介護ICT導入補助金完全ガイド|申請から活用まで徹底解説

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介護現場でICTシステムを導入したいけれど、費用負担が心配ではありませんか。

ICT導入補助金を活用すれば最大260万円まで補助を受けられ、職員1〜10人の施設でも100万円の支援が可能です。介護記録や請求業務の電子化により職員の負担を軽減し、利用者ケアの時間を増やせます。

本記事では、令和7年度の最新制度に基づき、補助対象や申請の具体的手順、失敗しないためのコツまで網羅的に解説します。

筆者は複数の事業所でICT導入支援に携わり、実際の申請プロセスを経験してきました。

この記事を読めば、あなたの施設に最適な補助金活用法がわかり、スムーズにICT化を実現できるでしょう。

ICT導入補助金とは?基礎知識を押さえる

ICT導入補助金(正式名称:介護テクノロジー導入支援事業)とは、介護現場でのICT機器やシステム導入にかかる費用を国と都道府県が補助する制度です。厚生労働省が管轄し、地域医療介護総合確保基金を財源として各都道府県が実施しています。

この制度は介護職員の業務負担軽減と介護サービスの質向上を目的としています。具体的には、紙ベースだった記録作業をタブレットで行えるようにしたり、職員間の情報共有をクラウドシステムで効率化したりする取り組みを支援します。

令和7年度から介護ロボット導入支援事業とICT導入支援事業が統合され、より包括的な支援体制となりました。補助対象は介護ソフト、タブレット端末、Wi-Fi機器、インカム、クラウドサービスなど業務に使用する多くの機器が含まれます。

補助率は基本的に導入費用の2分の1ですが、一定要件を満たせば4分の3まで引き上げられます。ただし実施主体が都道府県のため、申請方法や受付期間は自治体ごとに異なる点に注意が必要です。

ICT導入補助金を活用する5つのメリット

初期費用の大幅削減が可能になる

補助金を活用すれば、数百万円規模のシステム導入費用を半分以下に抑えられます。職員数に応じて補助上限額が設定されており、1〜10人の小規模施設で100万円、31人以上の施設では260万円まで支援を受けられるのです。

たとえば職員15人の施設が介護ソフトとタブレット10台で総額200万円の導入を計画した場合、補助率2分の1なら100万円、要件を満たして4分の3なら150万円の補助が得られます。自己負担を大きく減らせるため、予算が限られた施設でもICT化に踏み切りやすくなります。

業務効率化で職員の負担が軽減される

ICTシステムの導入により、手書き記録の転記作業や書類整理にかかる時間が大幅に削減されます。ある施設では導入後、記録業務が1日あたり1人30分短縮され、その時間を利用者との対話や見守りに充てられるようになりました。

請求業務も自動化されるため、月末の残業時間が減少します。介護記録から請求までが一気通貫で処理できるシステムなら、データの二重入力や転記ミスもなくなり、職員のストレスも軽減されるでしょう。

情報共有の質が向上しケアが充実する

クラウドシステムを使えば、夜勤者から日勤者への申し送りがスムーズになります。リアルタイムで利用者情報を確認でき、複数の職員が同時にアクセスしても最新情報が共有されるからです。

離れた場所にいる医療職や家族とも情報連携が容易になります。入退院時の情報連携標準仕様に対応したシステムなら、病院との連携もスムーズです。結果として利用者一人ひとりに合わせたきめ細かいケアが実現できます。

科学的介護の実践基盤が整う

LIFE(厚生労働省の科学的介護情報システム)との連携が補助要件に含まれているため、導入システムは自動的にデータ活用の基盤となります。蓄積されたデータを分析することで、根拠に基づいたケア計画の立案が可能になるのです。

データに基づく改善サイクルを回すことで、介護の質が段階的に向上します。利用者の状態変化を数値で把握でき、効果的な介護方法を見つけやすくなるでしょう。

職場環境改善で人材確保につながる

ICT化された職場は働きやすさがアピールポイントになり、求人での競争力が高まります。特に若い世代はデジタルツールに抵抗がなく、むしろ紙ベースの業務を敬遠する傾向があります。

