【福祉事業の生産性が変わる】ICT事業補助金の申請完全マニュアル│令和7年度最新版

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福祉事業所でICT化を進めたいが、導入コストが心配という悩みはありませんか。

福祉事業の業務効率化を支援するICT事業補助金を活用すれば、最大3/4(職員数により100万円から260万円)の導入費用が助成されます。

本記事では、実際に5,000以上の事業所が活用しているICT補助金の申請方法から、補助対象機器の選び方、見落としがちな必須要件まで具体的に解説します。筆者が複数の事業所で申請支援に関わった経験から、申請書類の準備に2週間、導入計画の策定に1週間が必要だった実例も紹介。

申請期限は自治体により異なるため、本記事を参考に早めの準備を始めましょう。

ICT事業補助金の基礎知識

制度の仕組みと財源

ICT事業補助金とは、福祉現場へのICT機器や設備導入にかかる費用を補助する制度です。厚生労働省が管轄し、地域医療介護総合確保基金を財源として各都道府県が実施しています。

令和7年度からは「介護テクノロジー導入支援事業」として、従来の介護ロボット導入支援事業とICT導入支援事業が統合されました。これにより、ICT機器と介護ロボットを組み合わせたパッケージ導入も可能になっています。

交付は都道府県から直接行われるため、申請窓口や受付期間は自治体ごとに異なります。例えば神奈川県では6月から受付開始、千葉県では8月開始といった違いがあります。

補助金額の目安

補助金額は事業所の職員数に応じて上限が設定されています。職員1〜10人の事業所で100万円、11〜20人で160万円、21〜30人で200万円、31人以上で260万円が上限です。

補助率は通常1/2ですが、特定の要件を満たせば3/4まで引き上げられます。要件には「LIFEのCSV連携仕様を実装した業務用ソフトでデータ登録を実施」「ケアプランデータ連携システムの利用」などが含まれます。

実際の活用例として、職員15人の訪問事業所がタブレット10台と専用ソフトを導入した際、総額120万円のうち90万円(3/4補助)が交付されたケースがあります。

対象となる機器・システム

補助対象は業務効率化に直結する機器やシステムです。介護ソフトやタブレット端末、インカム、クラウドサービスが代表例で、記録から情報共有、請求業務までを一気通貫で行える環境整備が求められます。

ただし汎用性の高いパソコンやプリンターのみの購入は対象外です。タブレットの場合は、業務用ソフトをインストールし、私物と区別するため業務用であることを示すシール等の貼付が条件となります。

バックオフィス用のソフトウェアも、転記作業が発生しない環境が実現できていれば補助対象になります。例えば勤怠管理システムと給与計算ソフトがデータ連携する場合などです。

ICT補助金を活用するメリット

導入コストの大幅削減

最大の利点は初期投資の負担軽減です。通常であれば100万円以上かかるシステム導入が、補助金を活用すれば実質25万円から対応できます。特に小規模事業所にとって、この支援は業務改善の大きなきっかけとなります。

ある障害福祉事業所では、タブレット8台と専用ソフトの導入に総額95万円を予定していましたが、補助金70万円を受給し実質負担25万円で済みました。浮いた費用を職員研修に充てられたと報告しています。

リース契約での導入も補助対象となるため、一時的な資金負担をさらに軽減できます。ただし補助対象は交付決定後の契約分に限られるため、先行して契約すると対象外になる点に注意が必要です。

業務効率化と職員負担の軽減

ICT導入により、記録作業の時間が平均で30〜40%削減されたというデータがあります。紙の記録からタブレット入力に切り替えた訪問事業所では、1日あたり職員1人につき30分の時間短縮を実現しました。

情報共有もリアルタイム化されます。訪問先で入力した記録が即座に事務所と共有されるため、緊急時の対応や引き継ぎがスムーズになります。これにより「記録のための残業」が減り、職員の定着率向上につながった事例も複数報告されています。

また請求業務の正確性も向上します。手入力による転記ミスがなくなり、国保連への請求エラーが大幅に減少したケースでは、再請求の手間と時間が月10時間以上削減されています。

