「AIと話す」ことは心の支えになるか——14,000人規模の調査が示す新たな可能性

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千葉大学の研究チームが、日本全国の成人約1万5千人を対象に実施した大規模調査で、対話型AIコンパニオンの利用者は非利用者と比べて人生満足度や幸福感が有意に高い傾向があることが示された。特に孤独を感じやすい人や、友人関係が中程度の人でその傾向が顕著だった。


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生産性ツールとしてだけではないAIの顔

検索や文章生成など、業務効率化の文脈で語られることの多い生成AIだが、近年は感情的なつながりや会話そのものを目的とした「AIコンパニオン」アプリの存在感も増している。

ReplikaやCharacter.AI、Cotomoなどがその代表例だ。こうしたアプリが実際に人の心理的な健康に影響を与えているのかどうか——千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授らの研究チームが、その問いに全国規模のデータで向き合った。

研究の概要

調査対象となったのは、2025年1月に行われた全国インターネット調査に参加した18歳から79歳の成人14,721人。このうちAIを一切使っていない人が11,502人、検索や要約を目的とした実用型AI(非AIコンパニオン)の利用者が2,928人、そして会話や情緒的なサポートを主目的とするAIコンパニオンの利用者が291人だった。

研究チームは、人生満足度・幸福感・人生の目的・人生の意義という4つの主観的ウェルビーイング指標(いずれも0〜10点尺度)との関連を統計的に解析した。

明らかになったこと

解析の結果、AIコンパニオンを利用しているグループは非利用者と比較して、
人生満足度が0.28点、幸福感が0.28点、人生の目的が0.46点、
それぞれ統計的に有意に高いことが確認された。

一方で、実用目的の生成AIユーザーには、同様の傾向は見られなかった。

特に注目されるのは、誰がその恩恵を受けやすいかという点だ。孤独感が高いと自覚している人ほど、AIコンパニオンの利用とウェルビーイング向上との関連が強くなる傾向が確認された。また友人関係については、つながりが「中程度」の人で最も関連が強く、非常に少ない人・非常に多い人ではその関連が弱まるという逆U字型のパターンが示された。

これは、友人関係がある程度はあるものの十分に満たされていない層において、AIが補助的な心理的支えとして機能している可能性を示唆する。なお、家族とのつながりの強弱は、AIコンパニオンの効果に大きな差をもたらさなかった。

研究の限界と今後の展望

研究チームは成果と同時に、この研究が横断調査であり因果関係を証明するものではないことを明示している。また、AIコンパニオン利用者が全体の2%に満たない291人に限られており、サブグループ分析における不確実性も残る。

今後は、長期的な利用が人間関係や心身の健康に与える影響を追跡する縦断的研究が求められる。デジタル技術を活用したメンタルヘルス支援や孤独対策の選択肢として、適切なAI活用の設計指針を検討していくことが課題となる。

本研究成果は2026年1月7日、国際学術誌「Technology in Society」に掲載された
(DOI: 10.1016/j.techsoc.2026.103229)。


参照元: PR TIMES(国立大学法人千葉大学) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001107.000015177.html 

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