補助金活用による収支改善分を職員の賃金に還元することも要件に含まれており、待遇改善のチャンスにもなります。働きやすい環境と適正な待遇が整えば、人材の定着率向上も期待できるでしょう。

ICT導入補助金の申請方法|5ステップで解説

ステップ1:事前準備と課題の洗い出し(所要時間:1〜2週間)

まず自施設が抱える業務上の課題を明確にします。職員へのヒアリングを実施し、記録作業に何分かかっているか、どんな情報共有の問題があるかなど具体的に把握しましょう。

この段階で導入目標を設定します。「記録業務を30%削減する」「夜勤者の申し送り時間を15分短縮する」など数値目標があると、後の効果測定がしやすくなります。現場スタッフの意見を取り入れることで、導入後の活用率も高まるでしょう。

つまずきポイント:管理者だけで決めてしまうと現場の実態と合わず、導入後に使われないシステムになる恐れがあります。必ず現場職員の声を反映させてください。

ステップ2:補助対象システムの選定と見積取得(所要時間:2〜3週間)

補助対象となる介護ソフトの条件を確認します。記録・情報共有・請求業務が転記不要で一気通貫であること、ケアプラン連携標準仕様に対応していることなどが必須要件です。

複数の事業者から見積もりを取り、機能と価格を比較検討しましょう。セキュリティ対策としてSECURITY ACTIONの一つ星または二つ星を宣言する必要があるため、この段階で手続きを始めます。

次に、都道府県のホームページで最新の交付要綱を確認します。自治体によってはセミナー受講が必須の場合もあるため、早めに確認して参加申し込みをしてください。

つまずきポイント:交付決定前に契約や発注をすると補助対象外になります。見積もり段階にとどめ、発注は交付決定後まで待ちましょう。

ステップ3:申請書類の作成と提出(所要時間:1〜2週間)

導入計画書を作成します。業務改善の目標、導入する機器の内容、期待される効果、スケジュールなどを具体的に記載しましょう。文書量を半減できる計画なら補助率が4分の3に引き上げられるため、可能であればその内容を盛り込みます。

所要額調書では、機器ごとの単価や台数、合計金額を整理します。見積書の写し、SECURITY ACTION宣言完了のメール、事業所の指定通知書なども準備が必要です。

都道府県が指定する方法(郵送、電子申請など)で期限内に提出します。書類不備があると審査が遅れるため、提出前にチェックリストで確認してください。

つまずきポイント:応募が予算を超えた場合、選考や減額調整が行われる可能性があります。早めの申請が有利ですが、書類の質も重要なので焦りすぎないようバランスを取りましょう。

ステップ4:交付決定後の機器導入(所要時間:1〜2ヶ月)

交付決定通知を受け取ったら、速やかに機器の発注を行います。納品と支払いを期限内に完了させる必要があるため、スケジュール管理を徹底しましょう。

導入時には職員向けの研修も実施します。システム提供事業者のサポートを活用し、全職員が基本操作を習得できるようにしてください。タブレット端末には業務用である旨のシールを貼るなど、私用との区別も明確にします。

契約書、納品書、請求書、振込証明書など、実績報告に必要な書類はすべて保管しておきましょう。

つまずきポイント:期限までに導入が完了しないと補助対象外になります。機器の納期を事業者と事前に確認し、余裕を持ったスケジュールを組んでください。

ステップ5:実績報告と効果測定(所要時間:初回1週間、その後2年間)

導入完了後、指定期限内に実績報告書を提出します。導入した機器の内容、実際の支払額、領収書などを添付しましょう。審査を経て補助確定額が通知され、その後補助金が振り込まれます。

導入後は2年間にわたり効果報告が必要です。業務時間の削減効果、職員の負担軽減度、収支改善状況などを記録し、都道府県の定める様式で報告します。この報告は厚生労働省にも提出されるため、正確なデータ収集を心がけてください。