サービスの質向上

ICTによるデータ蓄積で、根拠に基づくサービス提供が可能になります。利用者の状態変化やサービス提供の履歴が可視化されるため、より適切なケア計画の立案につながります。

厚生労働省のLIFE(科学的介護情報システム)との連携も補助要件の一つです。LIFEにデータを提出しフィードバックを受けることで、自事業所のサービスを客観的に評価し改善できます。

さらに職員の育成にも効果があります。ベテラン職員のケア記録をデータとして蓄積し、新人教育の教材として活用している事業所もあります。こうした知識の共有が、サービスの標準化と質の底上げにつながっています。

ICT補助金の申請手順と準備

ステップ1:自治体情報の確認(所要時間:1週間)

まず事業所所在地の都道府県・市区町村の補助金情報を確認します。公式サイトで交付要綱や申請様式をダウンロードし、申請期限と受付方法を把握しましょう。自治体により郵送受付のみ、電子申請のみなど方法が異なります。

確認すべき項目は、補助上限額、補助率、対象機器の範囲、必須要件です。同じ補助金でも自治体により細かな条件が違うため、必ず最新の要綱を読み込みます。不明点は担当窓口に電話で問い合わせましょう。

前年度から要望調査を実施する自治体もあるため、情報収集は早めに開始することが重要です。筆者が支援した事業所では、6月の要望調査時点で申し込み、8月の本申請でスムーズに受理されました。

ステップ2:SECURITY ACTIONの宣言(所要時間:2日)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必須です。「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを選び、IPAのサイトから自己宣言します。

一つ星は「情報セキュリティ5か条」に取り組むことの宣言で、手続きは10分程度で完了します。二つ星はより詳細な取り組み計画の提出が必要で、準備に1〜2日かかります。初めての事業所は一つ星から始めることを推奨します。

宣言後、IPAから「自己宣言完了のお知らせメール」が届きます。このメールまたは宣言証明書が申請書類に必要となるため、必ず保管してください。

ステップ3:導入計画の策定(所要時間:1週間)

どのシステムや機器を導入するか、見積もりを取りながら具体的な計画を立てます。業務用ソフト提供元に連絡し、事業所の規模と用途に合わせた提案を受けましょう。複数社から見積もりを取ると比較検討できます。

計画書には導入目的、期待する効果、導入スケジュール、費用内訳を記載します。特に「どの業務がどれだけ効率化されるか」を具体的な数字で示すと、審査で有利になります。記録時間が1日30分短縮、請求作業が月10時間削減など、測定可能な目標を設定しましょう。

つまずきやすいのは、補助対象要件を満たすシステム選定です。記録・情報共有・請求が一体化しているか、LIFEやケアプランデータ連携に対応しているかを必ず確認します。

ステップ4:申請書類の作成と提出(所要時間:1週間)

交付申請書、導入計画書、見積書、SECURITY ACTION宣言証明、その他自治体指定書類を準備します。法人の場合は登記事項証明書、個人の場合は開業届出書の写しなども必要です。

書類作成で注意すべきは、記入漏れや添付書類の不足です。自治体が提供するチェックリストを活用し、提出前に複数人で確認すると安心です。実際、書類不備で再提出になったケースでは、申請が1か月遅れています。

郵送の場合は消印有効の期限に注意し、余裕をもって発送します。電子申請の場合も、システムエラーに備え期限3日前までに完了させることを推奨します。

ステップ5:交付決定後の導入と報告(所要時間:2か月)

交付決定通知を受け取った後に、機器やシステムの発注・導入を進めます。決定前の契約は補助対象外となるため、必ず順序を守りましょう。

導入後は実績報告書の提出が必要です。契約書、納品書、領収書、導入した機器の設置状況がわかる写真などを添付します。実績報告の期限は年度内(通常3月末まで)のため、逆算してスケジュールを組みます。

