2025年10月に義務化される柔軟な働き方の措置について、多くの大手企業がすでに対応を進める一方で、制度利用をめぐる従業員間の不公平感が新たな課題として浮上している。株式会社Works Human Intelligenceが実施した調査で、企業の対応状況と抱える悩みが明らかになった。
制度は整備済みでも実態には温度差
2025年4月と10月に段階的に施行される改正育児・介護休業法では、3歳から小学校就学前の子を持つ労働者に対し、企業が5つの措置から2つ以上を選んで提供することが義務づけられる。
Works Human Intelligence調べによると、統合人事システムのユーザー72法人を対象にした調査で、77.8%がすでに2つ以上の措置を実施済みと回答した。
措置の内訳では、始業時刻の変更や短時間勤務制度がすでに広く導入されている。一方、法改正を契機に新たに導入を検討する措置としては、養育両立支援休暇が最多となった。この休暇は業務への影響や金銭的負担が比較的少ないという理由から選ばれる傾向にある。
最大の課題は「従業員間の公平性」
制度導入が進む中、34.7%の企業が最大の課題として挙げたのが従業員間の公平性だった。具体的には2つの観点からの不公平感が指摘されている。
ひとつは職種や勤務地による差だ。テレワークや柔軟な勤務時間の導入が難しい製造現場や店舗勤務者と、事務職との間で利用できる制度に格差が生じている。運輸業の企業からは、人員不足が深刻な中で運転士などの現場職に対して多様な制度を設けることの困難さが訴えられた。
もうひとつは、子どもの有無による差だ。育児中の従業員が制度を利用することで、周囲の従業員の業務負担が増加し、結果として育児を行わない従業員から反発の声が上がることへの懸念が示されている。
調査では83.3%の企業が法人全体で同じ措置を実施すると回答したが、これにより職種によっては実質的に制度を利用できないケースも生じている。
不公平感の解消に向けた模索
こうした課題に対し、37.5%の企業が育児中以外の従業員も利用できる制度や施策の検討を進めていることが分かった。厚生労働省の調査では、育児休業取得者が出た際の業務代替方法として、79.9%が他の社員による対応で補っており、周囲の負担増が現実の問題となっている。
一部の企業では、対象者以外へのフォロー策を合わせて提案したり、組織全体での効率的な業務推進と相互理解の醸成に取り組んだりする動きも見られる。
また、育児中の従業員の満足度向上に最も重要な要素として、87.5%の企業が「制度を利用できる職場環境」を挙げた。制度の整備だけでなく、利用しやすい環境づくりが鍵となることが改めて示された。
専門家の見解
同社の社会保険労務士は、今回の法改正への対応には、対象社員以外への制度周知と、育児を行わない従業員も含めた福利厚生制度の拡充が重要だと指摘する。法律の最低要件を満たすだけでなく、育児の有無にかかわらず誰もが快適に働ける環境を実現する契機として捉えるべきだとしている。
合計特殊出生率が1.20と過去最低を更新する中、働きながら子育てできる環境整備は急務だ。しかし制度の充実と職場全体の公平性の両立という新たな課題が、企業の人事担当者に問われている。
調査概要
Works Human Intelligence調べ
調査期間:2025年1月27日~2月28日
調査対象:統合人事システム「COMPANY」ユーザーの国内大手法人72法人
調査方法:インターネットアンケート
参照元
PR TIMES「【2025年4月・10月育児・介護休業法改正 法人の対応状況と課題に関する調査】」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000163.000049399.html