つまずきポイント:効果測定を怠ると次回の補助金申請が難しくなる可能性があります。導入前後のデータを比較できるよう、導入前の業務時間なども記録しておきましょう。

申請を成功させる3つのコツと注意点

コツ1:自治体の独自要件を事前に把握する

都道府県によって補助要件や優先順位が異なります。たとえば初めて申請する施設を優先する自治体、認証制度に参加している施設を優先する自治体などさまざまです。

自施設の所在地の都道府県ホームページを定期的にチェックし、募集開始時期を逃さないようにしましょう。前年度は6月から8月頃に募集する自治体が多い傾向にあります。不明点は担当部署に電話で確認すると、申請のヒントが得られることもあります。

コツ2:第三者支援を積極的に活用する

令和7年度から第三者による業務改善支援の実施が必須要件に追加されました。都道府県が設置する介護生産性向上総合相談センターや、厚生労働省のオンラインセミナーなどが活用できます。

これらの支援プログラムに参加することで、導入計画の質が向上し、採択率が高まります。他施設の成功事例も学べるため、自施設に合った活用方法が見つかるでしょう。遠慮せず専門家の助言を求めてください。

コツ3:長期的な視点で投資対効果を考える

補助金は後払いのため、一時的に全額を立て替える必要があります。資金繰りを事前に確認し、必要なら金融機関と相談しておきましょう。自治体によっては概算払いが可能な場合もあります。

また、補助金で導入できるのは初期費用のみで、月額利用料や保守費用は対象外です。長期的なランニングコストも考慮してシステムを選定してください。安価でも使いにくいシステムでは業務改善につながらず、結果的に無駄な投資になってしまいます。

よくある質問(FAQ)

Q1:補助金申請に必要な書類は何ですか?

導入計画書、所要額調書、見積書の写し、SECURITY ACTION宣言完了メール、事業所の指定通知書などが基本です。自治体によって追加書類が必要な場合もあるため、交付要綱で確認しましょう。電子申請に対応している自治体も増えています。

Q2:すでにICTシステムを導入している場合も申請できますか?

交付決定前に導入した機器は補助対象外ですが、既存システムに新機能を追加する場合や、複数システムを連携させて一気通貫を実現する場合は対象になる可能性があります。タブレット端末のみの追加導入でも、要件を満たせば申請可能です。

Q3:小規模事業所でも申請できますか?

職員数1〜10人の小規模事業所も申請可能で、補助上限額は100万円です。訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も対象に含まれます。むしろ小規模施設ほど業務効率化の効果が実感しやすいため、積極的に活用してください。

Q4:補助金が不採択になった場合はどうなりますか?

予算を超える応募があった場合、選考により不採択となる可能性があります。その場合は翌年度に再申請するか、経済産業省のIT導入補助金など別の制度を検討しましょう。不採択理由を自治体に問い合わせ、次回申請の改善に活かすことも大切です。

Q5:導入後の効果報告ではどんな内容を求められますか?

業務時間の削減効果、職員の負担軽減度、収支改善状況、LIFEへのデータ提供実績などを報告します。数値データだけでなく、職員の声や具体的な改善事例も記載すると説得力が増します。報告は2年間継続する必要があるため、定期的にデータを収集する体制を整えましょう。

まとめ

ICT導入補助金は、介護現場のデジタル化を財政面から強力に支援する制度です。最大260万円の補助により、職員の負担軽減と利用者ケアの質向上を同時に実現できます。

重要なポイントは、事前の課題整理、要件を満たすシステム選定、期限内の確実な手続き実施の3つです。都道府県ごとに申請方法が異なるため、早めの情報収集と計画的な準備が成功の鍵となります。

今すぐ所在地の都道府県ホームページで募集状況を確認し、次回募集に向けて準備を始めましょう。わからないことがあれば、都道府県の担当部署や介護生産性向上総合相談センターに相談してください。一歩を踏み出せば、あなたの施設も働きやすい環境に変わります。

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