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CYBERDYNEがAI・ロボット研究の世界的リーダーであるカーネギーメロン大学(CMU)と戦略的な了解覚書(MoU)を締結。ピッツバーグの医療・ヘルスケアエコシステムと連携し、バイオ・医療とAI・ロボット技術の融合領域「サイバニクス」による米国での事業展開を加速させる。
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米国研究機関との戦略的連携の意義
CYBERDYNE株式会社が今月締結した戦略的了解覚書は、日本発のロボット・AI技術を世界市場で展開する上での重要なマイルストーンとなっている。提携相手のカーネギーメロン大学は、ペンシルベニア州ピッツバーグに本部を置き、AI・ロボット分野およびコンピュータサイエンス領域で国際的な高い評価を獲得している研究機関だ。
提携の背景には、CMUが他の地域と異なるアドバンテージを持つ点がある。同大学はピッツバーグ大学やピッツバーグ大学メディカルセンター(UPMC)に隣接する立地を活かし、Pittsburgh Regional Allianceなどの地域連携組織や、40を超える医療施設によるネットワークである Jewish Healthcare Foundationとの協働を実現している。この独特なエコシステムが、産学医の有機的な連携を可能にしている。
「サイバニクス」と「Physical AI」の融合戦略
今回の了解覚書では、バイオ・医療系とAI・ロボット・情報系を融合した「サイバニクス」領域での研究・教育の連携が中心となっている。特にCMU School of Computer Science(SCS)を主要なパートナーとしながら、「Physical AI」(AIロボットなど物理空間における人工知能)を核とした医療・ヘルスケア産業エコシステムの構築が目指されている。
「Physical AI」という概念は、従来のAIが情報処理に特化していたのに対し、実世界の物理空間で人工知能が能動的に作用する領域を指す。医療やリハビリテーション現場での活用が特に期待されており、CYBERDYNEが開発する機器の実装に向けた基礎研究がCMUで推進されることになる。
ピッツバーグ地域での実装体制の構築
提携に基づき、CYBERDYNEはピッツバーグ地域のイノベーション・医療ヘルスケアエコシステムの戦略的パートナーとしての立場を確立する。ピッツバーグ大学やUPMCをはじめとする地域医療機関との連携を強化し、サイバニクス分野における研究開発と事業推進を進める体制が整備される。
2025年12月16~17日に実施されたピッツバーグでの会合では、CMUのコンピュータサイエンス学部および工学系学部の両学部長が、大学の研究戦略ビジョンを紹介。その後、Pittsburgh Life Sciences Alliance(PLSA)など、ピッツバーグ地域のイノベーション推進を担う組織の関係者も参加したラウンドテーブルで、革新的なソリューション創出と社会実装が議論された。
CYBERDYNEの技術提示と国際展開
会合では、CYBERDYNEが2025年大阪・関西万博で展示してきた最新技術が紹介された。薄型HALシリーズ(医療用ロボットスーツ)、AI自律制御・遠隔制御を複合するマスター・リモートロボット、バイタルセンサCyvis、光音響イメージング技術、清掃搬送ロボットといった複数の製品・技術が、米国の医療・ヘルスケア環境での応用可能性について説明されている。
また、CYBERDYNEはマレーシア政府による国立神経ロボット・サイバニクス・リハビリテーションセンターの構想についても情報共有し、アジア太平洋地域での事業展開についても議論が進められた。
日本の国家戦略技術との位置付け
このタイミングでの米国との提携は、日本政府の政策方向性とも相互補完的な側面を持つ。日本政府は、経済成長と安全保障を支えるための国家戦略技術として、AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、核融合、宇宙の6分野を指定する方針を示している。
CYBERDYNEは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、「人・AIロボット・情報系の融合」による「サイバニクスHCPS融合人協調ロボティクス」を推進しており、日本政府が掲げる「AI・先端ロボティクス」と「バイオ・ヘルスケア」の2つの国家戦略技術領域に直結する取り組みを実施している。
国際的な多軸展開の加速
プレスリリースで言及されているように、CYBERDYNEの国際連携は米国CMUとの提携に限定されていない。2025年前半には国立台湾大学および輔仁大学とのMoUが締結され、台湾電子電気工業会(TEEMA)主催の会議を通じた連携強化も推進されている。
さらに、タイ保健省との協働、マレーシアでの国立リハビリセンター構想、トルコでのサイバニクス国際イベント開催(2026年1月30日予定)など、複数の国・地域での事業展開が並行して進行している。日本の基礎研究成果を世界各地で実装・事業化する多層的な国際ネットワークが形成される過程にある。
医療福祉領域での期待と展開
これらの国際連携によって期待されるのは、加齢に伴う身体機能の低下や神経疾患の治療・リハビリテーション、さらには労働人口減少に伴う福祉・医療現場での人手不足への対応である。Physical AIロボット技術が医療現場に実装されることで、リハビリテーション効果の向上と医療従事者の負担軽減が同時に実現される可能性がある。
参照元
このニュースはPR TIMESのプレスリリースを参照して作成しました。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000053044.html

