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親や家族の介護・世話を担う若年層「ヤングケアラー」への支援が、地域全体での包括的なアプローチへと進化しています。2月6日に名古屋で開催されるヤングケアラー支援連携フォーラムでは、行政、企業、民間団体が先進事例を共有し、地域横断的な支援ネットワークの構築を目指す取り組みが展開されます。支援を「点」で終わらせず、継続的な連携を生み出す仕組みづくりが進められようとしています。
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ヤングケアラー支援の広がりと課題
近年、ヤングケアラーへの支援は自治体の責務にとどまらず、民間企業や支援団体も積極的に関与するようになってきました。啓発活動から始まり、個別の相談対応、さらには就労支援まで、支援の領域が確実に拡大しているのです。
しかし支援現場では、重要な課題が依然として残されています。「地域内でどのような支援が行われているのか」「誰が支援を担当しているのか」といった基本的な情報共有が十分でなく、先駆的な取り組みの工夫や成果が、地域を越えて広がりにくい構造になっているのです。立場の異なる関係者間での情報交換の仕組みが不足しており、各地で行われている工夫や学びが断片的に終わってしまう傾向があります。
「点」から「面」へ――支援の連携強化が急務
ヤングケアラーを取り巻く環境は複雑です。学業との両立、雇用形態の選択、心理的なサポートなど、多層的なニーズを抱える若年層に対しては、単一の団体や自治体による支援だけでは対応に限界があります。
教育現場、医療機関、福祉部門、企業など、複数のセクターが共通の目標に向けて協働することで、より包括的で持続可能な支援体系が実現できるようになります。こうした認識から、地域全体でヤングケアラーを支える仕組みづくりの重要性が認識されるようになったのです。
名古屋で開催される連携フォーラムの概要
株式会社ENCHORDが主催するフォーラムは、2026年2月6日に名古屋市内で開催されます。午後1時から4時までの3時間の日程で、東海地方を中心とした行政関係者、企業経営層、支援団体、教育・福祉・医療の現場職員が参加予定となっています。
定員は60名で、参加は無料です。事前申込制となっており、Peatixのウェブサイトから登録できます。
フォーラムの構成と登壇者
フォーラムは大きく2部構成となっています。
第1部では、複数の団体による取り組み報告とクロストークが実施されます。 登壇予定者には、日本イーライリリー株式会社、静岡市および公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団、株式会社ニチイ学館、そして一般社団法人ヤングケアラー協会が名を連ねています。これらの組織は、それぞれ異なるアプローチでヤングケアラー支援に取り組んでおり、各団体の経験やノウハウが共有される予定です。
モデレーターは、ENCHORD代表取締役の髙垣内文也が務め、各登壇者の報告内容を整理しながら、相互の関連性や学習ポイントを引き出すファシリテーションを行います。
第2部では交流会が開催されます。 参加者同士が自由に名刺交換や情報交換を行う時間が設けられており、フォーラムでの学習にとどまらず、継続的な関係構築へとつなげる機会が提供されます。
フォーラムの狙い――学びと連携の土台形成
フォーラムを通じて実現したいことは、大きく2つです。
一つ目は、実践に活かせる知見の共有です。 行政、企業、民間団体がそれぞれ実施している先進的な取り組みから、課題解決のための具体的な方法論や工夫が学べます。採用試験や面接の工夫から、企業内での支援体制の構築、自治体における相談体制の整備まで、様々なレベルでの実践例が紹介される見込みです。
二つ目は、地域横断的な連携ネットワークの形成です。 支援に携わる関係者が直接顔を合わせることで、立場や地域の壁を越えた継続的な情報交換や協業の可能性が生まれます。フォーラムが「終わり」ではなく、そこから始まる連携が、ヤングケアラー支援の質的向上につながることが期待されているのです。
対象者層の広がり
フォーラムは特定の職種や立場の関係者に限定されていません。推奨される参加者には、ヤングケアラー支援に関わる行政職員、福祉・教育・医療の専門職、支援を必要としている当事者や家族、地域で子ども・若者支援に取り組むNPOや自治体職員が含まれています。
さらに注目すべきは、企業の経営層や人事・広報担当者も対象とされていることです。人手不足や若手人材の定着が企業課題となる中で、ヤングケアラーという社会的課題への対応が、企業の人材戦略にも関わることが認識されるようになったのです。他地域の支援モデルを参考にしながら、自地域での新たな支援立ち上げを検討している関係者の参加も歓迎されています。
ENCHORDの支援アプローチ
フォーラムを開催する株式会社ENCHORDは、ヤングケアラーの就労支援に特化した企業です。同社が提供するのは、個別の困難への対応にとどまらない包括的なサポートモデルです。
家族のケアを担う若年層に対しては、就労や教育の継続を支援し、その後のキャリア形成まで見据えた支援を展開しています。一方、企業側には、こうした若年層の離職リスクを低減するための人事制度設計、管理職研修、組織文化の醸成支援といった、より根本的な課題解決を提供しているのです。
社会全体でのヤングケアラー支援への転換
このフォーラムの開催背景には、ヤングケアラー支援が単なる福祉課題から、社会全体での包括的な課題解決へとシフトしていることが示されています。
個々の支援の質を高めることは重要ですが、同時に、支援者同士がネットワークを構成し、継続的に情報交換と協業ができる体制づくりが、支援の持続可能性と拡大可能性を高めるという認識が広がっているのです。
2月6日のフォーラムは、そうした転換を象徴する「第一歩」となるイベントとして位置づけられており、東海地方でのヤングケアラー支援体系の質的向上を目指す実践の場となる見込みです。
参照元
株式会社ENCHORD プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000175878.html

