拡大していくアプローチが現実的です。
職員の声を聞き、ボトムアップで改善する
経営者や管理者の独断で施策を進めると、現場の実態と乖離します。
定期的に職員アンケートや意見交換会を実施し、現場の課題や要望を吸い上げます。例えば、「夜勤が辛い」という声があれば、夜勤専従職員の採用や見守りセンサー導入を検討します。「記録に時間がかかる」という声があれば、ICT化を優先します。
よくある失敗は、施策導入後のフォローアップ不足です。ICT機器を導入しても使われなければ意味がありません。導入後も職員の声を聞き、操作研修や改善を継続することが重要です。職員が「自分たちの意見が反映された」と実感できれば、モチベーションが上がり、定着率も向上します。
補助金・助成金を最大限活用してコストを抑える
人材確保施策には費用がかかりますが、公的支援を活用すればコスト負担を軽減できます。
介護職員処遇改善加算、介護ロボット導入支援事業、ICT導入支援事業、外国人材受入支援事業など、国や自治体の補助金・助成金が多数あります。各都道府県で独自の制度もあるため、情報収集が重要です。
まず、自事業所が活用できる制度をリストアップします。次に、申請要件や締切を確認し、必要書類を準備します。社会保険労務士や行政書士に相談するのも有効です。よくある失敗は、制度を知らずに自己資金だけで実施し、財源が続かなくなることです。
補助金は申請から受給まで時間がかかる場合もあるため、早めの準備が必要です。また、補助金は一時的な支援であり、持続可能な運営体制を構築することが最終目標です。
よくある質問(FAQ)
Q1:介護福祉士の人数不足はいつまで続きますか?
A:少子高齢化が続く限り、2040年以降も人材不足は継続すると予測されます。ただし、外国人材の活用、ICT・ロボット技術の進歩、処遇改善の推進により、徐々に緩和される可能性があります。事業所ごとの努力次第で、人材確保は可能です。
Q2:小規模事業所でも外国人材を受け入れられますか?
A:可能です。監理団体や受け入れ機関のサポートを活用すれば、小規模事業所でも受け入れできます。複数の事業所が共同で受け入れる方法もあります。ただし、住居確保や日本語教育などの体制整備が必要で、準備期間は6〜12ヶ月見込みましょう。
Q3:処遇改善にどれくらい費用がかかりますか?
A:事業所の規模や改善内容により異なりますが、1人あたり月1〜3万円の給与アップなら、10人の職員で年間120〜360万円の財源が必要です。処遇改善加算を活用すれば、国から一定額の補助が受けられます。長期的には離職率低下により採用コストが削減され、投資回収できます。
Q4:潜在資格者はどうやって探せばいいですか?
A:ハローワークや福祉人材センターへの求人登録、地域の広報誌やSNSでの発信が有効です。「ブランクOK」「短時間勤務可」「復職支援研修あり」など、潜在資格者が安心できる条件を明示しましょう。また、再就職準備金貸付事業の案内を掲載すると効果的です。
Q5:ICT導入で本当に業務は楽になりますか?
A:導入初期は操作に慣れるまで時間がかかりますが、定着後は記録時間の短縮、情報共有の効率化などの効果が現れます。成功事例では、夜間の訪室業務が削減され、残業時間が大幅に減少しています。重要なのは、職員への丁寧な研修と継続的なサポートです。
まとめ:今日から始める人材確保への第一歩
介護福祉士の人数不足は、2026年で約25万人、2040年には約57万人に達する深刻な課題ですが、適切な対策により解消可能です。
重要なポイントは以下の3つです。処遇改善と労働環境整備により定着率を高める、資格取得支援や外国人材活用で採用チャネルを広げる、ICT・ロボット導入で業務効率化し少人数でも質の高いケアを実現する。これらを複数組み合わせることで、相乗効果が生まれます。
まずは現場職員の声を聞き、最も課題となっている部分から着手しましょう。補助金・助成金を最大限活用し、コスト負担を抑えながら改善を進めます。
人材確保は一朝一夕では実現しませんが、継続的な取り組みが必ず成果につながります。今日から一歩ずつ、あなたの事業所で実践してみてください。利用者にも職員にも選ばれる、持続可能な事業所を目指しましょう。

