介護職の人手不足、どう対策する?
介護職の人手不足対策は、①離職率改善 ②業務効率化 ③採用強化の3軸・7つの実践策が効果的です。
厚生労働省のデータによれば、2026年には約28万人、2040年には約57万人の介護職員が不足すると予測されています。有効求人倍率は4.08倍と全職種平均の3.5倍に達し、求職者1人を複数の施設が奪い合う状況です。
しかし諦める必要はありません。本記事では、今日から始められる低コスト施策から、補助金を活用した中長期施策まで、難易度別に7つの実践対策を紹介します。
介護職人手不足の現状と3つの根本原因
深刻化する人材不足の実態
2025年問題により、団塊の世代が全員75歳以上となり、介護需要は爆発的に増加します。一方で少子化により介護を担う若年層は減少し、需要と供給のギャップは拡大の一途です。
人手不足を生む3つの根本原因
①構造的な需給ギャップ
少子高齢化により「介護を必要とする人は増え、担い手は減る」という構造的問題が背景にあります。
②高い離職率(14.4%)
せっかく採用しても離職者が出て人数が増えない「穴の開いたバケツ」問題が深刻です。離職理由の第1位は「職場の人間関係」(23.2%)で、給与の低さ(15.0%)を上回っています。
③採用競争の激化
有効求人倍率4.08倍は、求職者1人に対し約4つの施設が求人を出している計算です。都市部では5倍を超える地域もあり、採用自体が困難な状況です。
(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画」「職業安定業務統計」、調査機関「令和5年度介護労働実態調査」)
今日から始める!7つの実践的対策
人手不足対策は「定着→効率化→採用」の順で取り組むのが効果的です。以下、難易度・コスト・効果実感時期を明示して7つの施策を紹介します。
【軸1:離職率改善】既存職員の定着が最優先
対策1:人間関係の可視化と相談窓口設置【即効・低コスト】
離職理由1位の「人間関係問題」に対処する最優先施策です。定期的なストレスチェック、上司との1on1面談(月1回)、匿名で相談できる窓口設置が有効です。産業医やカウンセラーと連携し、職員が孤立せず悩みを打ち明けられる環境を整えましょう。
実施難易度: ★☆☆ | コスト: 低 | 効果実感: 3ヶ月〜
対策2:処遇改善加算の完全取得【中期・補助金活用】
政府は2024〜2025年度で月額6,000円相当のベースアップを計画しています。介護職員等処遇改善加算を確実に取得し、職員の給与水準を向上させましょう。加算取得には要件があるため、社労士や専門家への相談も検討してください。
実施難易度: ★★☆ | コスト: 低(加算で賄える) | 効果実感: 6ヶ月〜
対策3:評価制度・キャリアパスの明確化【中期・低コスト】
「頑張っても評価されない」という不満は離職につながります。昇給・昇格の基準を可視化し、資格取得支援制度を設けましょう。例えば、初任者研修→実務者研修→介護福祉士と段階的に成長できる道筋を示すことで、職員のモチベーションが向上します。
実施難易度: ★★☆ | コスト: 低〜中 | 効果実感: 6ヶ月〜1年
【軸2:業務効率化】限られた人材で質を保つ
対策4:ICT・介護ソフト導入【中期・補助金活用】
手書き記録をタブレット入力に変えるだけで、記録時間が半減し職員の負担が激減します。日々の記録が自動で申し送りや計画書に反映されるソフトを導入すれば、月末の請求業務残業も大幅削減可能です。IT導入補助金(最大450万円)を活用しましょう。
実施難易度: ★★☆ | コスト: 中(補助金活用で軽減) | 効果実感: 3〜6ヶ月
対策5:介護ロボット・見守りセンサー活用【長期・補助金活用】
夜間の見守りセンサーは心拍・呼吸・離床を検知し、異常時のみ対応すればよいため巡視業務を削減できます。移乗支援ロボットは職員の腰痛予防につながり、長く安心して働ける環境を実現します。厚生労働省の「補助制度」を活用可能です。
実施難易度: ★★★ | コスト: 高(補助金活用で軽減) | 効果実感: 6ヶ月〜1年
【軸3:採用強化】新たな担い手を確保
対策6:外国人材活用(特定技能)【中期・要準備】
2025年4月から訪問介護でも特定技能外国人の雇用が解禁されました。特定技能は介護技能試験合格者で即戦力となり、最長5年就労可能(介護福祉士取得で永続就労も可)です。受入れには日本語教育や相談体制の整備が必要ですが、意欲の高い若い人材を確保できるメリットは大きいです。
実施難易度: ★★★ | コスト: 中〜高 | 効果実感: 6ヶ月〜1年
対策7:潜在介護福祉士の復職支援【即効・低コスト】
全国に約12万人いる潜在介護福祉士(資格保有だが現場を離れた人)の掘り起こしが有効です。週2〜3日勤務や短時間正職員制度など柔軟な働き方を提示し、ブランクのある方向けに復職支援研修を実施しましょう。経験豊富な人材が戻れば、施設の大きな力になります。
実施難易度: ★☆☆ | コスト: 低 | 効果実感: 3〜6ヶ月
対策実行の4つのコツと注意点
①優先順位は「定着→効率化→採用」
新規採用より既存職員の離職防止が先です。穴の開いたバケツを塞がなければ、いくら水を注いでも溜まりません。
②補助金・助成金を最大限活用
IT導入補助金、介護ロボット導入支援、処遇改善加算など、国・自治体の支援制度を積極的に利用しましょう。
③小さく始めてPDCAを回す
全施策を一度に始める必要はありません。1つずつ試して効果を測定し、改善しながら拡大していきましょう。
④職員への丁寧な説明
制度変更や新システム導入時は、職員の不安を取り除くため目的やメリットを丁寧に説明し、理解を得ることが成功の鍵です。
よくある質問(FAQ)
Q1:予算がない小規模施設でもできる対策は?
A:相談窓口設置、1on1面談、評価基準の可視化は低コストで即効性があります。まずはここから始めましょう。
Q2:外国人材活用で最もおすすめの在留資格は?
A:特定技能です。介護技能試験合格者で即戦力となり、2025年4月から訪問介護でも雇用可能になりました。
Q3:離職率改善の最優先課題は?
A:人間関係問題です。離職理由の23.2%を占める第1位の要因なので、相談体制整備が最優先です。
Q4:ICT導入の費用負担は?
A:IT導入補助金で最大450万円の補助を受けられます。自己負担を抑えて導入可能です。
Q5:処遇改善加算でいくら賃金が上がる?
A:2024〜2025年度で月額6,000円相当のベースアップが計画されています。加算の完全取得を目指しましょう。
まとめ:今日から第一歩を踏み出そう
介護職の人手不足対策は、離職率改善・業務効率化・採用強化の3軸7つの実践策が有効です。予算や状況に応じて優先順位をつけ、できることから始めましょう。相談窓口の設置や1on1面談なら今日からでも実行可能です。小さな一歩が、職員が長く働ける職場、質の高いケアを提供できる未来につながります。

