記事④ 夜間巡視を半減、スタッフの睡眠を守る――グループホームのIoT見守りシステム導入事例

補助金/助成金

「夜勤は1人で9名を見ながら、2時間おきに巡回して、日誌も書いて……。翌朝、足がふらふらのまま日勤スタッフに引き継ぐんです。それが毎週続いて」 (夜勤専従スタッフ・勤続3年)

導入前の課題:1人夜勤体制の限界と転倒リスク

定員18名の認知症対応型グループホームでは、夜間はスタッフ1名で全入居者を対応するという体制が続いていました。

2時間ごとの巡視に加えて、認知症の方の夜間離床・徘徊対応が月平均12件発生しており、スタッフの体力的・精神的負担は深刻な水準に達していました。

最大の課題は転倒リスクです。夜間の転倒・転落事故は年間4件発生しており、うち1件は骨折を伴う重大事案でした。発見が遅れた場合の医療費・家族対応・事故報告書作成にかかるコストは1件あたり推計30〜50万円

事故後のスタッフの精神的ダメージも離職につながるリスクとなっていました。

「何かあってからでは遅い」という危機感と「スタッフを守る」という観点から、見守りシステムの導入を決断しました。

補助金の活用内容

ベッドセンサー・室内カメラ(プライバシー配慮型・動体検知のみ)・スタッフ用スマートフォンアプリを組み合わせたIoT見守りシステムを「IT導入補助金2024(デジタル化基盤導入枠)」で導入しました。

費用項目金額
ベッドセンサー18台(30,000円 × 18台)540,000円
室内見守りカメラ9台(30,000円 × 9台)270,000円
システム設置・ネットワーク工事費200,000円
クラウド管理費(15,000円 × 12ヶ月)180,000円
スタッフ研修費40,000円
合計費用1,230,000円
補助額(補助率2/3)820,000円
自己負担額410,000円

導入後の効果

指標導入前導入後
夜間巡視回数(1人あたり)1夜約8回1夜約4回(50%減
夜間転倒・転落事故件数年間4件年間1件(導入後1年)
夜勤専従の年換算離職率23%8%
夜間異常検知の対応時間平均発見まで30分平均発見まで3分
夜勤スタッフの睡眠確保時間平均2.1時間平均3.8時間

センサーが異常を検知したときのみアラートが届く仕組みにより、「何もなければ起きなくていい」という安心感がスタッフに生まれました。離床動作の早期検知により、転倒前に駆けつけられるケースが増え、重大事故の防止につながっています。

家族への説明においても「見守りセンサーで24時間状態を把握しています」という言葉が信頼感を高め、入居率の向上にも寄与しました。

まとめ

「以前は夜勤明けがつらすぎて、週1回しか入れなかった。今は週2回入れるようになって、収入も上がりました」(夜勤専従スタッフ)

IoT見守りシステムへの投資は、事故防止・スタッフ定着・家族信頼という3つの価値を同時に生み出します。補助率2/3のデジタル化基盤導入枠を活用すれば、自己負担41万円という現実的なコストで夜間の安全を大幅に高めることができます。


※本事例はモデルケースです。実際の補助金額・効果は事業者の規模・申請内容によって異なります。IT導入補助金の詳細はhttps://it-shien.smrj.go.jp/をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました