熟練者の経験や勘に依存してきた製造現場の構造的な課題に、特化型AIが変革をもたらしつつある。キャディ株式会社の最新調査では、製造業専用AIの活用者のうち4人に3人以上が業務改善を実感したことが明らかになった。
汎用型と特化型、明暗を分けたAI活用の実態
製造業向けAIデータプラットフォームを提供するキャディ株式会社(東京都台東区、代表取締役:加藤勇志郎)は2026年1月6日、製造業で働く300名を対象とした「製造業AI種類別利用実態調査」の結果を発表した。調査は2025年11月28日から12月10日にかけて実施された。
今回の調査が注目したのは、AI活用の「種類」による違いだ。ChatGPTやGeminiなどあらゆる業種で使える「汎用型AI」と、図面理解・工程最適化・品質検査支援など製造業特有の業務に対応した「特化型AI」に分類し、それぞれの効果を比べた。
結果は両者の間に大きな差を示した。製造現場の長年の悩みである「経験や勘への依存」という課題について、特化型AI利用者の76.7%が解消を実感したと回答。一方、汎用型AI利用者では「特に変化は感じない」という回答が最多(35.3%)となり、対照的な結果となった。
AIが人の「専門性」を取り戻す
調査で特に際立ったのは、特化型AIが技術者の本来の役割を取り戻す効果だ。特化型AI利用者の54.7%が「専門領域に集中しやすくなった」と回答し、22.7%が「専門性を発揮しやすくなった」と答えた。合計で約8割が何らかの形で専門性の向上・注力を実感している計算になる。
また、業務における位置づけにも明確な違いが見られた。特化型AI利用者の9割近くがAI活用を前提に業務の時間を見積もっている一方、汎用型AI利用者の7割は業務計画にAIを組み込んでいない。
この差は、AIが「便利なオプション」から「業務の前提」へ移行できているかを示す指標として読み取れる。
さらに、業務への貢献度に関しても特化型AIは際立った。利用者のうち44.0%が「業務判断の質が高まった」と評価し、「AIがなければ業務が成り立たない」と感じている層も24.7%に達した。
個人の知見が「組織の資産」へ
キャディ株式会社のAIエヴァンジェリストである川村良太氏は、この結果について「製造業における生成AI活用が、可能性を探索する段階から、具体的な成果と定着を問う実装フェーズへとシフトしていることを示している」と分析する。
熟練技術者が退職や異動によって現場を去るとき、その人の頭の中に蓄積された知見は従来、失われることが多かった。特化型AIへの移行は、そうした個人に依存してきたブラックボックスを組織全体の財産へと変換し始めている可能性を示唆している。
製造業のデジタル変革は「何を使うか」よりも「どのAIを選ぶか」という段階に入りつつある。汎用型か特化型か——現場のニーズに合わせた選択が、これからの競争力を左右する鍵となりそうだ。
調査概要
・調査名:あなたのお仕事についてのアンケート
・調査期間:2025年11月28日(金)〜 12月10日(水)
・調査対象:製造業で働く300名(汎用型AI・特化型AI利用者)
・実施主体:キャディ株式会社
参照元 キャディ株式会社 プレスリリース(PR TIMES、2026年1月6日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000179.000039886.html