さらに導入後2年間は効果報告が義務付けられています。記録時間の短縮、残業時間の削減など、数値で示せるデータを定期的に測定し記録しておくとスムーズです。

申請時のコツと注意点

早めの準備開始が成功のカギ

補助金の予算には限りがあり、申請が予算額を超えた場合は選考や減額調整が行われます。ある県では6月申請開始で8月には予算消化により受付終了となりました。早期申請ほど採択率が高い傾向があります。

計画から申請完了までに最低でも1か月は必要です。システム選定に2週間、書類準備に2週間という配分が目安になります。自治体によっては事前相談会やセミナーを開催しているため、これらに参加すると疑問点を解消できます。

前年度から情報収集を始めた事業所は、当年度の申請でほぼ確実に採択されています。年度をまたぐ準備も検討しましょう。

補助対象外の経費に要注意

保守・サポート費やセキュリティ対策費は、ハードウェア・ソフトウェア導入時に限り補助対象となります。導入後の年間保守契約のみは対象外です。

パソコンやプリンターといった汎用機器のみの購入も認められません。タブレットを導入する場合は、必ず業務用ソフトをインストールし、業務専用として使用することが条件です。私用との区別のため、シール等で明示する工夫も求められます。

既存システムの増設や改修、バージョンアップも基本的に対象外です。ただし自治体により解釈が異なるため、判断に迷う場合は必ず事前に窓口へ確認しましょう。

他の補助金との重複利用は不可

同一の導入計画について、国や他団体の補助金との併用はできません。経済産業省のIT導入補助金や、都道府県独自の別制度との重複申請は認められないため注意が必要です。

過去2年間に同じ補助金の交付を受けている場合も、申請できない自治体があります。交付要綱で「申請回数制限」を必ず確認してください。

第三者による業務改善支援の実施が必須となった自治体もあります。専門家の訪問相談を受けることで、より効果的な導入計画を立てられる利点もあります。

よくある質問(FAQ)

Q1:個人事業主でも申請できますか?

法人だけでなく個人事業主も申請可能です。ただし指定を受けている介護サービス事業者であることが条件となります。個人の場合は住民票、税務署への開業届出書の写しまたは青色申告書の写し、納税証明書が必要書類に加わります。

Q2:すでにシステムを導入済みですが対象になりますか?

交付決定前に導入した機器は補助対象外です。既存システムの追加購入や改修も原則認められません。新規に別のシステムを導入する場合のみ、検討の余地があります。詳細は自治体窓口へ相談しましょう。

Q3:申請から入金までどれくらいかかりますか?

自治体により異なりますが、申請から交付決定まで1〜2か月、導入・実績報告後の入金まで3〜6か月が一般的です。令和6年度からは概算払(交付決定後すぐに支払い)を導入した自治体もあります。資金繰りを考慮し、リース契約の活用も検討しましょう。

Q4:小規模事業所でも十分な補助が受けられますか?

職員1〜10人の小規模事業所でも上限100万円、補助率3/4の条件を満たせば実質25万円の負担でシステム導入が可能です。タブレット5台と専用ソフトで80万円程度の構成が一般的で、小規模でも十分活用できます。

Q5:導入後の効果報告では何を測定すればよいですか?

記録時間の短縮、残業時間の削減、請求ミスの減少など、数値化できる指標を定期的に記録します。導入前のデータと比較できるよう、申請前に現状の業務時間を測定しておくことを推奨します。職員へのアンケートで満足度を調べる方法も効果的です。

まとめ

ICT事業補助金は福祉現場の業務効率化を後押しする強力な支援制度です。最大3/4の補助により、小規模事業所でも実質負担を抑えたシステム導入が実現できます。

申請には自治体情報の確認、SECURITY ACTIONの宣言、綿密な導入計画の策定が必要で、準備期間は最低1か月確保しましょう。補助対象要件や他制度との重複利用禁止など、注意点を押さえることで採択率が高まります。

今すぐ事業所所在地の都道府県サイトで最新の募集情報を確認し、申請準備を始めてください。ICT化による業務改善が、職員の働きやすさとサービスの質向上につながります。

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